ドグマチールに多い副作用

ドグマチールは1973年に発売された古いおくすりです。

抗うつ剤としては使われることが多いおくすりですが、効果も良く即効性もあり副作用も少ないため、一昔前はうつ病治療の主力選手でした。

しかし、副作用の頻度自体は多くないものの、他の抗うつ剤には見られない重篤な副作用がまれに起こることがあるため注意が必要です。

最近ではうつ病に処方される頻度が徐々に減ってきていますが、他の抗うつ剤とは違う作用機序を持ったドグマチールは使い方を間違えなければ、今でもうつ病治療の強い武器であるのは間違いありません。

どんなおくすりにも副作用があります。
一般的には安全と思われている漢方薬だって、副作用の報告はいくつもあるのです。

ドグマチールの副作用は、他の抗うつ剤と比較して決して多くはありませんが、
作用機序が独特であるため、他の抗うつ剤には無い副作用が起こることがあります。

ここでは、ドグマチールの副作用の中から、特に注意すべきものや
臨床で特に見ることの多い副作用を紹介します。

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ドグマチールの抗うつ剤としての作用機序は、ドーパミン自己受容体を遮断し
脳のドーパミンを増やすことだと考えられています。

一方でドグマチールは、用量によってはドーパミンを遮断することで
ドーパミン量を少なくするという正反対のはたらきもあります。
これは統合失調症の治療に使う、抗精神病薬と同じ働きです。

そのため、時としてドグマチールは統合失調症のおくすりと同じ副作用が起き得るのです。
これが他の抗うつ剤の副作用との最大の違いです。

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具体的なドグマチールの副作用としては、

錐体外路症状
乳汁分泌(プロラクチン上昇)、性機能障害
食欲亢進、体重増加

などがあります。

「錐体外路症状が起こり得る」
「ホルモンバランスを崩して、乳汁分泌が起こり得る」

この2点が、他の抗うつ剤には無い副作用です。

反面で、他の抗うつ剤に多く認められる、口渇・便秘、ふらつき・めまい、吐き気、眠気などは
少なめです(起こさないわけではありません)。

ドグマチールで太った時の対処法

ドグマチールを内服していて、体重が増えてしまったらどうすればいいでしょうか。
対処法を考えてみましょう。

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1.生活習慣を見直す

太ってしまったときに一番大切なこと、それは生活習慣を見直すことです。
おくすりが原因だとしても、この大原則は変わりません。

規則正しい生活、適度な運動などの生活改善を行えば、
たとえ抗うつ剤を内服していたとしても体重は落ちやすくなります。

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抗うつ剤を飲むと、体重が「落ちなくなる」のではありません。「落ちにくくなる」だけです。
不要なカロリーを制限したり、身体の代謝を上げたりして、
体重が増える要素よりも体重が落ちる要素が上回れば必ず体重は落ちていきいます。

毎日三食、規則正しく食べていますか?
量やバランスは適正でしょうか?
間食や夜食などをしていませんか?

適度な運動はしていますか?

散歩などの運動でも脂肪燃焼には効果があります。
余裕があればジョギングやサイクリングなど
強度の高いものにトライすれば代謝は更に改善されます。

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2.抗うつ剤の量を減らしてみる

もし精神状態が安定しているのであれば、 減薬を考えてみるのも方法です。
主治医と相談してみましょう。

体重増加で困っているのであれば、必ず主治医に相談しましょう。
もしかしたら主治医は、あなたの体重増加をあなたほど重くは捉えていないかもしれません。

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というのも、体重が増えて困るかどうかは人それぞれだからです。

ガリガリに痩せた男性であればちょっと体重が増えても全然困らないでしょう。
でも、スタイルに気を使っている若い女性にとって、体重が増えることは大きな恐怖です。

体重増加に対して主治医とあなたとの間に認識のギャップがある恐れがあります。
特に年配の先生だったりすると、若い子の感性とはどうしても異なってしまうため、
何で困るのかは意外と分からないものです。

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ただし、病状によっては薬の量を減らせないこともあります。
主治医と相談した上で、お薬を減らせないという結論になった場合は、勝手に減らしてはいけません。
必ず主治医の判断に従ってください。

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3.別の抗うつ剤に変えてみる

別の抗うつ剤に変えてみるという手もあります。

体重増加を起こしにくい、ということだけで考えれば
候補に挙がるのはサインバルタやジェイゾロフトあたりでしょうか。

ただし、それぞれの抗うつ剤には長所と短所がありますので、
体重増加の視点だけで考えるのではなく、総合的に判断することが大切です。

やはり主治医とよく相談して決めてください。

ドグマチール本当に抗うつ剤の副作用で太ったのか?

「抗うつ剤で太る」ということは、最近では多くの患者さんが理解するようになってきました。
そのためか、太ってきたらすぐに「くすりのせい」と決めつけてしまうケースもしばしば見られます。

太ってきた時、抗うつ剤のせいと安易に決めつけてはいけません。
本当に抗うつ剤のせいなのかをしっかり見極めて下さい。

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例えば、うつ病で部屋に閉じこもりっぱなしだったとしたら太るのは当然でしょう。
ストレスでやけ食いしているのでしたら、原因は抗うつ剤ではなく過食なのかもしれません。
このような、うつ病の症状としての体重増加もありうるのです。

果たして本当に抗うつ剤のせいなのか?
他の原因は考えられないのか?

安易に決めつけず、必ず一度見直す必要があります。

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もし、本当は運動不足や過食が原因なのに、「抗うつ剤のせいで太った!」と決めつけて
内服をやめてしまったらどうなるでしょうか?

落ち込みや無気力、過食などが更に悪化する可能性があります。
これでは、より太ってしまうかもしれません。

しっかりと見極めないで安易に決めつけてしまうと、このような悲劇を起こしてしまいます。

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「抗うつ剤以外に太るような原因はないのか?」
主治医や周囲の人(家族、友人など)とも相談し、しっかりと見極めてください。

ドグマチール他の抗うつ剤との比較

他の抗うつ剤と比べると、ドグマチールの太る程度は
「多くもなく少なくもなく」といったところでしょうか。

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抗うつ剤の中で特に体重増加が起きやすいのは、リフレックスやレメロンです。
これは抗ヒスタミン作用が強いためです。

また三環系抗うつ剤やパキシルも、抗ヒスタミン作用は比較的強く、まずまず太りやすいと言えます。

パキシル以外のSSRI(ルボックス・デプロメール、ジェイゾロフト、レクサプロ)は、
体重増加は起こしうるものの、三環系やパキシルと比べると軽い事が多いようです。
中でもジェイゾロフトは副作用の軽さに定評があり、体重増加もきたしにくいと言われています。

トレドミン、サインバルタなどのSNRIは体重増加が少ないと言われています。
SNRIには活動性を上げるノルアドレナリンの作用があるため太りにくいのです。
SNRIは逆に痩せてしまう人もいるくらいです。

ドグマチールで太るのはなぜ?

抗うつ剤には「太る」という副作用があり、これに苦しむ患者さんはとても多いです。

ドグマチールも副作用で食欲が上がってしまい、太ってしまうことがあります。胃薬としてのはたらきもあるドグマチールは胃腸の動きを改善する結果、食欲を上げすぎてしまうことがあるのです。

ドグマチールに限らず、ほとんどの抗うつ剤には「太る」という副作用があります。
しかしドグマチールとその他の抗うつ剤では、太る原因に違いがあります。

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抗うつ剤で太る主な理由は「抗ヒスタミン作用」によるものだと言われています。

抗ヒスタミン作用は、抗うつ剤がヒスタミンをブロックしてしまう作用のことです。
ヒスタミンは食欲を抑える働きがありますので、それがブロックされてしまうと、
食欲を抑えにくくなるのです。

食欲を抑えられなければ食べる量が増えるわけですから太る、という仕組みです。

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しかし、ドグマチールには抗ヒスタミン作用はほとんどないと言われています。
ドグマチールの体重増加は抗ヒスタミン作用以外で起こっているのです。

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では何故、ドグマチールで太るのでしょうか?

冒頭でもお話したように、ドグマチールはもともとは胃薬として発売されたおくすりでした。
ドグマチールは、消化管のドーパミンをブロックすることで消化管粘膜の血流を改善し、
消化管の動きを改善させるはたらきがあるのです。

ドグマチールが太るのは、胃腸の働きを良くすることで
食欲が上がってしまうからだと考えられています。

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また、抗うつ剤はこころや身体を「リラックスさせる」ため、これも太る一因となります。
「リラックス」というと良い作用なのですが、リラックスするという事は身体のエネルギーの
消費が少なくなるので、脂肪が貯留しやすくなり太りやすくなります。

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ドグマチールが太るのは、

胃薬としてのはたらきによって食欲が上がるため
リラックスさせることで消費エネルギーが少なくなるため

主にこの二つの働きによるものなのです。

ドグマチールの眠気の対処法

ドグマチールで眠気を起こすことはほとんどありませんが、
もし、眠気が起こってしまったらどうすべきか考えてみましょう。

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Ⅰ.様子を見てみる

まだ内服を始めたばかりという場合や、眠気の程度が軽い場合は少し様子をみてみましょう。

「慣れてくる」ことがあるからです。
1ー2週間ほど様子をみていたら慣れてきた、ということは臨床でよく経験します。

何とか耐えられる眠気であれば、少し様子をみてみましょう。
ひとの身体の適応力というものは、あなどれません。

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Ⅱ.増薬スピードを緩めてみる

ドグマチールは一般的には50-100mg程度から開始し、徐々に増やしていきます。
特にうつ病に対して使う場合は、いきなり高容量から開始することはありません。

急に高容量を入れると身体がびっくりしてしまい、副作用が起きやすくなるからです。
なるべく少量から始めて徐々に量を増やしていくのが抗うつ剤処方の基本です。

眠気に関しても同じで、いきなり高容量を投与すると、眠気が起こりやすくなります。
特に薬が効きやすい体質の方は、用法通り50mgから開始しても眠気が出てしまう人もいます。

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こういった場合は、増薬のペースを緩めましょう。
抗うつ効果が出てくるのも遅くなってしまうのが欠点ですが、副作用の程度は軽くなります。

例えばドグマチール50mgでは眠気が強く出てしまった、ということであれば25mgから初めてみましょう。

25mgで1-2週間様子をみて、身体を慣らしてから50mgに再チャレンジすれば、
慣らした分だけ反動は小さくなり、眠気の程度も軽くなります。

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ゆっくりと増やすという方法は、とても有効な副作用対策なのです。

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Ⅲ.睡眠を見直す

基本的なことですが、そもそもの睡眠に問題がないかを見直すことを忘れてはいけません。

そもそもが不規則な睡眠リズムだったり、極端に短い睡眠時間なのであれば、
ちょっとしたことで眠気が出てしまって当然でしょう。

その眠気は副作用だけではなく、ドグマチールを飲み始めたことで単に睡眠の問題が表面化したに
過ぎないのかもしれません。

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睡眠環境や睡眠時間に問題がないかを見直しましょう。
もし問題があるのであれば、その問題を解決することが先決です。

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Ⅳ.併用薬に問題はないか?

ドグマチールは眠気をほとんど起こさないため、併用薬があるのなら
そちらが眠気の原因かもしれません。

併用薬で眠気をきたすものがないか、改めて確認してみましょう。

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また併用薬によっては、ドグマチールの作用を強くしてしまうことがあるため、
それで眠気が強く出ている場合があります。

薬ではありませんが、よくあるのがアルコールとの併用です。
酒は総じて抗うつ剤の血中濃度を不安定にします。

飲酒をしながらドグマチールを飲んでいたら、 血中濃度が不安定になるため眠気が強く出る可能性があります。
この場合は断酒しない限り改善は図れません。

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Ⅴ.肝機能・腎機能に問題はないか?

肝機能や腎機能が悪い方は、お薬を分解したり排出する機能が落ちているため、
通常量を投与してしまうと効きすぎてしまうことがあります。

血液検査や健康診断で肝機能障害、腎機能障害を指摘されている場合、
必ず主治医に伝え、適切な投与量に調整してもらいましょう。

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Ⅵ.服用時間を変えてみる

飲む時間を変えてみる、という方法もあります。

ドグマチールは添付文書には「分割投与する(=一日何回かに分けて飲む)」と記載されています。
臨床的には、朝・夕食後の1日2回で服薬する方が多いのですが、
だいたい同じくらいの投与間隔であれば、必ずしも朝夕食後でなくても構いません。

眠気で困るのであれば、朝夕食後→昼食後・眠前に飲むように変更するのも手です。
眠前に服薬すれば、眠気が出ても眠る時間なので問題がなくなります。

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飲む時間を眠前にすることで、眠気の問題が改善したケースは少なくありませんので、
一度試してみる価値はあります。

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ちなみに「1日1回眠る前にまとめて飲む」という飲み方はあまりお勧めできません。
確かに眠気の改善という意味では改善が期待できますが、ドグマチールは半減期が8時間前後のため、
薬効が不安定になる可能性があります。

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Ⅶ.減薬・変薬をする

上記の方法をとっても眠気が軽減しない場合、眠気が生活に支障を来たしているのであれば、
減薬や変薬も考える必要があります。

抗うつ効果が出ているのであれば、薬を変えるのはもったいないので、
まずは量を少し減らしてみてもいいかもしれません。

量を少し減らしてみて、病気の悪化も認めず、眠気も軽くなるようであれば成功です。
その量で維持していきましょう。
(勝手にやってはいけません。必ず医師の判断のもとで行ってください)

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また、別の抗うつ剤に切り替えてしまうのも手です。

ただし、ドグマチール自体が眠気の少ない抗うつ剤ですので、他の抗うつ剤にすることで
かえって眠気が強まってしまう可能性もあります。
どのお薬に切り替えるかは、主治医とよく相談して決めましょう。

ドグマチール他の抗うつ剤との比較

抗うつ剤の中で、眠気が強力なのものを「鎮静系抗うつ剤」と呼びます。

リフレックス/レメロンといったNassa(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)、
テトラミドやルジオミールといった四環系抗うつ剤、デジレルなどがこれに入ります。

鎮静系抗うつ剤は、睡眠薬として使うこともあるほどで、
眠気という面では抗うつ剤で最強クラスになります。

三環系抗うつ剤はどうでしょうか。
トフラニール、トリプタノール、ノリトレン、アナフラニール、アモキサンなどです。
三環系は昔の抗うつ剤で「効果も強いけど、副作用も強い薬」です。

そのため、眠気も鎮静系抗うつ剤ほどではないものの、SSRI/SNRIより多いようです。
中でもトリプタノールは鎮静作用が強いと言われており、眠気の頻度も頭一つ飛び抜けています。

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SSRI(デプロメール/ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなどの)はというと、
上記二つに比べれば眠気は少なくなります。

その中でもジェイゾロフトは副作用が全体的に軽く、眠気の頻度もやや少ないと言われています。
レクサプロもジェイゾロフトについで、眠気は少なめです。

反面、パキシルとルボックス/デプロメールはSSRIの中では、眠気がやや多い方になります。

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SNRIであるトレドミンやサインバルタはどうでしょうか。
トレドミンもサインバルタも眠気は少ないおくすりですが、トレドミンの方がより少ないようです。

SNRIはセロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用するのが特徴です。
ノルアドレナリンは意欲や活気を上げて覚醒レベルを上げるため、SNRIは眠気を起こしにくいと言われています。

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最後にこれらの中でも、もっとも眠気を起こしにくいのがドグマチールです。
ドグマチールには抗ヒスタミン作用やα1受容体遮断作用がほとんどありません。
つまり、眠気をほとんど起こさないということです。

ドグマチールは眠気を起こしにくい抗うつ剤


抗ヒスタミン作用
α1受容体遮断作用
5HT2受容体遮断作用

この3つのはたらきにより、抗うつ剤は眠気を引き起こします。
この中で「抗ヒスタミン作用」が眠気の大きな原因であり、残り二つは補助的な原因です。

しかしドグマチールは、「抗ヒスタミン作用」と「α1受容体遮断作用」がほとんどないと言われています。
つまり、理論上はほぼ眠気を引き起こさないのです。

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抗うつ剤で眠気が出てほしくない方には、ドグマチールは良い選択肢になります。
(ただし他の副作用があるため、主治医とよく相談した上で決めてください)

ドグマチールの眠気

抗うつ剤はしばしば眠気を引き起こします。

抗うつ剤のはたらきは、こころをリラックスさせることですから、眠くなってしまうのは当然の作用なのです。しかし、眠さがあまりに強くて日常生活に支障をきたすようであれば問題です。

眠くて一日中動けない。眠くて仕事のミスが増えてしまった。

これは問題ですよね。何らかの対策を講じる必要があります。

抗うつ剤は眠気をもよおすものがほとんどですが、その中でドグマチールは眠気をほとんど起こさない抗うつ剤だと言われています。

抗うつ剤が眠気を引き起こすのは、抗ヒスタミン作用が原因だと考えられています。

これは、抗うつ剤が「ヒスタミン」という物質をブロックしてしまうことです。

ヒスタミンは中枢神経系に作用して、覚醒・興奮をもたらす働きがあるため、
そのヒスタミンがブロックされると、鎮静・眠気が生じるのです。

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ちなみに花粉症は「抗ヒスタミン薬」が使われますが、これらも眠くなります。
(アレグラ、アレロック、タリオン、アレジオン、ザイザルなど)

ヒスタミンがブロックされると眠くなるということがここからも分かりますね。

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更に抗うつ剤の場合、抗ヒスタミン作用の他にも、
α1受容体遮断作用、5HT2受容体遮断作用と
呼ばれる副作用があり、これらも眠気の一因となります。

αとはアドレナリンのことで、アドレナリン1受容体が遮断されると
血圧が低下し、ふらついたり、ボーッとしたりします。

ちなみにα1受容体遮断薬は降圧剤として使われています。
(エブランチル、カルデナリンなど。)

5HTとはセロトニンのことで、セロトニン受容体のうち、セロトニン2受容体を遮断すると
神経興奮が抑制されます。
気持ちが落ち着くという良い効果なのですが、落ち着けば人は眠くなります。

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これらが、抗うつ剤で眠気が生じる主な理由です。

アビリットが向いている人は?

アビリットは良い抗うつ剤ですが、上記のような副作用の問題があるため、
現在では第一選択で使うことは少なくなっています。

病態や患者さんの状況にもよりますが、薬物治療は効果よりも安全性をまずは考えるべきですので、
安全性の高い新規抗うつ剤(SSRI、SNRIやNassaなど)などを最初は試すべきでしょう。

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他の抗うつ剤と比べたアビリットの利点は

作用機序が違うこと
他の抗うつ剤に多い副作用(吐き気、便秘、眠気、離脱症状など)が少ないこと
薬価が安いこと

です。

そのため、

SSRIやSNRIでは効果が得られなかった方
SSRIやSNRIの副作用がつらい方

という場合、第二選択として使う抗うつ剤として検討するおくすりとして
いいのではないでしょうか。

アビリットの副作用

具体的なアビリットの副作用としては、

錐体外路症状
乳汁分泌(プロラクチン上昇)、性機能障害
食欲亢進、体重増加

などがあります。

「錐体外路症状が起こり得る」
「ホルモンバランスを崩して、乳汁分泌が起こり得る」

この2点が、他の抗うつ剤には無い副作用です。

反面で、他の抗うつ剤に多く認められる、口渇・便秘、ふらつき・めまい、吐き気、眠気などは
少なめです(起こさないわけではありません)。

では、それぞれを詳しくみてみましょう。

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Ⅰ.錐体外路症状(EPS)

脳のドーパミンが過度にブロックされることで起こる身体の不随意運動です。
(不随意運動:自分の意志によらず、勝手に身体が動いてしまうこと)

指先がふるえたり、腕をクネクネと動かしたり、唇や舌をモゴモゴ動かしたり、などと
様々な症状があります。

有名な症状として、

ジスキネジア:口や舌などをモゴモゴと動かす
アカシジア:ソワソワ、ムズムズと落ち着かず、じっとしていられなくなる

などがあります。

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これらの錐体外路症状が出現してしまったら、
アビリットを減量あるいは中止することが無難でしょう。

引き続き抗うつ剤加療が必要なのであれば、別の抗うつ剤を検討してください。

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抗コリン薬(アキネトン、アーテンなど)という、錐体外路症状を和らげるおくすりもありますが、
抗コリン薬は抗コリン薬で副作用があり、漫然と続けない方がいいおくすりです。

おくすりの副作用をおくすりで抑えるのも不自然ですし、
よほどアビリットを使わないといけない状況でない限りはお勧めできません。

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Ⅱ.乳汁分泌

アビリットが、プロラクチンという乳汁を出すホルモンを増やしてしまうために
起こる副作用です。

男女ともに起こりえます。
突然胸から乳汁が出るため、驚く方も多いようです。

ただ、胸から乳汁が出るだけならまだいいのですが、これはホルモンバランスの崩れが原因ですから、
これは無月経や性機能障害の原因にもなり得ます。

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乳汁分泌が起きた場合は、まずはプロラクチンの上昇が原因なのかを採血で確認します。
採血でプロラクチン値を測定し、高ければアビリットによる高プロラクチン血症が疑われます。

対応策は、やはりまずはアビリットを減薬あるいは中止し、
別の抗うつ剤に切り替えることです。

ドーパミンアゴニスト(ドーパミン受容体刺激薬)と呼ばれるおくすりを使うと、
プロラクチンの値を下げることは可能ですが、これも滅多に併用することはありません。

別のおくすりを併用してまで、アビリットを継続する価値があるのか、
主治医とよく相談して下さい。

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Ⅲ.食欲亢進、体重増加

重篤な副作用ではないものの、アビリットで一番頻度の多い副作用です。

アビリットは当初は「胃薬」として発売されたおくすりです。
最初は胃薬として使われていましたが、次第に精神にも作用があることが分かったおくすりなのです。

胃腸のドーパミン受容体をブロックすることで消化管の動きをよくするのが
胃薬としての作用機序だと考えられています。

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胃腸の動きを良くするため、食欲が上がります。
そして食べる量が増えれば、体重も増えてしまいます。

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食欲亢進に対する対処法としては、まずは「食べるのを我慢する」意識が大切です。

これはおくすりの副作用で食欲が人工的に上がっているんだ。
だから、ここで欲求のままに食べてしまうことは非生理的であまりよくないことなんだ、
と考え、なるべく我慢するようにしてください。

また当たり前の対策なんですが、適度な運動も体重増加を抑えるには有効です。

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それでも抑えられない時は、他の抗うつ剤への変薬になります。
ほとんどの抗うつ剤で体重増加の可能性はあるのですが、アビリットの体重増加と
その他の抗うつ剤の体重増加はその機序が違います。

アビリットは消化管運動が良くなって食欲が上がります。
他の抗うつ剤は、抗ヒスタミン作用というもので食欲が上がります。

機序が違うため、抗うつ剤を別のものに変えれば、食欲亢進の程度が
改善する可能性はあります。

ただし、もちろん悪化してしまう可能性もありえますので、
比較的抗ヒスタミン作用が弱いものを選択するとよいでしょう。

具体的に言うと、ジェイゾロフトやサインバルタあたりでしょうか。

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Ⅳ.その他の副作用

その他の副作用も報告はたくさんありますが、頻度はそこまで多くはありません。

特に、

眠気
口渇、便秘
ふらつき、めまい
吐き気

などは、SSRIやSNRI、三環系などの他の抗うつ剤に見られる副作用ですが、
アビリットではあまり認めません。

アビリットの特徴

アビリットは、

胃薬
統合失調症治療薬
抗うつ剤

という3つの働きをする、ユニークなおくすりです。

しかし、上に書いたように現在は統合失調症の治療薬として使うことはほとんどありません。
胃薬としても使うことは多くはなく、もっぱらが抗うつ剤として使われています。

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アビリットの特徴は、ざっくり言うと次のようなものです。

即効性がある
他の抗うつ剤に見られる副作用が少ない
しかし時に重篤な副作用が出る

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抗うつ効果としては強くはなく、軽症から中等症のうつ病が適応になると思われます。

また、他の抗うつ剤で見られる副作用が少ないのは、大きなメリットです。
これは具体的には、吐き気、眠気、離脱症状、口渇、便秘などです。
現在主流のSSRIやSNRIはこれらの副作用が問題となることがよくあります。

アビリットは胃薬でもあるくらいですから、吐き気はまず生じません。
また離脱症状もほとんど起こさず、眠くなることもほとんどありません。

このようにアビリットは非常に使い勝手のよい抗うつ剤であり、
実際SSRIやSNRIが発売される以前はうつ病の主力選手でした。

アビリットは色々な働きをする

アビリットは大日本住友製薬より発売されているおくすりです。

このおくすりは非常にユニークなはたらきをします。

発売当初は胃薬として発売されましたが、次第に「うつ病に効果がある」「統合失調症にも効果がある」ということが分かってきたおくすりなのです。

現在ではうつ病に使われることが一番多いと思われます。そのユニークな特徴から、未だ使われることのあるおくすりですが、古いおくすりであり副作用には注意しなければいけません。

ここでは、アビリットの効果や特徴について詳しく説明していきます。

なお、アビリットは、アステラス社が発売している「ドグマチール」と同じおくすりです。一般的にはドグマチールの方が有名ですね。出してる会社が違うだけでどちらも中身は同じです。

アビリットには様々な効果がありますが、その基本的な働きは「ドーパミンを遮断すること」です。
この抗ドーパミン作用によって、胃腸薬、統合失調症薬、抗うつ薬としての効果を発揮します。

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胃薬としてのアビリット

胃などの消化管にあるD2受容体(Dとはドーパミンのこと)をブロックすることで、
消化管運動が改善すると考えられています。

その作用は強くはないため、本格的な胃潰瘍に使うことはあまりありません。
現在ではH2阻害薬(ガスターなど)やプロトンポンプ阻害薬(タケプロン、オメプラールなど)などの
優れた胃潰瘍薬があるため、これをまずは使うことが多くなっています。

アビリットは抗うつ効果もあることから、心因性も関係してそうな胃腸症状に使うことがあります。

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抗精神病薬としてのアビリット

抗精神病薬というのは「統合失調症の治療薬」のことです。

統合失調症は脳内ドーパミンが出過ぎていることが一因と考えられています。
そのため、ほとんどの抗精神病薬はドーパミンを遮断するはたらきがあります。

アビリットも脳のD2受容体を遮断することで統合失調症に効果を示します。

ただしアビリットの脳へのD2受容体遮断作用も弱いため、
統合失調症の治療に使う場合は高容量が必要です。
(添付文書的には300-600mg。最高1200mgまで)

そうなると副作用が出てしまうことも多いため、優れた抗精神病薬が多くなってきた現在においては
統合失調症の治療にアビリットを使う機会は少ないのが現状です。

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抗うつ薬としてのアビリット

アビリットがうつ病に効くのはなぜでしょうか。
実はこれは正確には分かっていません。

そもそもうつ病に効果があるためには、ドーパミンが増えないといけないはずです。
抗うつ剤は全て、ドーパミンなどのモノアミンを増やすことで抗うつ効果を発揮します。
モノアミンを遮断する抗うつ剤などありません。

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いくつかの仮説があり、それを紹介すると、

・少量のアビリットを投与するとドーパミン自己受容体を遮断し、
それが結果的にドーパミンの分泌を増やすのではないか

・ノルアドレナリン神経にあるD2受容体を遮断することで、
ノルアドレナリンを増やすのではないか

・エビリファイなどと同じく、ドーパミンの部分作動薬としての働きがあり、
そのために少量のアビリットを投与するとドーパミンが増えるのではないか

などと言われています。

正確には解明されていませんが、少量のアビリットを投与すると
抗うつ効果があることは間違いなく、アビリットはしばしばうつ病治療に使われています。

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そのためアビリットは、

少量(150-300mg)投与すると、うつ病に効果がある
大量(300-600mg)投与すると、統合失調症に効果がある

ということになっています。

ドグマチールが向いている人は?

ドグマチールは良い抗うつ剤ですが、上記のような副作用の問題があるため、現在では第一選択で使うことは少なくなっています。

病態や患者さんの状況にもよりますが、薬物治療は効果よりも安全性をまずは考えるべきですので、安全性の高い新規抗うつ剤(SSRI、SNRIやNassaなど)などを最初は試すべきでしょう。

他の抗うつ剤と比べたドグマチールの利点は

作用機序が違うこと
他の抗うつ剤に多い副作用(吐き気、便秘、眠気、離脱症状など)が少ないこと

です。

そのため、

SSRIやSNRIでは効果が得られなかった方
SSRIやSNRIの副作用がつらい方

という場合、第二選択として使う抗うつ剤としていいのではないでしょうか。

ドグマチールの特徴

このようにドグマチールは、

胃薬
抗精神病薬
抗うつ剤

という3つの働きをする、ユニークなお薬です。

しかし、上に書いたように現在は統合失調症の治療薬として使うことはほとんどありません。胃薬としても使うことは多くはなく、もっぱらが抗うつ剤として使われています。

ドグマチールの特徴は、ざっくり言うと次のようなものです。

即効性がある
他の抗うつ剤に見られる副作用が少ない
しかし時に重篤な副作用が出る

抗うつ効果としては強くはなく、軽症~中等症のうつ病が適応になると思われます。

また、他の抗うつ剤で見られる副作用が少ないのは、大きなメリットです。これは具体的には、吐き気、眠気、離脱症状、口渇、便秘などです。現在主流のSSRIやSNRIはこれらの副作用が問題となることがよくあります。

ドグマチールは胃薬でもあるくらいですから、吐き気や便秘はほとんど生じません。また離脱症状もほとんど起こさず、眠くなることもほとんどありません。

このようにドグマチールは非常に使い勝手のよい抗うつ剤であり、実際SSRIやSNRIが発売される以前はうつ病の主力選手でした。

しかし見過ごしてはいけないのが、「副作用の頻度は少ないけど、時に重篤な副作用が起こる」というところです。

ドグマチールは薬理学的には「ドーパミンを遮断する」という抗精神病薬的な作用が主であるため、昔の抗精神病薬に多い副作用がドグマチールでも起こり得ます。

ドグマチールの副作用の詳細は別の記事に詳しく書きますが、「高プロラクチン血症」「錐体外路症状(EPS)」の二つは特に注意しなくてはいけません。

高プロラクチン血症とは、乳汁を分泌するホルモンであるプロラクチンを増やしてしまう副作用です。男性であっても、乳汁が出てくることがあります。

問題はただ乳汁が出ることだけではありません。ホルモンバランスの崩れから無月経や勃起不全(インポテンツ)、性欲低下なども起こします。また乳がんや骨粗しょう症の原因となる事もあります。

錐体外路症状とは、薬剤性パーキンゾニズムと呼ばれることもあり、ドグマチールのせいでパーキンソン病のようになってしまうことです。

パーキンソン病は脳の黒質という部分のドーパミンが少なくなることで起こります。ドグマチールは脳のドーパミンを遮断するわけですから、黒質のドーパミンを減らしてしまうことがあり、人工的にパーキンソン病の状態を作ってしまうことがあるのです。そうなるとパーキンソン病と同じように、動作が緩慢になったり、手が震えたり、転びやすくなったりします。

ちなみにこれらは、ドグマチールだけでなく他の抗精神病薬でも起きえる副作用ですが、他の抗うつ剤で起こることは少ない副作用です。