エチゾラムの各剤型の意義

エチゾラムには次のような剤型があります。

・エチゾラム錠0.25mg
・エチゾラム錠0.5mg
・エチゾラム錠1.0mg

・エチゾラム細粒1%

このうち、治療のために用いられているのは主に0.5mgと1.0mgになります。

実際、デパスの使い方として、添付文書には次のように書かれています。

【用法及び用量】

<神経症、うつ病の場合>
通常、成人には1日3mgを3回に分けて経口投与する。

<心身症、頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛の場合>
通常、成人には1日1.5mgを3回に分けて経口投与する。

<睡眠障害に用いる場合>
通常、成人には1日1~3mgを就寝前に1回経口投与する。

エチゾラムを治療として用いる場合は、上記に書かれている用法で用いる事がほとんどです。

そしてこの用法通りに使う場合は、0.5mg錠か1mg錠を使えば事足りるはずです。

実際エチゾラムの先発品である「デパス」が発売された1984年当初は、デパスには0.5mgと1.0mg(と細粒)しかなく、0.25mgが発売されたのは2012年と大分後になってからになります。

では0.25mg錠はなぜ発売されたのでしょうか。製薬会社は薬を販売する事で収益を得ていますので、収益が得られないものは販売しません。つまり0.25mg錠は、「この剤型はある程度、需要があるはずだ」という見込みがあったから発売されたはずです。

一体どこで使うのでしょうか。

0.25mg錠は、エチゾラムの量を少しずつ減らしたい時に使われています。

前項で説明した通り、エチゾラムは頼れる抗不安薬である反面、耐性や依存性が形成される事によって服用をやめられなくなってしまう危険性もあるお薬です。

そうならないためには必要以上に長期間服用しない事が大切で、症状が落ち着いてきたら少しずつ減らしていく必要があります。

強いお薬ほど、いきなり減らしてしまうと反動がくるためゆっくり減らしていく必要があります。

エチゾラムはこのような特徴を持っているお薬であるため、慎重に少しずつ減らしていけるように0.25mgが発売されたのです。

エチゾラムの特徴

エチゾラムは、1984年から発売されている「デパス」というお薬のジェネリック医薬品です。抗不安薬に属し、主に不安を和らげる作用を持ちます。

ジェネリック医薬品というのは、先発品(デパス)の特許が切れた後に別の製薬会社から発売されたお薬の事です。効果は先発品と同等でありつつ、お薬の開発・研究費があまりかかっていないため薬価が安くなっているというメリットがあります。

エチゾラムは抗不安薬の中でも不安を抑える作用が強いため、患者さんからの人気も高く、多くの方に処方されているお薬です。しかし一方で漫然と服用と続けていると耐性・依存性が生じやすいという面もあり、症状に応じて適切に用量調整をしていく事が望まれます。

そのため剤型も、「エチゾラム0.25mg」「エチゾラム0.5mg」「エチゾラム1.0mg」と複数あり、細かく用量を調整できるようになっています。

エチゾラムの各剤型の使い分けについて説明する前に、まずはエチゾラムがどのようなお薬なのかを紹介していきます。

エチゾラムは抗不安薬に属するお薬ですが、抗不安薬には、

ベンゾジアゼピン系抗不安薬
セロトニン1A部分作動薬

の2種類があります。

このうち臨床で用いられているのは圧倒的にベンゾジアゼピン系になります。ベンゾジアゼピン系は服用してすぐに効果が実感でき、また作用もある程度しっかりとあるためです。一方でセロトニン1A部分作動薬は、副作用は少なく安全性に優れるものの作用も極めて弱く、そのためにあまり普及していません。

そしてエチゾラムもベンゾジアゼピン系に属します。

ではベンゾジアゼピン系抗不安薬というのはどのようなお薬なのでしょうか。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、抑制性神経のGABA-A受容体という部位に作用し、GABA-A受容体のはたらきを増強させます。

抑制性神経は、心身の活動を抑制する方向にはたらき、鎮静・リラックス状態を作る神経です。

これによってベンゾジアゼピン系は、

抗不安作用(不安を和らげる作用)
筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす作用)
催眠作用(眠くなる作用)
抗けいれん作用(けいれんを抑える作用)

の4つの作用をもたらします。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬にもたくさんの種類がありますが、ベンゾジアゼピン系はすべてこの4つの作用を持っています。ただしそれぞれの作用の強さはお薬によって異なります。

エチゾラムもこの4つの作用を有しており、それぞれの強さはというと、

強い抗不安作用
強い筋弛緩作用
中等度の催眠作用
弱い抗けいれん作用

となっています(作用の強さに個人差はあります)。

エチゾラムは抗不安作用・筋弛緩作用が強いお薬になります。そのため不安を改善させたり身体をリラックスさせる作用に優れ、患者さんからも人気があります。

作用が強いというのは一見すると良い事のように見えますが、実は一概にそうとも言えません。

ベンゾジアゼピン系のお薬には耐性・依存性がある事が知られています。そして耐性・依存性は、作用が強い抗不安薬ほど起こしやすいのです。

【耐性】
お薬の服用を続ける事で、心身が徐々にお薬に慣れてきてしまう事。

耐性が生じると、最初は少量を飲めば十分効いていたのに、次第にその量では効かなくなってしまい、服用量が増えていく。

【依存性】
お薬の服用を続ける事で、心身がそのお薬がある事に頼り切ってしまうようになり、お薬をやめる事ができなくなってしまう事。

依存性が生じると、お薬が切れると落ち着かなくなったり、動悸や震え・発汗といった症状が認められるようになる。

エチゾラムは全体的に作用が強いため、ついお薬に頼りすぎてしまい耐性・依存性が形成されやすいのです。

またエチゾラムの注意点はもう1つあります。

エチゾラムは作用時間が短いお薬です。服用してから約3時間ほどで効果が最大になり、その半減期(お薬の血中濃度が半分に下がるまでにかかる時間)は約6時間と報告されています。

半減期はお薬の作用時間と相関するため、作用時間を知る1つの目安になります。エチゾラムの半減期は他のベンゾジアゼピン系抗不安薬と比べても短めです。

作用時間が短いというのは悪い事ではありません。作用時間が短い方がすぐに身体からお薬が抜けるため、細かい用量調節をしやすかったり、お薬が身体に蓄積しにくいというメリットもあります。

しかし一方で作用時間の短い抗不安薬ほど、やはり耐性や依存性が生じやすいという傾向があります。

エチゾラムは、

作用が強い
作用時間が短い

という抗不安薬であり、頼れるお薬ではあるものの、耐性・依存性の形成に注意も必要な抗不安薬なのです。

エチゾラムを服用している中で耐性・依存性を形成させないためには、

出来るだけ服用量を少なくする
出来るだけ服用期間を短くする

ことが大切です。

エチゾラムをはじめとした抗不安薬への依存は、精神科医療の現場でも問題となっており、抗不安薬の中でも耐性・依存性を起こしやすいエチゾラムはとりわけ注意が必要です。

そのため、服用している中で細かく用量調節をしていき、なるべく耐性・依存性が生じないようにといくつもの剤型が用意されているのです。

エチゾラム ジェネリック医薬品の安全性は?

エチゾラムは「デパス」という抗不安薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリック医薬品は薬価も安いため、「安全性に問題があるのではないか」と副作用を心配される方もいらっしゃいます。

果たしてエチゾラムのようなジェネリック医薬品は先発品(デパス)と比べて副作用が多いのでしょうか。

ジェネリック医薬品は、先発品の特許が切れると他の製薬会社から発売する事が出来るようになります。

しかし簡単に発売できるわけではなく、発売に当たっては「これは先発品と同じような効果・効能があるお薬です」という事を証明し、それを厚生労働省に提出しないといけません。これを「生物学的同等性試験」と言います。

ジェネリック医薬品はこのような試験を行い、「これは先発品と同等である」と厚生労働省から許可をもらわないと発売できないのです。

つまりジェネリック医薬品は先発品と比べて、副作用の頻度は同じ程度であり、安全性も同等と考えられます。

ジェネリック医薬品の薬価が安いのは、品質が悪いからではありません。ジェネリック医薬品は初めて開発されるお薬ではないため、開発するための費用がほとんどかかっていません。この開発費の差が薬価の差になっているだけです。

そのため、「ジェネリック医薬品は安いから副作用が多いのだろう」という心配は間違いになります。

エチゾラム 副作用を怖がりすぎるのも問題

抗不安薬の副作用(特に依存)はしばしば問題となっており、新聞やニュースなどのメディアでも取り上げられています。そのため、抗不安薬の副作用だけに目が行ってしまい「こんな怖いもの、絶対に飲みたくない!」と過剰な拒否反応を示される方が時々います。

もちろん、お薬を飲まなくても様子を見れる状態であったり、他の治療法で代替できる状態なのであれば、無理にお薬を使わなくても構いません。しかし、専門家である医師が「今は抗不安薬を使った方がいいですよ」と判断するのであれば、過剰に怖がるだけではなく、抗不安薬を使う「利点」にもぜひ目を向けてみてください。

私たち医師は、抗不安薬のメリットもデメリットもしっかりと把握しています。それを天秤にかけた上で「今のこの患者さんには服薬するメリットの方が大きい」と判断したからこそ、服薬を提案しているのです。

医師のしっかりとした管理のもと、限られた期間のみ内服するのであれば、抗不安薬はそこまで怖いお薬ではありません。

抗不安薬が依存性の原因となったり、せん妄の原因になり得るのは事実です。でも、患者さんを不眠から救ってくれるのもまた事実なのです。デメリットだけ見るのではなく、メリットとデメリットをそれぞれ冷静に見るようにしましょう。

抗不安薬と似た物質としてアルコールがあります。アルコールにも抗不安薬と同程度の耐性・依存性があると考えられています。でも、「アルコール依存になるのが怖いんでお酒は一切飲みません」「アルコール依存が怖いから忘年会は欠席します」なんて人はあまりいないですよね。

それはなぜかというと、確かにアルコールは依存になる可能性がある物質だけども、節度を持った飲酒をしていれば依存になることなどほとんどないからです。そして実際にほとんどの人は節度を持った飲酒ができており、アルコール依存に至る人はごく一部です。

アルコール依存になるのは、明らかに過量のお酒を高頻度で飲み続けており、周囲や医師の助言も聞かずに飲み続ける人だけです。

抗不安薬だってそれは同じなのです。主治医が指示した量以上に勝手に飲んでしまったり、主治医が減薬を指示しているのに心配だからと飲み続けたり、依存になるのはそのような方が多いようです。節度を持った服薬をしていれば、アルコールと同じでむしろ依存になることは少ないのです。

アルコールは節度を持って楽しく飲んでいるのに、抗不安薬になるととたんに過剰に拒否反応を示すのは、私たち医療者からするとちょっと不思議に感じます。

もちろん、抗不安薬も飲まないに越したことがないのは事実です。でも、診察した医師が必要だと判断したのであれば、過剰に怖がらずに冷静に医師の話を聞き、服薬を検討してみてください。

上手く使えば症状を早く取ることができるし、病気を早く治すことだってできるのです。

エチゾラムの副作用と対処法

では、それぞれの副作用やその対処法をひとつずつ詳しくみていきましょう。

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Ⅰ.耐性・依存性形成

長期的に見るとベンゾジアゼピン系で一番問題となる副作用は「耐性」「依存性」です。

ベンゾジアゼピン系は、長期内服・大量内服などの無茶な使い方を続けると耐性・依存性が生じる可能性が高くなります。

耐性というのは、身体が徐々にお薬に慣れてしまう事。最初は1錠飲めば十分効いていたのに、だんだんと身体が慣れてしまい、1錠飲んでも全然効かなくなってしまい服薬量が増えていく、というような状態です。そして依存性というのは、その物質なしではいられなくなってしまう状態をいいます。

耐性も依存性もアルコールで考えると分かりやすいかもしれません。アルコールも耐性と依存性がある物質です。

アルコールを毎日飲んでいると、次第に最初に飲んでいた程度の量では酔えなくなるため、飲酒量が増えていきます。これは耐性が形成されているという事です。

また、過度の飲酒量を続けていると、次第に常にお酒を手放せなくなり、常にアルコールを求めるようになります。これは依存性が形成されているという事です。

抗不安薬にも耐性と依存性がありますが、アルコールと比べて特に強いというわけではありません。そのため、医師の指示通りに内服していれば問題になる事はそれほど多くはありません。アルコールも節度を持って飲酒していれば、アルコール依存症になる事はないのと同じです。

そのため、耐性・依存を形成しないためには、まず「必ず医師の指示通りに服用する」ことが鉄則です。アルコールも抗不安薬も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。医師は、耐性・依存性を起こさないような量を考えながら処方しています。それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいます。

また、アルコールとの併用も危険です。アルコールと抗不安薬を一緒に使うと、お互いの血中濃度を不安定にしてしまうようで、耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。

漫然と飲み続けないことも大切です。基本的に抗不安薬というのは「一時的なお薬」です。ずっと飲み続けるものではなく、不安の原因が解消されるまでの「一時的な」ものです。(長期的に不安を取りたい場合は、抗不安薬ではなくSSRIなどが用いられます)

定期的に「量を減らせないか」と検討する必要があり、本当はもう必要ない状態なのに漫然と長期間内服を続けてはいけません。服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。

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Ⅱ.眠気、倦怠感、ふらつき

ベンゾジアゼピン系は、催眠効果、筋弛緩効果があるため、これが強く出すぎると、眠気やだるさを感じます。ふらつきが出てしまうケースもあります。

エチゾラムはベンゾジアゼピン系抗不安薬の中でも筋弛緩作用や催眠作用が強い方ですので、これらの副作用には特に気を付けなければいけません。特に元々足腰が弱い方や高齢者の方は注意しましょう。

もしこれらの症状が起こってしまったら、どうすればいいでしょうか。

もし内服して間もないのであれば、「様子をみてみる」のも手です。というのも、お薬は「慣れてくる」ことがあるからです。様子を見れる程度の眠気やだるさなのであれば、1~2週間様子をみて下さい。半数以上の例で、副作用の改善がみられます。

それでも眠気が改善しないという場合、次の対処法は「服薬量を減らすこと」です。一般的に量を減らせば作用も副作用も弱まります。抗不安効果も弱まってしまうというデメリットはありますが、副作用がつらすぎる場合は仕方ありません。例えば、エチゾラム1.0mg/日を内服していて眠気がつらいのであれば、0.5mg/日などに減らしてみましょう。

また、「お薬の種類を変える」という方法もあります。より筋弛緩作用や催眠作用が少ない抗不安薬に変更すると、改善を得られる可能性があります。ただしどの抗不安薬にも多少なりとも筋弛緩作用や催眠作用がありますので、どの抗不安薬に変更するかは主治医とよく相談して決めて下さい。

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Ⅲ.物忘れ(健忘)

エチゾラムに限らず、ベンゾジアゼピン系のお薬は心身をリラックスさせるはたらきがあるため、頭がボーッとしてしまい物忘れが出現することがあります。

実際、ベンゾジアゼピン系を長く使っている高齢者は認知症を発症しやすくなる、という報告もあります(詳しくは「高齢者にベンゾジアゼピン系を長期投与すると認知症になりやすくなる【研究報告】」をご覧ください)。

適度に心身がリラックスし、緊張がほぐれるのは良いことですが、日常生活に支障が出るほどの物忘れが出現している場合は、お薬を減薬あるいは変薬する必要があるでしょう。

エチゾラムにはどんな副作用があるのか

エチゾラムは、1984年に発売されている「デパス」という抗不安薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリック医薬品とは、先発品(ここではデパス)の特許が切れた後に、別の製薬会社から発売されるお薬の事です。先発品と同等の効果を持ちつつ、開発費があまりかかっていないため薬価が安いというメリットがあります。

エチゾラムはデパスと同様に強い抗不安作用・筋弛緩作用を持つお薬です。頼れるお薬ではありますが、副作用にも注意が必要なお薬になります。

エチゾラムにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用を防ぐためにはどのような工夫があるのでしょうか。ジェネリック医薬品であるエチゾラムは先発品と比べて安全性に問題はないのでしょうか。

エチゾラムは、抗不安薬の中では副作用は多い部類に入ります。しかしそれは決してエチゾラムが「悪いお薬」だという事ではありません。

エチゾラムは先発品のデパスも含めると、恐らく一番多く処方されている抗不安薬で、患者さんに一番人気のある抗不安薬になります。

その理由は、抗不安作用(不安を和らげる作用)が強く、また筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)や催眠作用(リラックスさせて眠くする)などもしっかりと認めるため、心身を落ち着かせるのに非常に重宝するためです。

強い不安や緊張に襲われている時にこれらをしっかりと和らげてくれるエチゾラムは、とても頼りになります。患者さんから人気があるお薬であるのも当然でしょう。

しかし効果が強力だということは、副作用も強く出やすい傾向があるという事を忘れてはいけません。どんなお薬でも副作用には注意が必要ですが、エチゾラムは特に医師の指示に従って正しく服薬する必要のあるお薬なのです。

ではエチゾラムにはどのような副作用があるのでしょうか。

エチゾラムをはじめとした抗不安薬で一番問題となりやすい副作用に「耐性」「依存性」が挙げられます。

エチゾラムはベンゾジアゼピン系というタイプに属するお薬ですが、ベンゾジアゼピン系はすべて長期・大量に服薬を続けていると「耐性」「依存性」が生じてしまう可能性があります。

【耐性】
お薬に身体が慣れてきてしまい、お薬の効きが段々悪くなってくること。耐性が生じるとお薬の量を増やさないと効果が得られなくなり、その結果服用量がどんどん増えてしまう危険がある。

【依存性】
お薬がないと心身が落ち着かなくなってしまうこと。依存が生じると、お薬の効きがなくなるとイライラ・ソワソワして落ち着かなくなったり、震え・発汗・めまい・しびれ・頭痛などの身体症状が現れてしまう。依存になってしまうとお薬をやめることが難しくなってしまう。

耐性・依存性はどのベンゾジアゼピン系でも生じる副作用ですが、「効果が強い抗不安薬」「半減期が短い抗不安薬」で特に生じやすい事が知られています。

エチゾラムは効果が強く半減期も短いため、耐性・依存形成はベンゾジアゼピン系の中でも多めになります。

半減期とはお薬の血中濃度が半分に下がるまでにかかる時間の事で、そのお薬の作用時間とある程度相関します。一般的に半減期が短い(≒薬効が短い)お薬の方が、耐性・依存性が生じやすいと考えられています。

また、ベンゾジアゼピン系には、

抗不安作用(不安を和らげる)
催眠作用(眠くする)
筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)
抗けいれん作用(けいれんを抑える)

という4つのはたらきがあります。

エチゾラムにもこれらのはたらきがあり、それぞれの強さは、

抗不安作用は強い
催眠作用は中等度
筋弛緩作用は強い
抗けいれん作用は弱め

おおよそこのようになっています。

そして、これらの作用に関連した副作用が時に生じます。具体的には、

催眠作用で眠気が生じる
筋弛緩作用で、ふらつき、転倒が起こりやすくなる

などが生じる可能性があります。

エチゾラムの作用機序

エチゾラムはどのような作用機序を持っているお薬なのでしょうか。

エチゾラムは「ベンゾジアゼピン系」という種類に属するお薬になります。エチゾラムに限らず、ほとんどの抗不安薬はベンゾジアゼピン系になります。

ベンゾジアゼピン系は、脳神経のGABA-A受容体という部位に作用することで、

抗不安作用(不安を和らげる)
筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)
催眠作用(眠くする)
抗けいれん作用(けいれんを抑える)

の4つの作用を発揮します。

ベンゾジアゼピン系のうち、抗不安作用が特に強いものは「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と呼あれ、エチゾラムもその1つになります。

ちなみにベンゾジアゼピン系のうち、催眠作用が特に強いものは「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と呼ばれます。

ベンゾジアゼピン系は、基本的には先に書いた4つの作用を全て持っています。ただし、それぞれの作用の強さはお薬によって違いがあり、抗不安作用は強いけど、抗けいれん作用は弱いベンゾジアゼピン系もあれば、抗不安作用は弱いけど、催眠作用が強いベンゾジアゼピン系もあります。

エチゾラムは、先ほども書いた通り、

強い抗不安作用
強い筋弛緩作用
中等度の催眠作用
弱い抗けいれん作用

を持っています。

エチゾラムが向いている人は?

エチゾラムはどのような患者さんに向いている抗不安薬なのでしょうか。

エチゾラムは「効果は強いけども、依存・転倒などの副作用にも注意が必要」といった特徴を持つ抗不安薬で、端的に言ってしまえば「ハイリスク・ハイリターン」な側面があります。

効果をしっかり感じられるため、つい使ってしまいやすいお薬ですが、こういった特徴を踏まえると、最初から用いるというよりは、他の抗不安薬で効果が不十分であった際に検討すべきお薬なのではないかと考えます。

まずは効果も副作用もエチゾラムより軽い抗不安薬から始めてみて、それでは効きが不十分であった場合にのみエチゾラムは検討されるべきで、最初から安易に服用するような抗不安薬ではありません。安易な使用は長期的にみて依存性のリスクになります。

また筋弛緩作用が強いことから、特に高齢者の方や足腰の弱っている方への処方は、慎重に行うべきになります。ふらついて転倒してしまうこともありますし、それが原因で骨折などをしてしまえば、寝たきりになってしまう可能性もあります。

ちなみにエチゾラムは、服薬してから血中濃度が最大になるまで約3時間かかり、決して即効性に優れるお薬ではありません。

「エチゾラムはすぐ効く!」と感じている患者さんもいらっしゃいますが、それは全体的な効果が強いから早く効いているように感じているだけで、血中濃度が最大になるまでの時間で考えれば、もっと即効性のある抗不安薬はあります。

例えば、

・クロチアゼパム(商品名リーゼ)
・ブロマゼパム(商品名レキソタン)
・ジアゼパム(商品名セルシン)

などは、服薬してから血中濃度が最大になるまで約1時間であり、エチゾラムよりも即効性があるといえます(もちろん、個人差はあります)。

そのため使用にあたって即効性を求めるのであれば(例えば、緊張するイベントの前に服用したい、など)、デパス以外の即効性に優れる抗不安薬の方が適している可能性があります。

またエチゾラムの半減期は約6時間ほどと長くはないため、1日を通して効果を持続させたい場合は、1日3回に分けて服薬する事となっています。

1日に複数回に分けて服用するのは手間にもなるため、1日を通してしっかりと不安を落ち着かせたい方は作用時間の長い抗不安薬の方が適しているかもしれません。

エチゾラムは使われる疾患は

エチゾラムはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

エチゾラムの添付文書を見ると、適応疾患としては次のように記載されています。

●神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
●うつ病における不安・緊張・睡眠障害
●心身症(高血圧症、胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
●統合失調症における睡眠障害
●下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛

難しく書かれていますが、ざっくりと言うと不安・緊張が強くなったり、筋肉の緊張が強くなってきている状態を和らげるために用いるという認識でよいでしょう。

主には神経症やうつ病、心身症といった精神疾患に用いることが多いのですが、筋肉の緊張をほぐす作用も強いため整形外科的な疾患(頚椎症、腰椎症など)にも適応を持っています。

神経症というのは昔の病名ですが、現在でいう「不安障害」におおよそ該当します。不安が病的に高くなってしまい様々な症状が出てしまう疾患で、パニック障害や社会不安障害などがあります。

うつ病に対して対しても適応がありますが、抗不安薬は抗うつ作用があるわけではありません。そのためうつ病そのものを直接治療する事はできませんが、うつ病に伴う不安や緊張、不眠を和らげる作用が期待できます。

心身症とは、こころ(精神)が原因で身体の異常が出てしまう疾患の総称の事です。例えば食生活が悪くて胃潰瘍になるのは心身症ではありませんが、ストレスで胃潰瘍になるのは心身症になります。同じようにタバコで血圧が上がるのは心身症ではありませんが、ストレスで血圧が上がってしまうのも心身症になります。

統合失調症に対しても、統合失調症そのものを治す作用はありませんが、統合失調症に伴う不眠を改善させる作用は期待できます。

ちなみに正常な人にでも不安や緊張はあるものですが、そのような「正常範囲内の不安・緊張」に抗不安薬を用いる事はありません。抗不安薬は正常範囲内の不安にも効果は認めますが、健常者に使っても副作用などのデメリットの方が大きいからです。

不安感があり、医師が「抗不安薬による治療が必要なレベルである」と判断された場合に
エチゾラムなどの抗不安薬が使われます。

また、頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛といった筋肉の過緊張によって症状が増悪しやすい疾患に対しても、筋肉の緊張をほぐす目的で処方される事があります。

エチゾラムの抗不安作用の強さ

抗不安薬には、たくさんの種類があります。

それぞれ強さや作用時間が異なるため、医師は患者さんの症状に応じて最適な抗不安薬を選択しています。

たくさんある抗不安薬の中で、エチゾラムはどれくらいの強さになるのでしょうか。

他の抗不安薬と比べると、エチゾラムの抗不安作用(不安を和らげる力)は「強い」と言って良いでしょう。

(エチゾラムは「デパス」という抗不安薬のジェネリック医薬品ですので、デパスと同じ強さになります)

エチゾラムは抗不安薬の中でも不安を和らげる作用が強いお薬だという事が分かります。

なお、お薬の効きは個人差も大きいため、この表はあくまでも1つの目安に過ぎないことはご了承下さい。

エチゾラムの特徴

エチゾラムは、1984年に発売されている「デパス」という抗不安薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリック医薬品とは、先発品(ここではデパス)の特許が切れた後に、別の製薬会社から発売されるお薬の事です。効果は先発品と同等でありつつ、開発費があまりかかっていないため薬価が安いというメリットがあります。

抗不安薬は主に不安を和らげる作用を持ったお薬の事で、「安定剤」「精神安定剤」とも呼ばれる事もあります。

エチゾラムは強い抗不安作用を持つ抗不安薬で、患者さんからの人気も高く、精神科のみならず内科や整形外科など多くの科で処方されています。

まずはエチゾラムがどのような特徴を持つ抗不安薬なのかを紹介します。

基本的に抗不安薬は、

抗不安作用(不安を和らげる作用)
筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす作用)
催眠作用(眠くなる作用)
抗けいれん作用(けいれんを抑える作用)

という4つの作用を持っています。この4つの作用の強さはそれぞれの抗不安薬で異なります。そして、

この4つの作用のそれぞれの強さ
お薬の即効性と持続性

に焦点を当てるとそれぞれの抗不安薬の特徴が理解しやすくなります。

エチゾラムは、

強い抗不安作用
強い筋弛緩作用
中等度の催眠作用
弱い抗けいれん作用

を持つ抗不安薬になります(効果には個人差があります)。

エチゾラムは抗不安作用・筋弛緩作用が強いお薬になります。そのため不安を改善させたり身体をリラックスさせる効果に優れます。

筋弛緩作用が強いということは、筋肉の緊張による肩こりなどを改善させてくれるため、エチゾラムは精神科のみならず整形外科などでも処方されます。しかしこれは、足の筋肉が緩んでふらつきやすいということでもあります。特に高齢者の方には、安易にエチゾラムを使用してしまうと転倒や骨折の原因になってしまうこともあり、注意が必要です。

また催眠作用もまずまずありますので、眠りやすくするために服用するという使い方も出来ます。特に不安や焦りなどが眠れない原因であるという場合には、眠る前にエチゾラムを服用する事は有効です。

エチゾラムのデメリットとしては、全体的に効果が強いため、ついお薬に頼りすぎてしまい依存状態になりやすいという点が挙げられます。

即効性や持続性についてはどうでしょうか。

エチゾラムは服用してから約3時間ほどで効果が最大になります。そして半減期(お薬の血中濃度が半分に下がるまでにかかる時間)は約6時間です。半減期はお薬の作用時間と相関するため、作用時間を知る1つの目安になります。

服用してから効果が最大になるまで約3時間かかり、即効性にはそこまで優れるお薬ではありません。

薬効も長くはないため、ワンポイントでの服用(頓用)としてはちょうどよい長さですが、1日を通して効果を安定させるには1日に3回程度に分けて服用する必要があり、手間になります。また作用時間の短いお薬はついつい何度も服用してしまいやすいため、これも依存形成のリスクになります。

以上からエチゾラムの特徴として次のような事が挙げられます。

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【良い特徴】

抗不安作用が強く、不安をしっかりと改善させてくれる
筋弛緩作用が強いため、身体をリラックスさせたり肩こりの改善などにも役立つ
催眠作用もまずまずあるため、眠りやすくしてくれる
ジェネリック医薬品であり薬価が安い

【悪い特徴】

抗不安効果が強く、作用時間も短いため依存になりやすい
筋弛緩作用・催眠作用からふらつき・転倒や骨折の原因となりうる
効果を持続して安定させるには、3回など1日に複数回服用しないといけない

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エチゾラムの特徴を簡単に言うと、「効果は強いけど、副作用にも注意が必要」な抗不安薬だと言えます。強力な抗不安作用・筋弛緩作用は非常に助かるものですが、一方で依存やふらつき・転倒などの副作用も決して軽視はできません。

飲めばしっかりと効果を感じられるため、患者さんからの人気も高いのですが、良く効くからと気軽に頼ってしまうと、のちのち副作用で苦しむことにもなります。

必要以上に多く服薬してしまうと、副作用などの害が多くなってしまいますので、医師と相談しながら必要な量を必要な期間だけの服薬にとどめる事が大切です。

エチゾラム ジェネリック医薬品の安全性は?

エチゾラムは「デパス」という抗不安薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリック医薬品は薬価も安いため、「安全性に問題があるのではないか」と副作用を心配される方もいらっしゃいます。

果たしてエチゾラムのようなジェネリック医薬品は先発品(デパス)と比べて副作用が多いのでしょうか。

ジェネリック医薬品は、先発品の特許が切れると他の製薬会社から発売する事が出来るようになります。

しかし簡単に発売できるわけではなく、発売に当たっては「これは先発品と同じような効果・効能があるお薬です」という事を証明し、それを厚生労働省に提出しないといけません。これを「生物学的同等性試験」と言います。

ジェネリック医薬品はこのような試験を行い、「これは先発品と同等である」と厚生労働省から許可をもらわないと発売できないのです。

つまりジェネリック医薬品は先発品と比べて、副作用の頻度は同じ程度であり、安全性も同等と考えられます。

ジェネリック医薬品の薬価が安いのは、品質が悪いからではありません。ジェネリック医薬品は初めて開発されるお薬ではないため、開発するための費用がほとんどかかっていません。この開発費の差が薬価の差になっているだけです。

そのため、「ジェネリック医薬品は安いから副作用が多いのだろう」という心配は間違いになります。

エチゾラム 副作用を怖がりすぎるのも問題

抗不安薬の副作用(特に依存)はしばしば問題となっており、新聞やニュースなどのメディアでも取り上げられています。そのため、抗不安薬の副作用だけに目が行ってしまい「こんな怖いもの、絶対に飲みたくない!」と過剰な拒否反応を示される方が時々います。

もちろん、お薬を飲まなくても様子を見れる状態であったり、他の治療法で代替できる状態なのであれば、無理にお薬を使わなくても構いません。しかし、専門家である医師が「今は抗不安薬を使った方がいいですよ」と判断するのであれば、過剰に怖がるだけではなく、抗不安薬を使う「利点」にもぜひ目を向けてみてください。

私たち医師は、抗不安薬のメリットもデメリットもしっかりと把握しています。それを天秤にかけた上で「今のこの患者さんには服薬するメリットの方が大きい」と判断したからこそ、服薬を提案しているのです。

医師のしっかりとした管理のもと、限られた期間のみ内服するのであれば、抗不安薬はそこまで怖いお薬ではありません。

抗不安薬が依存性の原因となったり、せん妄の原因になり得るのは事実です。でも、患者さんを不眠から救ってくれるのもまた事実なのです。デメリットだけ見るのではなく、メリットとデメリットをそれぞれ冷静に見るようにしましょう。

抗不安薬と似た物質としてアルコールがあります。アルコールにも抗不安薬と同程度の耐性・依存性があると考えられています。でも、「アルコール依存になるのが怖いんでお酒は一切飲みません」「アルコール依存が怖いから忘年会は欠席します」なんて人はあまりいないですよね。

それはなぜかというと、確かにアルコールは依存になる可能性がある物質だけども、節度を持った飲酒をしていれば依存になることなどほとんどないからです。そして実際にほとんどの人は節度を持った飲酒ができており、アルコール依存に至る人はごく一部です。

アルコール依存になるのは、明らかに過量のお酒を高頻度で飲み続けており、周囲や医師の助言も聞かずに飲み続ける人だけです。

抗不安薬だってそれは同じなのです。主治医が指示した量以上に勝手に飲んでしまったり、主治医が減薬を指示しているのに心配だからと飲み続けたり、依存になるのはそのような方が多いようです。節度を持った服薬をしていれば、アルコールと同じでむしろ依存になることは少ないのです。

アルコールは節度を持って楽しく飲んでいるのに、抗不安薬になるととたんに過剰に拒否反応を示すのは、私たち医療者からするとちょっと不思議に感じます。

もちろん、抗不安薬も飲まないに越したことがないのは事実です。でも、診察した医師が必要だと判断したのであれば、過剰に怖がらずに冷静に医師の話を聞き、服薬を検討してみてください。

上手く使えば症状を早く取ることができるし、病気を早く治すことだってできるのです。

エチゾラムの副作用と対処法

それぞれの副作用やその対処法をひとつずつ詳しくみていきましょう。

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Ⅰ.耐性・依存性形成

長期的に見るとベンゾジアゼピン系で一番問題となる副作用は「耐性」「依存性」です。

ベンゾジアゼピン系は、長期内服・大量内服などの無茶な使い方を続けると耐性・依存性が生じる可能性が高くなります。

耐性というのは、身体が徐々にお薬に慣れてしまう事。最初は1錠飲めば十分効いていたのに、だんだんと身体が慣れてしまい、1錠飲んでも全然効かなくなってしまい服薬量が増えていく、というような状態です。そして依存性というのは、その物質なしではいられなくなってしまう状態をいいます。

耐性も依存性もアルコールで考えると分かりやすいかもしれません。アルコールも耐性と依存性がある物質です。

アルコールを毎日飲んでいると、次第に最初に飲んでいた程度の量では酔えなくなるため、飲酒量が増えていきます。これは耐性が形成されているという事です。

また、過度の飲酒量を続けていると、次第に常にお酒を手放せなくなり、常にアルコールを求めるようになります。これは依存性が形成されているという事です。

抗不安薬にも耐性と依存性がありますが、アルコールと比べて特に強いというわけではありません。そのため、医師の指示通りに内服していれば問題になる事はそれほど多くはありません。アルコールも節度を持って飲酒していれば、アルコール依存症になる事はないのと同じです。

そのため、耐性・依存を形成しないためには、まず「必ず医師の指示通りに服用する」ことが鉄則です。アルコールも抗不安薬も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。医師は、耐性・依存性を起こさないような量を考えながら処方しています。それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいます。

また、アルコールとの併用も危険です。アルコールと抗不安薬を一緒に使うと、お互いの血中濃度を不安定にしてしまうようで、耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。

漫然と飲み続けないことも大切です。基本的に抗不安薬というのは「一時的なお薬」です。ずっと飲み続けるものではなく、不安の原因が解消されるまでの「一時的な」ものです。(長期的に不安を取りたい場合は、抗不安薬ではなくSSRIなどが用いられます)

定期的に「量を減らせないか」と検討する必要があり、本当はもう必要ない状態なのに漫然と長期間内服を続けてはいけません。服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。

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Ⅱ.眠気、倦怠感、ふらつき

ベンゾジアゼピン系は、催眠効果、筋弛緩効果があるため、これが強く出すぎると、眠気やだるさを感じます。ふらつきが出てしまうケースもあります。

エチゾラムはベンゾジアゼピン系抗不安薬の中でも筋弛緩作用や催眠作用が強い方ですので、これらの副作用には特に気を付けなければいけません。特に元々足腰が弱い方や高齢者の方は注意しましょう。

もしこれらの症状が起こってしまったら、どうすればいいでしょうか。

もし内服して間もないのであれば、「様子をみてみる」のも手です。というのも、お薬は「慣れてくる」ことがあるからです。様子を見れる程度の眠気やだるさなのであれば、1~2週間様子をみて下さい。半数以上の例で、副作用の改善がみられます。

それでも眠気が改善しないという場合、次の対処法は「服薬量を減らすこと」です。一般的に量を減らせば作用も副作用も弱まります。抗不安効果も弱まってしまうというデメリットはありますが、副作用がつらすぎる場合は仕方ありません。例えば、エチゾラム1.0mg/日を内服していて眠気がつらいのであれば、0.5mg/日などに減らしてみましょう。

また、「お薬の種類を変える」という方法もあります。より筋弛緩作用や催眠作用が少ない抗不安薬に変更すると、改善を得られる可能性があります。ただしどの抗不安薬にも多少なりとも筋弛緩作用や催眠作用がありますので、どの抗不安薬に変更するかは主治医とよく相談して決めて下さい。

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Ⅲ.物忘れ(健忘)

エチゾラムに限らず、ベンゾジアゼピン系のお薬は心身をリラックスさせるはたらきがあるため、頭がボーッとしてしまい物忘れが出現することがあります。

実際、ベンゾジアゼピン系を長く使っている高齢者は認知症を発症しやすくなる、という報告もあります(詳しくは「高齢者にベンゾジアゼピン系を長期投与すると認知症になりやすくなる【研究報告】」をご覧ください)。

適度に心身がリラックスし、緊張がほぐれるのは良いことですが、日常生活に支障が出るほどの物忘れが出現している場合は、お薬を減薬あるいは変薬する必要があるでしょう。

エチゾラムにはどんな副作用があるのか

エチゾラムは、1984年に発売されている「デパス」という抗不安薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリック医薬品とは、先発品(ここではデパス)の特許が切れた後に、別の製薬会社から発売されるお薬の事です。先発品と同等の効果を持ちつつ、開発費があまりかかっていないため薬価が安いというメリットがあります。

エチゾラムはデパスと同様に強い抗不安作用・筋弛緩作用を持つお薬です。頼れるお薬ではありますが、副作用にも注意が必要なお薬になります。

エチゾラムにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用を防ぐためにはどのような工夫があるのでしょうか。ジェネリック医薬品であるエチゾラムは先発品と比べて安全性に問題はないのでしょうか。

エチゾラムは、抗不安薬の中では副作用は多い部類に入ります。しかしそれは決してエチゾラムが「悪いお薬」だという事ではありません。

エチゾラムは先発品のデパスも含めると、恐らく一番多く処方されている抗不安薬で、患者さんに一番人気のある抗不安薬になります。

その理由は、抗不安作用(不安を和らげる作用)が強く、また筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)や催眠作用(リラックスさせて眠くする)などもしっかりと認めるため、心身を落ち着かせるのに非常に重宝するためです。

強い不安や緊張に襲われている時にこれらをしっかりと和らげてくれるエチゾラムは、とても頼りになります。患者さんから人気があるお薬であるのも当然でしょう。

しかし効果が強力だということは、副作用も強く出やすい傾向があるという事を忘れてはいけません。どんなお薬でも副作用には注意が必要ですが、エチゾラムは特に医師の指示に従って正しく服薬する必要のあるお薬なのです。

ではエチゾラムにはどのような副作用があるのでしょうか。

エチゾラムをはじめとした抗不安薬で一番問題となりやすい副作用に「耐性」「依存性」が挙げられます。

エチゾラムはベンゾジアゼピン系というタイプに属するお薬ですが、ベンゾジアゼピン系はすべて長期・大量に服薬を続けていると「耐性」「依存性」が生じてしまう可能性があります。

【耐性】
お薬に身体が慣れてきてしまい、お薬の効きが段々悪くなってくること。耐性が生じるとお薬の量を増やさないと効果が得られなくなり、その結果服用量がどんどん増えてしまう危険がある。

【依存性】
お薬がないと心身が落ち着かなくなってしまうこと。依存が生じると、お薬の効きがなくなるとイライラ・ソワソワして落ち着かなくなったり、震え・発汗・めまい・しびれ・頭痛などの身体症状が現れてしまう。依存になってしまうとお薬をやめることが難しくなってしまう。

耐性・依存性はどのベンゾジアゼピン系でも生じる副作用ですが、「効果が強い抗不安薬」「半減期が短い抗不安薬」で特に生じやすい事が知られています。

エチゾラムは効果が強く半減期も短いため、耐性・依存形成はベンゾジアゼピン系の中でも多めになります。

半減期とはお薬の血中濃度が半分に下がるまでにかかる時間の事で、そのお薬の作用時間とある程度相関します。一般的に半減期が短い(≒薬効が短い)お薬の方が、耐性・依存性が生じやすいと考えられています。

また、ベンゾジアゼピン系には、

抗不安作用(不安を和らげる)
催眠作用(眠くする)
筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)
抗けいれん作用(けいれんを抑える)

という4つのはたらきがあります。

エチゾラムにもこれらのはたらきがあり、それぞれの強さは、

抗不安作用は強い
催眠作用は中等度
筋弛緩作用は強い
抗けいれん作用は弱め

おおよそこのようになっています。

そして、これらの作用に関連した副作用が時に生じます。具体的には、

催眠作用で眠気が生じる
筋弛緩作用で、ふらつき、転倒が起こりやすくなる

などが生じる可能性があります。