レメロンの半減期

レメロンの半減期は32時間前後と言われています。

リフレックスの半減期が「32時間」ということは、
このようなことが予測できます。

1回内服すると32時間くらい効果が続く
32時間に1回の間隔で内服するのが良い
内服を続ければ、160ー192時間後くらいで血中濃度が安定する
内服後、32時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

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1回内服すると32時間くらい効果が続く

レメロンは32時間、つまり1日ちょっと効果が続きます。

例えば、レメロンを内服して強い副作用が出てしまった時、1日ちょっとはその副作用は
続いてしまうということです。副作用の改善には1日ちょっと待たないといけません。

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32時間に1回の間隔で内服するのが良い

理想的には32時間置きですが、そこまで厳密にできる人はほとんどいないでしょう。

そのため添付文書では、1日1回投与(24時間間隔)となっています。

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内服を続ければ、160ー192時間後くらいで血中濃度が安定する

レメロンを飲み始めてから、血中濃度が安定する(=定常状態に達する)までには
6-8日ほどかかるということが分かります。

約1週間ですね。

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内服後、32時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

レメロンを飲んでから、1日ちょっと経過して、しびれやめまい、耳鳴りなどの症状が
現れた場合は、離脱症状である可能性が高いということです。
(翌日に再投与された場合は除きます)

ただしレメロンは半減期が長いお薬なので、離脱症状の頻度はそこまで多くありません。

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このように、レメロンの半減期から、様々な情報を得ることができるのです。

レメロン 半減期とは?

半減期というのは「お薬の血中濃度が半分になるまでに要する時間」のことです。

薬の本には、全ての薬の半減期が記載されており、私たち医師は薬を処方する際に、
「半減期がどれくらいのお薬なのか」を必ず意識します。

それは、半減期が分かっていると様々なことが見えてくるからです。

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半減期が分かると、

何時間くらい効果が続くお薬なのか
服薬間隔がどれくらいがベストなお薬なのか
何日くらい飲み続ければ、血中濃度が安定するのか
離脱症状が起きやすいお薬なのか

といったお薬の情報がある程度見えてくるのです。

お薬を内服すると、このグラフのようにまず血中濃度がグンと上がり、それから徐々に落ちていきます。

このお薬は、投与10時間後の血中濃度は「10」ですが、
投与20時間後には血中濃度は半分の「5」に下がっています。

血中濃度が半分になるのに要する時間は「10時間」ですので、
このお薬の半減期は「10時間」ということになります。

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そして半減期が10時間のお薬だということは、
このお薬に関して次のように言う事ができます。

10時間くらい効果が続くお薬である
10時間に1回の間隔で内服するのが良い
内服を続ければ、50ー60時間後くらいに血中濃度が安定する
内服後、10時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

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詳しく説明していきます。

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10時間くらい効果が続くお薬である

半減期が10時間ということは、内服して10時間くらい経つと効果がなくなるということ。
半減期は、薬効が消失する時間とある程度一致します。

ただし半減期はあくまでも目安で、個人差はありますので気を付けてください。
お薬を分解する力が強い人もいれば弱い人もいます。
人によって誤差があります。

特に肝臓が悪い方は、お薬を分解する力が弱まっているため、
一般的に半減期よりも長く時間お薬が身体に残ってしまいます。

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10時間に1回の間隔で内服するのが良い

薬の効果が消失しないようにするには、約10時間の間隔で内服を続けるのが
よい事が分かります。

正確に10時間間隔で、というのは難しいでしょうから
1日2回朝夕食後とかが現実的な内服間隔になるでしょう。

この間隔で内服を続ければ、理想的な効果が得られやすいということです。

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内服を続ければ、50ー60時間後くらいに血中濃度が安定する

血中濃度が一定になるようペースで5-6回の反復投与を続けると、血中濃度は安定すると言われています。
この血中濃度が安定した状態を「定常状態」と呼びます。

半減期10時間のこの薬を5-6回飲み続けると定常状態に達しますから、
このお薬の服薬を始めた場合、50-60時間後に定常状態に達することが分かります。

飲み始めて2-3日経つと十分な効果が出る薬だということが分かります。

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内服後、10時間経ってもお薬が再投与されないと離脱症状がおきやすい

お薬の血中濃度が最大値の半分以下になると離脱症状が出やすくなると言われています。

このお薬でいうと、10時間後に再度お薬を投与して血中濃度を再上昇させないと、
離脱症状が出やすいということです

半減期が来る頃にお薬を再投与することが理想です。

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このように半減期が分かるだけで、そのお薬の特徴がたくさん見えてきます。
それではレメロンの半減期を見てみましょう。

レメロン 薬の金額を下げるためには

病気の治療をする際は、薬価にとらわれずに
主治医に提案されたお薬を指示通りに飲むことが理想です。

しかし、どうしても「金銭的に苦しい」ときは、
次のような方法で薬価を下げることが可能です。

参考にしてください。

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1.自立支援医療制度(精神通院医療)を利用する

自立支援医療制度は、精神的な疾患で苦しい思いをしている患者さんのために、
医療費の自己負担額を軽減する制度です。

この制度が適応されると、入院外の医療行為(診察やデイケア、訪問看護やお薬の代金など)が
「1割負担」に減額されます。

また、支払が過大にならないように所得に応じて毎月の上限額が設定され、
その上限額以上の金額の支払いを免除されます。

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この制度を受けれるかは主治医の判断になります。
「通院をしばらく続ける病状にあると医師が判断する方」が該当します。

適応になる代表的な疾患としては、

統合失調症
気分障害(うつ病、躁うつ病)
不安障害
精神遅滞
アルコールや薬物の中毒、依存症

などの方です。

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この制度はあくまでも「精神疾患」に対してですので、

「精神科受診の時に、ついでに風邪薬や花粉症の薬をもらった」

など、精神科医療と関係のない医療行為は適応になりまりません。
この場合は、風邪薬や花粉症のお薬だけ、通常と同じ3割負担になります。
2.ジェネリックがある抗うつ剤に変えてみる

ジェネリックが発売されている抗うつ剤もあります。新規抗うつ剤で言うと、

ルボックス/デプロメール
パキシル
トレドミン

などが2014年現在ではジェネリックが発売されています。

これらはレメロンとは作用機序が異なるため、
全く同じような効果は期待できませんが、薬価は安くなります。

経済的に苦しい場合は、主治医と相談して試してみてもいいかもしれませんね。
3.三環系など安価なお薬に変えてみる

三環系抗うつ剤に変えれば薬価的には劇的に安くなります。

しかし、副作用が強くなりうることは覚悟しておかなければいけませんし、
薬価が理由での三環系への切り替えは、医療者としてはあまり推奨できない手段です。

三環系への切り替えは「どうしても薬価を安くしたい」というのであれば
候補に挙がる方法ですが、 「治療」という意味ではあまりお勧めはできません。

三環系は副作用が強く・多いのです。

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この方法を使うくらいなら、自立支援医療を受けたり、新規抗うつ剤のジェネリックに変えたり
することをおすすめします。

レメロン 他抗うつ剤との薬価の比較

次に、他の抗うつ剤との薬価の比較をしてみましょう。

SSRIはどれも横並びで、最大量を使うと1日400円弱かかります。
レクサプロは新薬のためかSSRIの中でも頭一つ飛び抜けた値段です。

SNRIのサインバルタも最大量60mgであれば450円超で高いお薬になります。
トレドミンは比較的安いですが、効果が弱めのためでしょう。

レメロン/リフレックスもいい値段です。
最大量45mgで1日513.6円と、抗うつ剤の中で一番高価です。

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これを見ると、三環系や四環系は圧倒的に安価なことが分かりますね。
副作用が多いと言われる三環系ですが、未だに処方される頻度が少なくないのは、
抗うつ効果が強いことと、実はこの「薬価の安さ」に理由があります。

SSRIなどと比べると5-10倍ほども薬価が違うわけですから、
「多少副作用は目をつぶるから、安いやつでお願いします」
と希望される方は現実的にはいらっしゃるのです。

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新規抗うつ剤を2剤以上使っている患者さんだと、
一日1,000円近くかかってしまいます。

3割負担だとしても約350円/日、約10,000円/月です。

新規抗うつ剤ももう少し薬価が下がるといいんですけどね。

レメロンの薬価

レメロンの薬価は次のようになっています。

レメロン錠15mg 171.20円

レメロンの最大投与量は45mgなので、最大量を服用する場合、
1日に513.6円、1か月では15,408円かかる計算になります。

3割負担だと1日154.08円、1か月4622.4円です。

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結構な値段します。

レメロンには残念ながらまだジェネリック(後発品)がありません。
2009年発売のお薬のため、ジェネリックの発売許可が下りるのは2019年です。
まだまだ先なのです。

ちなみにジェネリックの薬価は、先発品の6-7割程度になることが多いようです。

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レメロンはMSD社から販売されている抗うつ剤ですが、
Meiji Seikaファルマ社が販売している「リフレックス」と全く同じ成分です。
この2剤は、販売会社が違うだけの同じお薬なのです。

当然、リフレックスとレメロンの薬価は全く同じです。

ちなみに同じ成分なのですが、リフレックスの方が販売個数は多いようです。
これは効果の差ではなく、MeijiとMSD社の知名度や広告・営業の差です。

Meijiの方が知名度がある、ということなのでしょう。

レメロンで太った時の対処法

レメロンの内服で太ってしまったら、どのような対処法があるのか考えてみましょう。

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1.生活習慣を見直す

一番大切なことは、生活習慣を見直すことです。

規則正しい生活、適度な運動など生活を改善する行動を続ければ、
たとえ抗うつ剤を内服していたとしても体重は落ちやすくなります。

抗うつ剤は体重が「落ちなくなる」のではありません。
体重が「落ちにくくなる」だけです。
しかるべき行動をとれば、落ちやすくなるのです。

食事は規則正しく3食食べていますか?
量やバランスは大丈夫でしょうか?
間食や夜食など、太る原因になる食行動をしていませんか?

適度な運動はしていますか?
一日一回くらいは、体を動かしているでしょうか?

散歩などの軽い運動でもいいですし、余裕があればジョギングやサイクリングなど
強度の高いものにトライすれば代謝がより改善されます。

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2.抗うつ剤の量を減らしてみる

もし精神状態が安定しているのであれば、 減薬を考えてみてもいいかもしれません。
主治医と相談してみましょう。

副作用で困っている時、主治医に相談することは大切です。
主治医は、あなたの体重増加を重く捉えていないかもしれないからです。

体重が増えて困るかは人それぞれです。

ガリガリに痩せた男性であればちょっと体重が増えても全然困らないかもしれません。
でも、スタイルに気を使っている女性であれば、 体重がちょっとでも増えることは大きな恐怖でしょう。

体重増加に対して主治医とあなたとの間に認識のギャップがある恐れがありますので、
少なくとも自分が困っていることなのであれば、相談してみましょう。

ただし、病状によっては薬の量を減らせないこともあります。

相談の上で、お薬を減らせないという結論になった場合は、
勝手に減らすことはせず、主治医の判断には従ってください。

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3.別の抗うつ剤に変えてみる

別の抗うつ剤に変えてみるという手もあります。

候補に挙がるのは、「太りにくい」という視点だけから見れば
SNRIであるサインバルタ、SSRIのジェイゾロフトあたりでしょうか。

それぞれの抗うつ剤には長所と短所がありますので、
体重増加の視点だけで考えるのではなく、総合的に判断することが大切です。

やはり主治医とよく相談することですね。

レメロンは太る?他の抗うつ剤との比較

レメロンは他の抗うつ剤と比べても太りやすいお薬です。

レメロン・リフレックスは一番太りやすい抗うつ剤であることが分かります。
また、パキシルや三環系抗うつ剤も抗ヒスタミン作用が強いため、太る頻度は少なくありません。

反面、SNRIは個人差はあるものの、全体的に見ると体重増加が少ないと言えます。

SNRIは、抗ヒスタミン作用はあるものの、意欲や活動性を上げるノルアドレナリンの
濃度を上げる作用も強いため、体重増加が出にくいのです。逆に痩せてしまう人もいるくらいです。

パキシル以外のSSRIも体重増加は比較的少なめであると言えます。
とりわけマイルドな効果で定評のあるジェイゾロフトは少なめです。

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抗うつ剤の副作用は個人差が大きく、 実際はこの表通りにいかないこともあります。
あくまでも一般的な傾向として参考にしてください。

太ったことを安易にレメロンのせいにしない事

「精神科のお薬は太る」というのは、少しずつ患者さんにも浸透しているように感じます。

お薬の副作用をしっかりと理解してもらうことは、好ましいことなのですが、一方で
太ってきたらすぐに「あぁ、薬のせいか…」と判断してしまうケースも見られます。

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太ってきた時は、それが本当に抗うつ剤のせいなのか、きちんと見極めて下さい。

確かにレメロンを内服していると、太ることは珍しくありません。
なので、「副作用で太った可能性がある」と考えるのは間違ってはいません。

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しかし「他の原因はないのか?」を必ず考えてください。

例えば、意欲低下や無気力状態がひどく、一日中部屋に閉じこもりっぱなし、
スナック菓子ばかり食べていたとしたら、太るのは当然かもしれません。

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本当にレメロンだけに原因があるのか?
他の原因は考えられないのか?

安易に決めつけず、もう一度必ず見直してください。

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精神疾患にかかっているときは、自分のことを客観視できないこともありますので、
家族に聞いてみたり主治医と相談してもいいと思います。

その上で、副作用で太っているのか それ以外の原因なのかを正しく見極めましょう。

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もし、運動不足や過食が原因で太っているのに 「レメロンのせいだ!」と決めつけて
内服をやめてしまったらどうなるでしょうか?

気分の不安定が更にひどくなるかもしれませんし、それによって無気力や過食が
更に悪化することも考えられます。

しっかりと見極めないと、そのような悲劇を起こしてしまうことになるのです。

なぜレメロンは太るのか

レメロンは優れた抗うつ剤ですが、頻度の多い副作用に「太る」ことがあります。

特に女性などは太ることに抵抗を持つ方も多く、この副作用はしばしば問題となります。ほとんどの抗うつ剤は体重を増やしますが、レメロンの体重増加はとりわけ強いと言えます。

レメロンはなぜ太るのか、またどのような対処法があるのかについてお話しします。

レメロンには、頻度の多い副作用が二つあります。
それは、「太ること」と「眠気」です。

抗うつ効果には定評のあるレメロンですが、この副作用のために使用を断念する患者さんは少なくありません。

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なぜ、レメロンを飲むと太ってしまうのでしょうか。

これは「抗ヒスタミン作用」という働きに原因があります。
ほとんど抗うつ剤は、ヒスタミン受容体を遮断してしまう働きがあり、これを抗ヒスタミン作用と呼びます。

レメロンは、数ある抗うつ剤の中でトップクラスに抗ヒスタミン作用の強いお薬であり、
そのため、体重増加も強く出てしまうのです。

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元々、ヒスタミンには食行動を抑制する働きがあると言われています。
しかし抗うつ剤がヒスタミンをブロックすると、食行動の抑制を抑制します。
つまり、食行動を促進してしまうということです。

ちなみにヒベルナやぺリアクチンという抗ヒスタミン薬があるのですが、
これらも体重増加、食欲亢進の副作用が報告されており食欲不振の患者さんに使われることがあります。

ここからもやはり、ヒスタミンをブロックすると食欲が上がることが分かります。

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また、抗ヒスタミン作用には「眠気」もあります。
眠気が起こると、身体も睡眠モードに入るため消費カロリーが落ちます。
消費カロリーが落ちると、これも太る原因につながるのです。

レメロンの眠気の対処法

レメロンは抗うつ効果に優れた、非常に良いお薬なのですが、
抗ヒスタミン作用が強いため、眠気が出てしまう方が多いお薬でもあります。

レメロンで眠気が生じてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
対処法について考えてみましょう。

 

Ⅰ.様子を見てみる

まだレメロンを飲み始めたばかりという場合は、少し様子をみてみましょう。

なぜならば抗うつ剤の副作用は「慣れてくる」ことが少なくないからです。
半分以上のケースで、副作用は時間が経つと軽減してきます。

特にレメロンの眠気は、「3日」ほど我慢すると慣れることが多々あります。
なぜ3日なのかという理由はよく分かっていませんが、
事実として3日程度我慢したら何とかなったケースは少なくありません。

これは私個人の経験だけでなく、多くの医師がこのことは感じているとのことのようです。
(レメロンやリフレックスの製薬会社の営業の方から聞きました)

 

そのため、何とか様子がみれる程度の眠気なのであれば、少し様子をみてみましょう。
まずは「3日」、何とか頑張ってみてください。
ひとのからだの適応力というものは意外とあなどれないものですね。

 

Ⅱ.増薬スピードを緩めてみる

多くの抗うつ剤は、少量から開始し、1-2週間間隔で少しずつ量を増やしていきます。
急に大量の抗うつ剤を投与する、ということは絶対にしません。

それは、急に体内のセロトニン量が増えるとからだがびっくりしてしまい、
副作用が現れやすくなるからです。

眠気に関しても同じで、いきなり高容量の抗うつ剤を入れると出やすくなります。

 

そのため、副作用をなるべく出さないために、
増薬のペースを緩めてみることは非常に有効です。

もちろん、ペースを緩めれば抗うつ効果が出るのも遅くなってしまうデメリットもあります。
しかし、副作用が軽くなるというメリットもあるため、副作用がつらい方は検討すべき方法です。

 

レメロンの場合、添付文書には15mgから開始するようにと記載がありますが、
15mgで始めるとほとんどの場合で眠気が起こってしまい、苦しむことになります。

できれば7.5mg(1/2錠)や3.75mg(1/4錠)から始めましょう。

私自身、よほどの場合を除いて、レメロンを15mgから始めることはありません。
症例報告などの文献を読むと、2.5mg(1/6錠)から始めるという慎重な先生もいるようです。

まずはこのような少量から開始し、身体がお薬に慣れてきてから、少しずつ増やしていきましょう。

 

Ⅲ.睡眠を見直す

そもそもの睡眠に問題がないかを見直すことも忘れてはいけません。

そもそも不規則な睡眠リズムだったり、十分な睡眠時間をとってないのであれば、
その眠気は副作用ではなく、レメロンを飲み始めたことで睡眠の問題が表面化したに過ぎません。

睡眠環境や睡眠時間に問題がないかを見直し、
問題があれば安易に薬のせいと決めつけずに問題を解決することを試みてみましょう。

 

Ⅳ.併用薬に問題はないか?

併用薬によっては、レメロンの副作用を強めてしまうことがあります。

例えば薬ではありませんが、よく臨床で経験するのがアルコールとの併用です。
酒は、 レメロンの血中濃度を不安定にし、眠気が強く起こしてしまう可能性があります。
この場合は、断酒しない限りは眠気の改善は図れません。

他にもレメロンの副作用を増強してしまう可能性のあるものとして、
エリスロマイシン(マクロライド系抗生物質)、ニゾラール(抗真菌薬)、タガメット(胃薬)などがあります。

 

Ⅴ.肝機能・腎機能に問題はないか?

肝機能や腎機能が悪い方は、お薬の代謝・排泄の機能が落ちているため、
通常量を投与してしまうと、多すぎる場合があります。

この場合、副作用も通常より強く出現してしまいます。

血液検査や健康診断で肝機能障害、腎機能障害を指摘されている場合、
必ず主治医に伝えないといけません。

この場合、障害の程度によっては通常より投与量を少なくするなどの処置を
取る必要があります。

レメロンは尿中に約75%、糞中に約15%排泄されると言われており、
ほとんどが腎臓を経由して尿として排泄されます。

そのため、特に腎機能障害を指摘されている方は注意が必要です。

 

Ⅵ.服用時間を変えてみる

飲む時間を変えてみる、という方法もあります。
レメロンは添付文書には「寝る前に服用すること」と記載があります。

臨床でもレメロンはほとんどの患者さんに寝る前に投与していますが、
日中の眠気が困る場合は、少し投与時間を早めると上手くいくことがあります。

寝る前ではなく、夕食後投与にすれば、翌日の日中への眠気の持越しは
少なくなる可能性があります。

 

Ⅶ.減薬・変薬をする

眠気が数週間ガマンしても改善せず、生活に支障を来たしているのであれば、
減薬や変薬も考える必要があります。

レメロンに効果を感じているのであれば、薬を変えてしまうのはもったいなくも感じます。
この場合は、量を少し減らしてみてもいいかもしれません。

量を少し減らしてみて、病気の悪化も認めず、眠気も軽くなるようであれば成功です。
その量で維持していきましょう。

 

レメロンの効果をあまり感じられず、眠気などの副作用だけが強く出てしまう場合は、
別の抗うつ剤に切り替えるのも手になります。

どのお薬に切り替えるかは、主治医とよく相談して決めるべきですが、眠気が少ない薬だと、
ドグマチールやジェイゾロフト、レクサプロ、サインバルタ、トレドミンあたりが候補に挙がるでしょう。

ただし、どの抗うつ剤も一長一短ありますので、眠気の副作用だけを考えるのではなく、
主治医とよく相談してから決めることが大切です。

レメロンの眠気 -他剤との比較-

レメロンの眠気は、他の抗うつ剤と比べてどのくらいの程度なのでしょうか?
各抗うつ剤の眠気の強さを比較してみましょう。

抗うつ剤の中で、眠気が強力なのものは「鎮静系抗うつ剤」と呼ばれています。

鎮静系抗うつ剤の代表格がレメロンとリフレックスといった
Nassa(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)です。

他にもテトラミドやルジオミールといった四環系抗うつ剤、デジレルなども鎮静系に分類されます。

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鎮静系抗うつ剤は、眠気が強く出るのがメリットでもありデメリットでもあります。

眠気が強すぎると集中力が落ちたり、だるさが抜けなかったりと困ることもありますが、
夜の眠りを深くしてくれるため、不眠の方には役立つ作用にもなりえます。

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パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ、ルボックス/デプロメールなどのSSRIも
眠気を起こしますが、比較的軽度な事が多いです。
SSRIの中でもジェイゾロフトやレクサプロは眠気が一層軽い印象があります。

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サインバルタやトレドミンといったSNRIも眠気は少ない傾向があります。
SSRIよりも更に少ないというイメージでしょうか。

SNRIはセロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用します。
ノルアドレナリンは意欲や活気を上げる「覚醒系」の物質であるため、 眠気が起きにくいのでしょう。

三環系抗うつ剤(トフラニール、トリプタノール、ノリトレン、アナフラニール、アモキサン)は
眠気を比較的起こします。
その程度は、鎮静系と比べると軽度ですがSSRI/SNRIよりは強いというところでしょう。

三環系は昔の抗うつ剤で、SSRIやSNRIと比べると作りも荒いため、副作用が全体的に多いのです。

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ドグマチールは眠気の程度がかなり軽い抗うつ剤です。
ドグマチールには抗ヒスタミン作用やα1受容体遮断作用がほとんどないと言われています。

レメロンの眠気はなぜ起こる?

抗うつ剤は眠気を起こすものが多いですが、レメロンは特に眠気の強いおくすりとして知られています。

眠気が生じるのは、抗うつ剤がヒスタミン受容体を遮断するためです。これを抗ヒスタミン作用と呼びます。

レメロンは抗ヒスタミン作用が強いおくすりであり、 眠気が生じるケースは少なくありません。

前述のとおり、抗うつ剤が眠気を引き起こすのは抗ヒスタミン作用が原因です。

抗うつ剤は「ヒスタミン受容体」と呼ばれる受容体をブロックしてしまう働きがあるのです。
ヒスタミンは覚醒に関係しているため、ブロックしてしまうと眠くなるという仕組みです。

レメロンは抗うつ剤の中でも特に抗ヒスタミン作用が強いおくすりとして知られています。

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花粉症やアレルギー疾患で使われるお薬に「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものがあります。
商品名で言うと、アレグラ、アレロック、タリオン、アレジオン、ザイザルなどですね。

「花粉症の薬を飲むと眠くなる」ということは世間に広く知られていますが、
これもヒスタミン受容体が遮断されるために起こる現象です。

そう、実はレメロンの眠気と同じ仕組みで起こっているのです。

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更に抗うつ剤は、抗ヒスタミン作用以外にもα1受容体遮断作用、5HT2遮断作用などもあり、
これも眠気の原因になります。

αとはアドレナリンのことで、アドレナリン1受容体が遮断されると
血圧が低下し、ふらついたり、ボーッとしたりします。
(α1受容体遮断薬は降圧剤として使われています。エブランチル、カルデナリンなど)

5HTとはセロトニンのことで、セロトニン受容体のうち、5HT2という受容体を遮断すると
神経興奮が抑制されます。これは気持ちが落ち着くという良い作用にもなりますが、
興奮が抑制されれば、リラックスして眠くなってしまいます。

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このような理由でレメロンを飲むと眠くなるのです。
多くが抗ヒスタミン作用によるものですが、
α1受容体遮断作用、5HT2遮断作用も一因となっています。

レメロンの副作用と他剤との比較

副作用のないお薬はありません。どんなお薬でも副作用はあり、
添付文書の副作用一覧には数え切れないほどの副作用が羅列されています。

レメロンも、例外ではありません。

しかし、レメロンに起こりうる副作用を全て羅列することは、ここではしません。
そういった情報を希望される方はレメロンの添付文書をご覧ください。
(「レメロン 添付文書」で検索すればすぐに見つかります)

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ここでは、レメロンというお薬のイメージをつかんでもらうため、
実際に現場でレメロンを使っていて多く見かける副作用や、他の抗うつ剤と比べてどうなのか
といったことをお話します。

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レメロンの副作用で代表的なものは次の二つです。

体重増加
眠気

これは、レメロンがヒスタミン受容体を遮断するために起こる副作用です。
「抗ヒスタミン作用」と呼ばれ、レメロンは抗ヒスタミン作用が強いおくすりなのです。

抗ヒスタミン作用の強いお薬として有名なものと言えば花粉症のお薬があります。
(アレグラ、アレロック、ザイザル、タリオン、エバステルなど)

花粉症のお薬も飲むと眠くなりますよね。
これらのお薬は「抗ヒスタミン薬」と呼ばれ、レメロンと同じく強い抗ヒスタミン作用を
持っているため、眠くなるのです。

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また、抗ヒスタミン作用には体重を増やす作用もあります。
抗ヒスタミン薬のうち、ぺリアクチンやピレチアといったお薬は食欲亢進や体重増加を起こします。
これもレメロンと同じ抗ヒスタミン作用によるものなのです。

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このようにレメロンには強い「抗ヒスタミン作用」があるため、
この抗ヒスタミン作用で内服を中断してしまう方もいらっしゃいます。

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反面、レメロンは他の抗うつ剤で困ることの多い副作用があまり出ない、という良い面もあります。

具体的に言うと、SSRIや三環系などで認められる

抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉など)
性機能障害(勃起障害、射精障害)
胃腸障害(吐き気、胃部不快感)
不眠

などはレメロンにはほとんどありません。

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胃腸障害は、抗うつ剤が胃腸にあるセロトニン3受容体を刺激するために起こると考えられていますが、
レメロンは、セロトニン3受容体を反対に遮断する働きがあるのです。

という事は、レメロンは胃腸障害を起こさないというだけでなく、
SSRI/SNRIとレメロンを併用すれば、抗うつ剤のセロトニン受容体刺激作用を
レメロンが打ち消してくれるため、胃腸障害の頻度を減らせるということにもなります。

実際にこういった使い方をする先生もいらっしゃいます。

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また、性機能障害は、セロトニン2受容体の刺激やα1受容体の遮断で起こりますが、
レメロンはセロトニン2受容体を遮断する働きがあり、α1受容体には作用しません。

これも胃腸障害と同じく、レメロンを併用することで、
他の抗うつ剤の性機能障害の副作用を軽減できる可能性があります。

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レメロンは、「他の抗うつ剤の副作用を打ち消してくれる」可能性があり、実がこれは
このお薬の利点でもあります。
この作用をうまく使うのが、医者の腕の見せ所といったところでしょう。

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レメロンの副作用の特徴は、

抗ヒスタミン作用が強いため、眠気や体重増加の程度が強い
その代わり、他の副作用は少ない

というところです。

レメロンの導入例

レメロンは添付文書には

15mgを1日1回、眠る前に投与から開始して下さい

と記載されています。

しかし、実際は15mgから開始してしまうと、多くの場合で強い眠気に苦しむことになります。
私もレメロンの発売当初は添付文書通り15mgから開始していましたが、

「一日中眠りこけてしまった!」
「身体がだるくて数日動けなかった!」

などと患者さんから怒られてしまうことが時々ありました。

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なので、現在では7.5mg(半錠)や3.75mg(1/4錠)から開始するようにいます。
MSD社の営業の方に聞いたところ、私だけではなく、現状では多くの医師がこのように少量から開始しているようです。

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効果の発現は他の抗うつ剤より早く、1週間程度で効果を感じられるケースも少なくありません。

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内服初期の副作用は、眠気・倦怠感が多くみられます。
ただ、不思議なことに「3日」経つとかなり楽になる、という方が多いです。

これは何でなのか分かりませんが、事実「最初の3日を乗り切ったら眠気がかなり良くなった」
という感想を持つ患者さんは多いのです。

これもMSD社の営業の方にお伺いしたところ、同じような印象を持っている先生は多いようだとの回答でした。

機序は不明ですが、眠気や倦怠感は最初の3日を乗り切ると改善する例は多いようですので、
副作用がつらくても、3日は何とか飲み続けてみるといいかもしれません。

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1-2週間様子をみて、レメロンを続けられそうと感じられたら、
15mg→30mg→45mgと徐々に増やしていきます(最大量は45mgです)。

増やす間隔は最低でも1週間は空けましょう。

また、必ず最大量まで上げないといけないわけではなく、薬効が十分感じられればその量で上げ止めて構いません。

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最大量投与して、1-2か月経過をみても改善が全く得られない場合は、
レメロンが効いていないと考えられますので、別の抗うつ剤に切り替えます。

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レメロンの効果が十分に出て、気分が十分安定したと感じられても、そこから6-12ヶ月はお薬を飲み続けましょう。
この時期が一番再発しやすい時期だからです。

6-12ヶ月間服薬を続けて、再発徴候がなく気分も安定していることが確認できれば、
その後2-3ヶ月かけてゆっくりとお薬を減薬していき、治療終了となります。

レメロンが向いている人は?

レメロンの特徴をおさらいしてみましょう。

効果は強い
眠気と体重増加が起きやすい
他の抗うつ剤の副作用の特徴が違う

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ここから考えると、「不眠を伴ううつ病」の方には良い適応だと思われます。
落ち込みも改善させて眠りも深くしてくれるわけですから、一石二鳥です。

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吐き気や胃部不快感、性機能障害といった他の抗うつ剤で見られやすい副作用がほとんどないのもこのお薬の特徴です。

他の抗うつ剤で治療を受けていて、このような副作用がつらいという方もレメロンを試してみる価値はあるかもしれませんね。

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反対に、「日中に眠気が出ると困る人」への投与は慎重にすべきでしょう。
眠気は日中まで持ち越すこともあります。

レメロンは非常に良いお薬であり、投与してみたい患者さんは多くいるのですが、日中に作業をする人には投与しずらいというのは大きな欠点です。

社会人や学生など、ほとんどの方は日中に集中力を要する作業をしており、日中に眠気が出たら困る人というのは多いのです。

すでに仕事を休職しており、治療体制が十分整っている方には投与しやすいかもしれませんが、
そうでない場合、眠気で集中力や作業効率が落ちて困ってしまうかもしれないし、
もっとひどい場合は、朝起きれなくなって遅刻してしまうかもしれません。

そうなると、かえって自分を責めてしまうことにもなりそうですよね。

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また、レメロンは体重増加の頻度が多いお薬ですから、太ることに過敏な方にはあまりお勧めできません。

レメロンの強さ

MANGA studyという有名な研究報告があります。
この研究は「抗うつ剤の強さや副作用の多さをランク付けしてみよう!」 というものです。

研究結果には賛否両論ありますが、抗うつ剤をランキングする、
という前代未聞の試みであったため、大きな反響を呼んだ試験でした。

この試験結果で、「一番効果が高い」と評価されたのがレメロンとリフレックスです。

有効性とは薬の効果で数字が大きいほど効果が高いことを示しており、
忍容性とは副作用の少なさで、大きいほど副作用が少ないことを表しています。

フルオキセチン(国内未発売)という抗うつ剤を「1」とした場合の、それぞれの 抗うつ剤の比較です。

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レメロンは有効性だけみればトップに君臨しています。
ただ、その分忍容性が低く、「効果は良いんだけど副作用も多いお薬」という位置づけです。

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実際、Manga Studyのこの結果はレメロンの特徴をよく表していると思います。

効果は抜群、でも副作用も多いよ

それがレメロンです。

ちなみに副作用は体重増加と眠気が最多です。