グランダキシンの副作用

それぞれの副作用やその対処法をひとつずつ紹介したいと思います。なお、これらの対処法は決して独断では行わず、主治医の指示のもとで行ってください。

?
Ⅰ.眠気、倦怠感、ふらつき

ベンゾジアゼピン系は、催眠作用(眠くなる)や筋弛緩作用(筋緊張がゆるむ)があるため、これが強く出すぎると眠気やだるさを感じます。ふらつきが出てしまうケースもあります。グランダキシンにもわずかながらも催眠作用や筋弛緩作用があるため、時に眠気・ふらつき・倦怠感が出現することがあります。

もしこれらの症状が起こってしまったら、どうすればいいでしょうか。

もし内服して間もないのであれば、「様子をみてみる」のも有効な方法です。なぜならば、お薬は服薬を続けていると「慣れてくる」ことがあるからです。様子を見れる程度の眠気やだるさなのであれば、1~2週間くらい様子をみてみましょう。副作用が自然と改善していくこともあります。

それでも副作用が改善しないという場合、次の対処法は「服薬量を減らすこと」です。一般的に量を減らせば作用も副作用も弱まります。抗不安作用や自律神経調整作用も弱まってしまうというデメリットはありますが、副作用の方がつらい場合は仕方ありません。

例えば、グランダキシンを1日150mg内服していて眠気がつらいのであれば、1日量を100mgや50mgなどに減らしてみましょう。

?
Ⅱ.耐性・依存性形成

多くの抗不安薬に言える事ですが、長期的に見ると「耐性」「依存性」は一番の問題になります。ベンゾジアゼピン系は、長期内服・大量内服などの無茶な使い方を続けると耐性・依存性を起こす可能性が高くなります。

耐性というのは、身体が徐々に薬に慣れてしまう事。最初は1錠飲めば十分効いていたのに、だんだんと身体が慣れてしまい、1錠飲んでも全然効かなくなってしまう、というような状態です。依存性というのは、その物質なしではいられなくなってしまう状態をいいます。

耐性も依存性もアルコールで考えると分かりやすいかもしれません。アルコールにも耐性と依存性があります。

アルコールを常用していると、次第に最初に飲んでいた程度の量では酔えなくなるため、次第に飲酒量が増えていきます。これは耐性が形成されているという事です。また、過度の飲酒量を続けていると、次第に常にお酒を手放せなくなり、常にアルコールを求めるようになります。これは依存性が形成されているという事です。

ベンゾジアゼピン系には耐性と依存性がありますが、アルコールと比べて特に多いというわけではなく、医師の指示通りに内服していれば問題になる事はそれほど多くはありません。アルコールも節度を持って飲酒していれば、アルコール依存症になる事はありませんよね。特にグランダキシンは、作用が非常に弱いお薬ですので、よほどひどい飲み方をしなければ依存で困ることは、まずないといってもいいでしょう。

耐性・依存を形成しないためには、まず「必ず医師の指示通りに服用する」ことが鉄則です。アルコールもベンゾジアゼピン系も、量が多ければ多いほど耐性・依存性が早く形成される事が分かっています。

医師は、耐性・依存性を起こさないような量を考えながら処方しています。それを勝手に倍の量飲んだりしてしまうと、急速に耐性・依存性が形成されてしまいます。

アルコールとの併用も危険です。アルコールとベンゾジアゼピン系を一緒に使うと、お互いの血中濃度を高め合ってしまうようで、耐性・依存性の急速形成の原因になると言われています。

また、「漫然と飲み続けない」ことも大切です。基本的にベンゾジアゼピン系というのは、「一時的なお薬」です。ずっと飲み続けるものではなく、不安の原因が解消されるまでの「一時的な」ものだと認識するようにしましょう。

そのため、定期的に「量を減らせないか」と検討する必要があり、本当はもう必要ない状態なのに漫然と長期間内服を続けてはいけません。服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。

グランダキシンにはどんな副作用があるのか

グランダキシンは1986年に発売された自律神経調整薬です。

自律神経調整薬というのは聞き慣れない名称ですが、自律神経のバランスを整えるお薬だと言うことです。しかし特殊な作用機序を持つお薬ではなく、グランダキシンはベンゾジアゼピン系に属するお薬であるため、基本的にはベンゾジアゼピン系抗不安薬(不安を和らげるお薬)と同様の作用を持つお薬になります。

グランダキシンは他の抗不安薬と比べて、非常に穏やかな作用を持ち、その分副作用も非常に少ないのが特徴です。

効果に物足りなさを感じることも多いですが、安全性は非常に高いお薬になります。

穏やかに不安を取ってくれるグランダキシンは、「お薬の副作用が心配だ」という患者さんにも使いやすいお薬になります。そのため、精神科・心療内科をはじめ内科や産婦人科・整形外科など多くの科で処方されています。

しかしお薬である以上、副作用がまったく起こらないわけではありません。

グランダキシンは自律神経調整薬という名称がついてはいますが、基本的にはベンゾジアゼピン系ですので、他のベンゾジアゼピン系抗不安薬と同じような副作用が生じる可能性があります。しかし他の抗不安薬と比べると、効果が非常に穏やかであるため、副作用も全体的に少ないお薬です。

基本的にベンゾジアゼピン系は、

抗不安作用(不安を和らげる)
催眠作用(眠くする)
筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)
抗けいれん作用(けいれんを抑える)

という4つのはたらきがあることが知られています。グランダキシンもこれらのはたらきがあります。それぞれの強さはお薬によって異なり、グランダキシンはと言うと、

抗不安作用は弱い
催眠作用は非常に弱い
筋弛緩作用は非常に弱い
抗けいれん作用は非常に弱い

おおよそこのような強さになります(個人差があるため、あくまでも目安です)。どの作用も非常に穏やかであり、ほとんど効果を感じない方も少なくありません。

しかし、これらの作用があるため、これらに関連した副作用が生じることがあります。具体的には、

催眠作用で眠気が生じる
筋弛緩作用で、ふらつき、転倒が起こりやすくなる

などです。

また、その他にもベンゾジアゼピン系で一番問題に挙げられる副作用として「耐性」「依存性」があります。グランダキシンもベンゾジアゼピン系に属するお薬ですので耐性・依存性があります。ベンゾジアゼピン系はすべて、医師の指示を守らずに長期・大量に服薬を続けていると「耐性形成」「依存性形成」が生じてしまう可能性があるのです。

耐性とは、身体がお薬に慣れてきてしまい徐々にお薬の効きが悪くなってくることです。そして依存性とは、そのお薬を手放せなくなってしまう、そのお薬を飲まないといても立ってもいられなくなってしまう、という状態になってしまうことです。

しかし作用が非常に穏やかなグランダキシンは、耐性・依存性が生じるリスクはゼロではないものの、よほど無茶な服薬をしなければこれらで困ることはないと考えても良いでしょう。実際、依存性がない物質ではありませんが、臨床でグランダキシンの依存で困ったケースというのは私は経験したことがありません。

グランダキシン 依存を過剰に怖がらないで下さい

「グランダキシンはほとんど依存性のないお薬です。しかしベンゾジアゼピン系ですので、わずかな依存性はあります。」

このように説明すると「ちょっとでも依存性があるなんて怖い!」「そんなお薬は飲みたくありません」と訴える患者さんも時々いらっしゃいます。

ベンゾジアゼピン系の依存は社会問題にもなっており、しばしば新聞などのメディアでも取り上げられています。そのためか、最近は依存性のあるお薬を怖がって、「依存が怖いから精神科のお薬は一切飲みたくありません!」と言う方もいらっしゃいます。

もちろんお薬を飲まないで治るのであれば、飲まないに越したことはありません。しかし、診察した医師が「お薬を使った方が良い」と判断する状態なのであれば服薬は前向きに検討してみてください。

服薬した方が総合的なメリットは高い、と判断したから主治医はそのお薬の服薬を勧めたのです。

精神科のお薬を飲むと絶対に依存になると怖がる人がいますが、そんなことはありません。むしろ、医師の指示通りの量を、決められた期間だけ服薬していただけであれば、依存にならない人の方が圧倒的に多いのです。グランダキシンは依存性が非常に低いですので尚更です。

依存になるのは、医師の指示を守らずに

勝手に量を調節してしまう
医師が減薬を勧めても、「薬をやめるのが不安」と現状維持を希望する
定期的に来院せず、服薬も飲んだり飲まなかったりバラバラ

などの方がほとんどです。

依存形成を起こす身近な物質にアルコールがありますが、「アルコール依存になるのが怖いから、飲み会は欠席します!」という人はいないと思います。

アルコールに依存性があることは多くの方が知っているはずですが、なぜアルコールは怖がらないのでしょうか?

それは、アルコールは依存にはなる可能性がある物質だけど、適度な飲酒を心掛けていれば、依存になることなどないからです。そしてほとんどの人は節度を持った飲酒が出来ており、依存になりません。

アルコール依存になるのは、

度を越した飲酒をし続ける人
周囲や医師が「飲酒を控えて」とアドバイスしても聞かない人

ですよね。

アルコールだって、ベンゾジアゼピン系だってその点は同じです。

アルコールは依存なんて気にせず飲むのに、抗不安薬になると「依存になる!」と過剰に怖がるのは、私たち専門家から見るとなんだか不思議に感じます。

アルコールと一般的なベンゾジアゼピン系抗不安薬のどちらが依存性が強いか、というのは研究によって様々な結果が出ていますが、おおむねの印象としては「ほぼ同等か、アルコールの方が若干強い」と思われます。グランダキシンとアルコールでしたら、間違いなくアルコールの方が依存性は強いでしょう。

また、他にもコーヒーに含まれるカフェインやタバコに含まれるニコチンにも依存性が報告されています。依存性が心配であれば、コーヒーは一切飲むべきではありませんが、そんな理由でコーヒーを飲まないという方は見たことがありませんよね。依存性がある物質でも、依存性が低いものであって、摂取量も適量にとどまっているのであればそこまで心配する必要はないことが分かります。

もちろんお薬を飲まないに越したことはないのですが、必要がある期間はしっかりと内服することも大切です。

そして専門家である医師の指示をも守って、必要な期間・必要な量だけ服薬するのであれば、「依存性がある」というだけで過剰に怖がるものではありません。

グランダキシン 依存にならないために気を付ける事 詳細

Ⅰ.服薬期間はなるべく短くなるようにする

ベンゾジアゼピン系は漫然と飲み続けてはいけません。

ベンゾジアゼピン系は1か月で依存性が形成される、と指摘する専門家もいます。もちろん種類や量によるので一概には言えませんが、長期間飲めば依存形成が生じやすくなるのは間違いありません。

病気の症状がつらく、お薬が必要だと判断される期間に服薬をするのは問題ありません。この期間は、病気の症状を取ってあげるメリットと依存形成のデメリットを天秤にかけて
メリットの方が大きいと判断されれば、服薬はすべきです。

しかし、良くなっているのにいつまでも「なんとなく」「やめるのも不安だから」という理由で服薬を続けるのは注意です。

基本的にベンゾジアゼピン系は、ずっと飲むものではありません。症状が特につらい期間だけ服薬する「一時的な補助薬」だという認識を持ちましょう。

症状や病気が改善してきたら定期的に主治医と「量を減らせないだろうか?」と検討してください。

?
Ⅱ.服薬量をなるべく少なくなるようにする

苦しい症状があると、ついつい「症状を取りたい!」とたくさんのお薬を飲みたくなります。しかし、服薬量が多ければそれだけ依存になりやすくなります。

服薬量は、必ず主治医が指定した量を守ってください。医師は依存性のリスクも常に念頭に置きながら服薬量を決めています。それを勝手に2倍飲んだり3倍飲んだりすれば、急速に依存が形成されてしまいます。

また、症状や病気が改善してきたら定期的に「お薬の量を減らせないだろうか?」と検討してみてください。

グランダキシン 依存にならないために気を付ける事

グランダキシンは依存を形成する危険性はほとんどないお薬です。そのため、基本的には依存の心配はしなくてもいいでしょう。

しかし依存性がゼロかというとそうではありません。ベンゾジアゼピン系である以上、依存性はわずかながらあるのです。万が一にもグランダキシンで依存にならないために、服用している患者さんが出来ることはあるのでしょうか。

アルコール依存の方が、アルコールをやめるのはかなり大変です。何とかやめれたとしても、多くの方はしばらく経つとまたアルコールを飲んでしまいます。一度依存になってしまうと、そこから抜け出すのはかなりの労力を要するのです。そのため、依存になってから焦るのではなく、「依存にならないように注意する」という予防が何よりも大切になります。

依存にならないためには、どんなことに気を付ければいいでしょうか。

先ほど、依存になりやすい特徴をお話ししましたね。

復習すると、

効果が強いほど生じやすい
半減期(=お薬の作用時間の目安)が短いほど生じやすい
服薬期間が長いほど生じやすい
服薬している量が多いほど生じやすい

でした。

これと反対のことを意識すれば、依存は生じにくくなると言えます。つまり、

効果が弱い抗不安薬を選択する
半減期が長い抗不安薬を選択する
服薬期間はなるべく短くなるようにする
服薬量をなるべく少なくなるようにする

ということです。

グランダキシンは他の抗不安薬と比べると、強さは「最弱」と言ってもいいので、1.はそこまで意識する必要はないでしょう。またグランダキシンは半減期は短いのですが、同じくらいの効果のお薬で作用時間の長いものはないため、2.も工夫できることはありません。

グランダキシンの依存において大切なのは3.と4.です。

グランダキシン 依存ってなに?

そもそも「依存」ってどんな状態の事を言うのでしょうか。

依存というのは、その物質(ここではグランダキシンのこと)が無いと落ち着かなくなってしまい、常にその物質を求めてしまう状態です。

アルコール依存であれば、アルコールが無いと落ち着かず常に飲酒してしまう状態、ゲーム依存だったら、ゲームをしていないと落ち着かずにゲームが手放せなくなってしまう状態のことです。

つまり、グランダキシンの依存とは、グランダキシンに頼り切ってしまい、手放せず、いつまでたっても服薬を止められない状態のことです。

ベンゾジアゼピン系依存の生じやすさは、

効果が強いほど生じやすい
半減期(=お薬の作用時間の目安)が短いほど生じやすい
服薬期間が長いほど生じやすい
服薬している量が多いほど生じやすい

と言われています。

効果が強いと、「効いている!」という感覚が得やすいので、つい頼ってしまいやすくなり、依存しやすくもなります。

半減期が短いとお薬がすぐに身体から抜けてしまうので服薬する回数が多くなり、これもまた依存しやすい原因となります。

また、飲んでいる期間・量が多ければ多いほど、身体がどんどんお薬に慣れきっていくため、依存に至りやすいのです。

グランダキシンはというと、半減期は短いものの、効果が非常に弱いため、依存になることは非常に稀です。

グランダキシンに依存性はあるのか

グランダキシンは自律神経調整薬というお薬で、主に自律神経症状の改善に効果を示します。

グランダキシンは構造的にはベンゾジアゼピン系に属しています。ベンゾジアゼピン系には依存性があることが知られていますが、グランダキシンにも依存性はあるのでしょうか。

どんなお薬にも副作用がありますが、その中でも依存は注意すべき副作用の一つです。そのため依存性のあるお薬を服薬している場合は、そのことをしっかりと理解しながら、正しく服薬をする必要があります。

ベンゾジアゼピン系には全て依存性があることが知られていますが、依存形成のしやすさはお薬によってそれぞれ違います。

グランダキシンもベンゾジアゼピン系に属するお薬ですが、依存性はあるのでしょうか。

結論から言うとグランダキシンの依存性は、「極めて低く、ほぼ認めない程度」だと言えます。

ベンゾジアゼピン系のお薬は全て依存性があります。グランダキシンも構造的にはベンゾジアゼピン系ですので、依存性はあります。

しかし依存性の強さは同じベンゾジアゼピン系でもそれぞれ異なります。一般的に効果が強いほど依存性も強くなると考えられています。また、半減期が短いほど依存になりやすくなることも指摘されています。

半減期とは、お薬の血中濃度が半分に落ちるまでにかかる時間のことで、作用時間の目安の一つとして使われています。半減期が短いと薬効が短いため血中濃度の変動が大きくなり、つい何度も服用してしまいやすくなるのです。

グランダキシンは半減期は1時間未満と非常に短いのですが、効果が非常に穏やかであるため依存はほとんど形成しません。

実際グランダキシンの安全性試験では、グランダキシンの依存性について次のように記載されています。

更年期障害並びに卵巣欠落症状の患者10例を対象にグランダキシン 錠50(50mg)を1回1錠、1日3回、4~8週間投与し、本剤の依存性を依存性調査票を用いて検討した。その結果、依存性に関連すると考えら れる所見はなく、グランダキシン錠50が依存性を生じる可能性は考えにくいと結論された。

わずか10名を対象とした試験ですので、これだけで判断することはできませんが、臨床的な印象としても、他の抗不安薬と比べてグランダキシンの依存性は極めて低いと感じます。グランダキシンに依存状態になってしまった患者さんはほとんど経験したことがありません。

グランダキシンの作用機序

グランダキシンは「ベンゾジアゼピン系」という種類のお薬になります。グランダキシンに限らず、ほとんどの抗不安薬はベンゾジアゼピン系に属します。

ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体という部位に作用することで、先ほど説明した抗不安作用、筋弛緩作用、催眠作用、抗けいれん作用の4つの作用を発揮します。ベンゾジアゼピン系のうち、抗不安作用が特に強いものが「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と呼ばれます。

グランダキシンは抗不安作用が強いわけではないので、正確には抗不安薬に属しておらず「自律神経調整薬」という種類になっていますが、作用機序としては基本的にベンゾジアゼピン系抗不安薬と同じです。

グランダキシンは、

弱い抗不安作用
非常に弱い筋弛緩作用
非常に弱い催眠作用
非常に弱い抗けいれん作用

を持っています。抗不安作用は多少感じられることはありますが、残り3つの作用は通常量の服薬であればほとんど自覚できない程度です。

またグランダキシンの特徴として、 自律神経のバランスを整えることで自律神経症状に効果があるということが挙げられます。中枢神経(視床下部)および末梢神経の自律神経系に作用して、交感神経(興奮の神経)と副交感神経(リラックスの神経)のバランスを改善します。

そのため、種々の自律神経症状(頭痛、動悸、腹痛、吐き気、倦怠感、発汗など)に対して改善させる作用も持ちます。

グランダキシンが向いている人は?

グランダキシンは、「効果は弱いけど、副作用(眠気、転倒、依存など)も非常に少ない」といった位置づけのお薬で、安全性に非常に優れるお薬です。

「グランダキシンは全く効かない」と言う患者さんも少なくありませんが、大きな副作用で困ってしまう患者さんもほとんどいません。

こういった特徴を踏まえると、症状が比較的軽度の方、安全性を重視してゆっくりと治療できる方に向いているお薬ではないかと思われます。また、自律神経症状に対する効果があるため、軽度の自律神経症状が前景にある患者さんも試してみる価値はあるお薬です。

反対に、症状が重い方に対してはオススメしずらいお薬になります。重い症状に対して、グランダキシンが十分に効くかというと力不足な感は否めないからです。

グランダキシンは使われるのはどんな疾患か

2015年6月現在のグランダキシンの添付文書を見ると、適応疾患としては次のように書かれています。

下記疾患における頭痛・頭重、倦怠感、心悸亢進、発汗等の自律神経症状

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害・卵巣欠落症状

主に自律神経失調症における諸症状の改善に対しての適応を持っています。また更年期障害や外傷後の自律神経症状にも効果を有するため、産婦人科や整形外科で処方されることもあります。

適応をみると、抗不安薬としての不安を和らげる作用ではなく、自律神経神経のバランスを整える作用に対しての適応が中心となっていますね。実際、ベンゾジアゼピン系ではありますが抗不安作用はかなり弱いため、「自律神経のバランスを整える」目的で処方されることが多いお薬です。

グランダキシンの使い方は、

通常、成人にはトフィソパムとして1回50mg、1日3回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

となっており、1日3回服薬する必要があります。グランダキシンは作用時間が短く、半減期は1時間未満と報告されていますので、1日を通して効果を安定させるためには複数回服薬する必要があるのです。

(半減期:お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、作用時間の目安のひとつになる値)

グランダキシンの強さはどのくらいか?

抗不安薬にはたくさんの種類があり、それぞれ強さや作用時間が異なります。そのため医師は患者さんの症状からどの抗不安薬を処方するかを決定します。

他の抗不安薬と比べて、グランダキシンの抗不安作用(不安を和らげる力)はどのくらいなのでしょうか。

抗不安薬 作用時間(半減期) 抗不安作用
グランダキシン 短い(1時間未満) +
リーゼ 短い(約6時間) +
デパス 短い(約6時間) +++
ソラナックス/コンスタン 普通(約14時間) ++
ワイパックス 普通(約12時間) +++
レキソタン/セニラン 普通(約20時間) +++
セパゾン 普通(11-21時間) ++
セレナール 長い(約56時間) +
バランス/コントール 長い(10-24時間) +
セルシン/ホリゾン 長い(約50時間) ++
リボトリール/ランドセン 長い(約27時間) +++
メイラックス 非常に長い(60-200時間) ++
レスタス 非常に長い(約190時間) +++

グランダキシンは不安を取る力が弱いお薬になります。ベンゾジアゼピン系の中で最弱、といっても過言ではないでしょう。

なお、お薬の効きは個人差も大きいため、この表はあくまでも目安としてご覧ください。

グランダキシンの総評

グランダキシンは1986年に発売された自律神経調整薬です。自律神経調整薬というのは聞き慣れない名称ですが、グランダキシンはベンゾジアゼピン系に属するお薬であるため、基本的には抗不安薬(不安を和らげるお薬)と同様のお薬です。

グランダキシンは抗不安薬の中でも、非常に穏やかな抗不安作用を持ち、その分副作用も非常に少なくなっています。

効果に物足りなさを感じることも多いですが、安全性は非常に高いお薬になります。

穏やかに不安を取ってくれるグランダキシンは、「お薬の副作用が心配だ」という患者さんにも使いやすいお薬になります。そのため、精神科・心療内科をはじめ内科や産婦人科・整形外科など多くの科で処方されています。

まずはグランダキシン錠の総評を紹介します。

【効果】

弱い抗不安作用
非常に弱い筋弛緩作用
非常に弱い催眠作用
非常に弱い抗けいれん作用

グランダキシンをはじめとしたベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬には、抗不安作用(不安を取る作用)、筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)、催眠作用(眠くする)、抗けいれん作用(けいれんを抑える)の4つの作用があります。ベンゾジアゼピン系のお薬は全て、この4つの作用を持っています。この4つの作用のそれぞれの強さはお薬によって異なるため、各病状にあったものを選びます。

グランダキシンのそれぞれの効果の強さを表すと上のようになります(個人差があるため、あくまで目安です)。軽い抗不安作用は認めますが、その他の作用はかなり弱く、ほとんど感じられないという方がほとんどでしょう。

またグランダキシンは「自律神経症状のバランスを整える」というはたらきが認められており、自律神経のバランス異常で生じている諸症状に用いられることもあります。

自律神経症状といってもその症状は多岐に渡りますが、頭痛、胃痛、動悸、発汗など自律神経の異常で生じている症状は全てが該当します。ただし、これら自律神経症状に対する改善作用も非常に穏やかです。

グランダキシンの特徴を一言でいうと、「効果は弱い・でも副作用もほとんどなくて安全」というものになります。症状が非常に強い患者さんには十分に効かず、物足りなさもありますが、眠気・ふらつき・依存などの副作用はほとんど認めないため、安全性には優れます。

また薬価ですが、他の抗不安薬と比べるとやや高めになります。50mg錠で15.70円(2015年6月現在)ですので、1日47円ほどかかります。対して代表的な抗不安薬のデパス(エチゾラム)を見てみると0.5mg錠で9円ですので、標準的な量である1日1.5mgの使用であれば27円ほどです。ワイパックス(ロラゼパム)も0.5mg錠で6.1円であり、同様に1日1.5mgの使用であれば18円ほどです。

グランダキシンが驚くほど高い、というわけではありませんが、他の抗不安薬と比べるとやや高めです。

以上から、グランダキシンの特徴は次のように考えられます。

【良い特徴】

効果が非常に穏やか。不安を穏やかに和らげてくれる
自律神経症状にも有用
眠気・ふらつき・依存性などの副作用はほとんど認めない

【悪い特徴】

全体的に効果が弱く、物足りなさがある
他の抗不安薬と比べてちょっと値段が高い

セディールの副作用と対処法

セディールの副作用は極めて少なく、出ても軽度であることがほとんどです。

しかし副作用が問題になる可能性が絶対にないか、そんなことはありません。副作用が少ないとは言え、おくすりである以上は副作用には注意を払わないといけません。

セディールで副作用が出た場合、どのように対処するのかを紹介します。

なお、副作用の対処は独自の判断では行わず、必ず主治医の指導の下で行ってください。

?
Ⅰ.眠気、倦怠感、ふらつき

セディールはセロトニン1A受容体を刺激するはたらきがあります。セロトニン1A受容体が刺激されると、セロトニン神経の活動が抑制されます。このセロトニン神経の抑制が抗不安作用をもたらすと考えられています。

不安が改善するということは、「リラックスする」ということになります。適度なリラックス効果であればいいのですが、効きすぎてリラックスさせすぎてしまうと、眠気やふらつき、だるさなどが出現します。

セディールで眠気やふらつき、倦怠感が出現した時、第一にとるべき対処法は「様子をみること」です。セディールで生じるこれらの症状は軽度であることが多く、またしばらく飲み続けると身体がおくすりに慣れてくるため、副作用は自然と軽減していくことがあるからです。

様子をみれる程度の眠気、ふらつき、倦怠感であれば1-2週間ほど様子をみてみましょう。

それでも症状が改善しない場合、次の対処法は「服薬量を減らす」ことになります。一般的に量を減らせば作用も副作用も弱まります。抗不安作用も弱まってしまうというデメリットはありますが、相対的にみて抗不安作用というメリットよりも、副副作用というデメリットの方が大きいようであれば減薬を考えましょう。

例えば、セディールを1日60mg内服していて副作用がつらい場合、1日量を40mgや30mgに減らしてみるのがよいでしょう。

「抗不安薬の種類を変える」という方法もありますが、ほとんどの抗不安薬はセディールよりこれらの副作用が強いため、種類を変えることでかえって症状が悪化してしまう可能性があります。種類を変える場合は、主治医としっかり相談してから適応を判断してください。

Ⅱ.悪心・食欲不振

セディールはセロトニン受容体に作用するおくすりですが、実はセロトニン受容体というのは消化管(胃や腸)にも多く分布しています。そのため、消化管のセロトニン受容体に作用してしまい、悪心(気持ち悪さ)や食欲不振を生じてしまうことがあります。

また、セロトニン受容体は摂食中枢にも関与しており、主に摂食行動を抑制する方向に働きます。そのため、食欲不振が出てしまうこともあります。

悪心・食欲不振が出現した場合も、第一にとるべき対処法は「様子をみること」です。理由は先ほどと同じで、セディールで生じるこれらの症状は軽いことが多く、またしばらく飲み続けることで身体がおくすりに慣れてきて、副作用が軽減することがあるからです。

様子をみれそうな程度であれば1-2週間ほど様子をみてください。

それでも症状が改善しない場合、次の対処法も同じく「服薬量を減らす」ことです。副作用が改善せず、つらい場合は減薬を検討します。

悪心、食欲不振などの症状はつらいけど、セディールの効果も感じるから減薬はしたくない、という場合は、胃薬を併用することで消化器症状を改善させるという方法もあります。おくすりの副作用をおくすりで抑える、という状態になってしまいますが、セディールをやめたくない場合にはこの方法も取られます。

また、このような消化器症状は、セロトニンが原因で生じていますので、セロトニンには影響を与えないベンゾジアゼピン系抗不安薬に変更すれば、消化器症状の副作用は改善します。

そのため、これら消化器症状がつらい場合はベンゾジアゼピン系への変薬も方法になります。ただし、消化器症状は改善するでしょうが、依存性などその他の副作用の可能性が今度は出てきます。そのため、変薬を検討する時は主治医とよく相談の上で判断する必要があります。

Ⅲ.その他

眠気、ふらつき、倦怠感
悪心、食欲不振

これら以外にも副作用として生じるものはありますが、頻度が少ないためここでは詳しくは紹介しません。

セディールに限らず、おくすりの副作用というものは、稀なものまで含めれば非常に多くあります。このコラムの目的は、副作用を稀なものも含めて全て羅列することではなく、臨床でよく見られる副作用とその対処法を紹介することですので、副作用全てを列挙することはここではしません。

ある程度の頻度で起こりうる副作用を挙げると、頭痛、手足のしびれ、不眠、肝機能障害、腎機能障害、動悸、頻脈、口渇、便秘、発疹、目のかすみ、ほてり、多汗などが報告されています。

しかしその頻度は少なく、全体的に見ればセディールは副作用の非常に少ないおくすりであると言えます。

セディールの副作用の特徴

セディール錠(一般名:タンドスピロン)は1996年に発売された不安薬です。抗不安薬は、不安感を取る作用を持つおくすりで、「安定剤」「精神安定剤」と呼ばれることもあります。

抗不安薬というと、現在使われているもののほとんどがベンゾジアゼピン系と呼ばれるものです。ベンゾジアゼピン系は即効性があり効果も感じやすいため人気がありますが、依存性などの副作用があることは知っておかなければいけません。

セディールは、ベンゾジアゼピン系ではない唯一の抗不安薬です。セディールはセロトニン1A部分作動薬という種類のおくすりになり、ベンゾジアゼピン系と異なった作用機序で不安を和らげます。

作用機序が異なるため、副作用もベンゾジアゼピン系とは異なります。

セディールは、副作用が極めて少ない抗不安薬です。

副作用が極めて少ないのが、セディールの副作用の特徴といってもいいでしょう。特に、依存性が無いというのはセディールの大きな利点です。

抗不安薬の代表選手はベンゾジアゼピン系ですが、ベンゾジアゼピン系には依存性があります。ベンゾジアゼピン系は抑制系の受容体であるGABA-A受容体のはたらきを増強することで全身に鎮静をかけるため、眠気やふらつき、健忘などの副作用が起こることもあります。

それに対してセディールは、依存性は認めず、眠気やふらつきは認めるものの、ベンゾジアゼピン系と比べれば軽度なものがほとんどです。

セディールは、主に大脳辺縁系に存在するセロトニン1A受容体を刺激することで抗不安作用を発揮します。副作用は出ない事がほとんどですが、時に

眠気、ふらつき
倦怠感
悪心、食欲不振

などが生じることがあります。しかし、いずれも軽度であることがほとんどであり、問題になるほどの重い症状になることは稀です。

?

ただし、セディールは副作用が軽い分、効果も弱めです。セディールには不安や恐怖、そしてうつを改善させる作用がありますが、いずれも効果は穏やかで弱く、物足りなさを感じる方が多いのも事実です。

セディールが安全性に優れる良いお薬であるにも関わらず、抗不安薬の主役になれないのは、この効果の弱さがネックとなっています。

セディールの作用機序

抗不安薬として、よく使われているのはベンゾジアゼピン系です。

ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体という部位に作用することで、抗不安作用を発揮します。また抗不安作用以外にも

・催眠作用(眠くする)
・筋弛緩作用(筋肉の緊張を和らげる)
・抗けいれん作用(けいれんを抑える)

を持っているのがベンゾジアゼピン系の特徴です。

そのため、ベンゾジアゼピン系は睡眠薬として使ったり、筋緊張による肩こりや頭痛の改善にも使うこともあります。しかし反面で、これらは眠気やふらつきなどの副作用の原因にもなります。

対してセディールは「セロトニン1A部分作動薬」と呼ばれます。脳内のセロトニン1A受容体(5‐HT1A受容体)作用することで、抗不安作用を発揮します。ベンゾジアゼピン系と違ってGABA-A受容体に作用しないため、催眠作用や筋弛緩作用、抗けいれん作用は認めません。つまり、ふらつきや眠気などの副作用も起こりにくいということです。