頓服としてのソラナックス

頓服というのは、

症状が出た時や出そうになった時だけ、
ワンポイントでおくすりを服薬すること

です。

 

例えば、

  • 痛い時だけ、痛み止めを飲む
  • 胃腸の調子が悪い時だけ胃薬を飲む

などが頓服の使い方になります。

症状が出た時だけ飲むので、あくまでも頓服は「その場しのぎ」で、
根本的な治療にはなっていないことがほとんどです。

しかし、症状があまりに苦しすぎる場合は、たとえその場しのぎであったとしても
症状を抑えてあげた方がいいこともあります。

頓服とは、そのようなケースで使われる飲み方なのです。

 

ちなみに頓服と反対の飲み方は、「定期的におくすりを飲む事」です。

例えば抗うつ剤などは調子が悪い時だけでなく、調子が良くなってきてからも毎日決まった時間に飲みます。
内科でもらう血圧のおくすりや糖尿病のおくすりも、症状がなくても毎日決まった時間に飲みますよね。

定期的に服薬する方法は、即効性はなく一時的な作用としては強くはありません。
しかし、一日を通して確実に病気を抑えてくれるというメリットがあります。

その場しのぎではない、根本的な治療となるものも少なくありません。

 

定期的に飲むこと、頓服として飲むこと、どちらにも一長一短あります。

おくすりは基本的には定期的に飲むべきものが多いですが、
状況に合わせて医師と相談しながら頓服としての使用を考えても良いおくすりもあります。

 

頓服は、症状が出そうな時にサッと使うわけですから、

  • 即効性がある事
  • 効果がある程度強い事

が求められます。

効いてくるまでに何時間もかかるおくすりや、
効いているんだか効いていないんだか分からない弱いおくすりは、頓服として適しません。

ソラナックスは、即効性があり効果もほどほどの強さを持つため、
不安をサッと抑える頓服薬としては適しています。

ソラナックス 半減期とは?

せっかくなので「半減期」について詳しく勉強してみましょう。
半減期というのは「おくすりの血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。

半減期は、お薬の作用時間と相関するため、
半減期が分かれば作用時間がおおよそ推測できます。

例えば、下記のような薬物動態を示すおくすりがあるとします。

半減期イメージ

だいたいのお薬は内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。

このおくすりは、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、このおくすりの半減期は「10時間」です。

そして半減期が10時間ということは「だいたい10時間くらい効くおくすり」なんだと分かります。

 

正確には半減期と作用時間の長さは完全に一致するわけではありません。実際は、おくすりを飲むとまずは血中濃度は上がり最高血中濃度に到達してそれから下がっていきますので、厳密に言えば最高濃度に到達するまでの時間も加味しなければいけないでしょう。

更に細かく考えて行けば、どのくらい血中濃度が下がれば薬効を感じなくなるかは人それぞれですし、個々人の体質や代謝能力まで考え出すとキリがなく、作用時間を数値化することは困難になります。

そのため、あまり難しく考えず、ざっくりと「だいたい半減期が作用時間と同じくらいだ」と考えていいのではないかと思います。

 

半減期はあくまでも目安で、個人差はありますので気を付けてください。おくすりを分解する力が強い人もいれば弱い人もいて、人によって差があるのが実情です。

半減期から考えるソラナックスの使い方

ソラナックスは抗不安薬なので、不安感を改善するために使われます。その使い方は主に2通りで、

  • 一日を通して不安を抑える
  • 特定の時間帯だけ不安を抑える

場合があります。

 

Ⅰ.一日を通して不安を抑える使い方

1日を通して不安を抑えたい場合は、14時間しか効かないので、1日1回の服薬では不十分です。
そのため、最低でも1日2回(朝食後と夕食後など)の服薬をすることが良いことが分かります。

添付文書には「1日3回に分けて服薬する」と書かれていますが、「年齢・症状により適宜増減する」とも書かれているため、1日2回でも問題ありません。

半減期はあくまでも目安で、実際は個人差がありますので、1日2回投与で不十分さを感じるのであれば、1日3回、1日4回など投与回数を増やして使うこともあります。

 

定期的に服薬するメリットは、1日を通して抗不安作用が得られる事です。しかしそれだけでなく、定期的に飲み続けた方がワンポイントで飲むよりも強くしっかりと効く、ということも挙げられます。服薬を続けることで、ベースの血中濃度が徐々に上がっていくからです。

一般的には、半減期の約5倍の期間、定期的に服薬を続けると血中濃度が高い状態で安定する(=定常状態に達する)と言われています。ソラナックスであれば理論上は「14時間×5=70時間」ですので約3日ですね。

 

Ⅱ.特定の時間帯だけ不安を抑える使い方

特定の時間帯だけ不安を抑える「頓服」としての使用であれば、飲む時間に気を付けなければいけません。

上の表を見ると、ソラナックスの最高血中濃度到達時間は約2時間です。つまり、一番効かせたい時間の2時間前に服薬するのが理論上はベストだと言えます。

例えば、「毎朝10時の朝礼発表で不安・緊張が強くなるから、それを抑えたい」ということであれば、朝8時頃にソラナックスを服薬するのがベストだということです。

ただし、効きが最高値になるのは2時間後ですが、服薬後15〜30分もすればある程度は効いてはきますので、急な服薬の必要が出て来た時に、その場ですぐ飲むという方法でもある程度の効果は期待できます。

ワンポイントの服薬は、手軽な方法ですし依存にもなりにくいのですが、効きの強さとしては、どうしても定期的に服薬する方法よりも弱くなってしまうのはデメリットです。