サインバルタ の不眠の対処法

サインバルタで不眠が生じてしまったとき、どう対処法すればいいでしょうか?

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1.様子をみる

サインバルタを飲んで間もないのであれば、少し様子をみてみましょう。

半数くらいの方は、そのまま様子をみていれば次第に慣れてきて、不眠の副作用が軽くなってくることがあります。

最初の1-2週間は不眠に悩まされても、そこから徐々に改善していき、最終的にはそれほど気にならなくなった、というケースは少なくありません。

何とか様子をみれる程度の不眠なのであれば、少し様子をみてみましょう。

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2.増薬のペースを緩める

多くの抗うつ剤は少量から開始し、少しずつ量を増やしていきます。

それは、急に体内のセロトニン量が増えるとからだがびっくりしてしまい、様々な副作用が現れやすくなるからです。

不眠に関しても同じで、いきなり高容量の抗うつ剤を入れると生じやすくなります。

抗うつ剤への感度は個人差がありますので、一般的と考えられる量から開始したとしても、からだがびっくりしてしまうこともあります。

そんな時は、増薬のペースを緩めることをおすすめします。抗うつ作用が出てくるのも遅くなってしまいますが、副作用の程度が軽くなるというメリットがあります。

例えば、サインバルタは20mgから始めますが、それで不眠が強く出てしまうようなら脱カプセルして10mgから始めたり、最初は隔日投与(2日に1回飲む)にするという方法があります。

こうすれば、効果は弱くなってしまうものの、副作用を軽くすることが可能です。

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3.眠りを深くする抗うつ剤を併用する

不眠の原因であるセロトニン2A受容体への刺激を弱めるお薬を併用すれば、理論上は眠りが深くなります。

先ほど説明した、

・四環系抗うつ剤(ルジオミール、テトラミドなど)
・Nassa(レメロン、リフレックスなど)
・デジレル

などは「鎮静系抗うつ剤」と呼ばれて、セロトニン2A受容体を遮断することで、逆に眠りを深くします。

サインバルタに少量の鎮静系抗うつ剤を加える、あるいはサインバルタの量を少し減らして、少量の鎮静系抗うつ剤を加える、という方法はしばしば臨床では使われ、理にかなった処方です。

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4.別の抗うつ剤に変える

どうしても不眠の副作用がつらい場合には、別の抗うつ剤に変えるのも手です。

鎮静系抗うつ剤に切り替えれば不眠の副作用は改善される可能性が高いですが、別の副作用に困ることもありますので、主治医とよく相談してください。

基本的に鎮静系抗うつ剤は、「日中の眠気」「倦怠感」「ふらつき」などの副作用が出やすくなります。

他にも、

Nassa:体重増加
四環系:抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉など)
デジレル:性機能障害

などの副作用がでる可能性があります。

同系統のSSRI,SNRIの中で変薬してみるのも手です。

どれも不眠の副作用は生じやすいのですが、面白いことに抗うつ剤というのはたとえ同系統でも、効きが全然違うという事が臨床ではしばしばあります。

同じSNRIなのに、サインバルタからトレドミンに変えたら、調子が良くなってきた(あるいのその逆のパターンもありえます)など。

これは、同じSNRIといえども、再取込阻害作用の強さなどが薬剤間でかなり異なるためだと考えられています。

副作用に関しても同じことが言えます。ですので、別のSSRIやSNRIに変更することで、改善をはかれる可能性はあります。

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(注意)睡眠薬の併用することについて

不眠の副作用が出現したとき、睡眠薬を併用することで改善を図ろうと考える方がいます。

しかしこれは、注意が必要です。

現在主に用いられている、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、睡眠潜時(眠るまでの時間)や総睡眠時間を増加させると言われていますが、深部睡眠は障害される(=睡眠の質は浅くする)と言われています。

つまり眠れるようになるし眠れる時間も増えるけども、睡眠の質は下げてしまい、浅い眠りにしてしますのです。

浅い眠りであっても眠れないよりはいいので、併用することはあるのですが、抗うつ剤で生じる不眠も、眠りの質が浅くなって起こっていることですから、睡眠薬と併用すると、睡眠の浅さに拍車がかかってしまうことがあります。

不眠の副作用がつらいからといって、安易に睡眠薬を使用しないよう注意が必要です。

理論的には、浅い眠りを更に増やす恐れがあり、不眠が悪化する可能性もあるのです。

サインバルタ 他剤との比較

不眠の副作用はセロトニン受容体の一種である、「セロトニン2A受容体」にセロトニンがくっつくことで生じると言われています。

なので、セロトニンを選択的に増やす効果の高いSSRIやSNRIで多く認められます。

三環系抗うつ剤でも認められますが、SSRIやSNRIほどではありません。

反対に四環系やデジレル、Nassa(リフレックス/レメロン)は、不眠はほとんど起こしません。逆にこれらの抗うつ剤はセロトニン2受容体を遮断すると言われています。

ということは、脳の覚醒レベルを下げる方向に働き、眠りを深くする効果があるのです。このため、これらの抗うつ剤は「鎮静系抗うつ剤」とも呼ばれています。

SSRI、SNRI、三環系・・・不眠になりやすい(深い眠りが妨げられる)
Nassa、四環系、デジレル・・・熟眠を得やすい(深い眠りが促される)

睡眠に関しては、このように分類できます。

しかし、鎮静系抗うつ剤は熟眠の度が過ぎてしまい、日中の眠気で困ることもあります。どちらも一長一短ありますので、どのお薬を使うかは主治医とよく相談しましょう。

サインバルタで不眠が生じる理由

サインバルタは時に「不眠」を起こすことがあります。これはSSRIやSNRIに共通の副作用です。

抗うつ剤は、眠くなるイメージが強いため「眠れなくなる」というと意外に感じますが、不眠はしばしば見られる副作用なのです。これはセロトニン受容体が刺激され、深部睡眠が抑制されることが原因だと言われています。

不眠が生じると、夜になかなか寝付けないだけでなく、何度も目覚めてしまったり、悪夢にうなされたりします。

ただでさえ精神的に状態で、睡眠にまで支障をきたしてしまっては、たまったものではありませんね。精神的につらい状況の中、せめて眠りくらいはゆったりと取りたいものです。

サインバルタをはじめとした抗うつ剤は「脳内のモノアミン濃度を増やす」働きがあります。

モノアミンとはセロトニンやノルアドレナリン、ドパミンの総称で、これらが増えると抗うつ作用を発揮すると考えられています。

増えたモノアミンは、「受容体」という部分にくっつき、くっつく受容体の種類によって様々な効果を発現します。

受容体には色々あります。「気分を持ち上げる」作用を持つもの、「吐き気を起こす」作用のあるもの、「眠くするもの」や「便秘、口渇を起こすもの」など本当に様々です。

抗うつ剤に期待することは「気分を持ち上げる」ことですから、「気分を持ち上げる受容体」にだけ作用してくれるのが理想です。

しかし、そううまくはいかないもので実際は色々な受容体にくっついてしまい、余計な作用が出てしまいます(これを副作用と言います)。

不眠が起こるのは、抗うつ剤が5HT(セロトニン)2A受容体を刺激するためと言われています。

セロトニン2A受容体を刺激されると、中枢神経が興奮する方向に働きます。

これは活気を出したり、無気力を改善させたりという良い働きもあるのですが、脳の覚醒レベルを上げるため、不眠になりやすくなってしまいます。

本当はぐっすりと寝ないといけない時間に抗うつ剤がセロトニン2A受容体を刺激してしまうと、眠りが浅くなったり、夜中に何回も起きてしまったり、早朝に目覚めてしまったりということが起こるのです。

また睡眠中に脳が働いてしまうため、夢も見やすくなります。

夢は夢でも、「いい夢」「楽しい夢」ならまだいいのですが、精神状態が悪い時は「悪夢」を見る頻度の方が圧倒的に高いため、これも患者さんを苦しめてしまいます。

不眠の副作用は、

・SSRI(デプロメール/ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど)
・SNRI(サインバルタ、トレドミンなど)
・三環系(トフラニール、アナフラニール、トリプタノール、ノリトレン、アモキサンなど)

で多く認められる副作用です。

サインバルタで体重が増えてしまったら?

サインバルタで体重が大きく増えることはあまり経験することではありません。しかし、可能性は0ではなく、中には困るくらい太ってしまう人もいます。

サインバルタの内服で体重が増えてしまったら、どのような方法を取ればいいでしょうか?

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Ⅰ.生活習慣を見直す

まず一番大切なことは、生活習慣を見直すことです。

サインバルタの副作用で太ったとしても、規則正しい生活を送ったり、適度な運動をしたりと体の代謝を改善する行動を行えば、体重は落ちやすくなります。

抗うつ剤の体重増加というのは「体重が落ちなくなる」のではなく、からだをリラックスさせることにより体重が「落ちにくくなっている」だけです。

しかるべき行動をとれば、落ちやすくなります。

食事は規則正しく3食食べていますか?
量やバランスは大丈夫でしょうか?
間食や夜食など、太る原因になる食行動をしていませんか?

適度な運動はしていますか? 一日一回くらいは、体を動かさないといけませんよ。散歩でもいいですが、ジョギングやサイクリングなどやや強度のあるものの方が
代謝は良くなります。

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Ⅱ.抗うつ剤の量を減らしてみる

もし精神状態が安定しているのであれば、減薬を考えてみるのもいいかもしれません。サインバルタ以外にも抗うつ剤を内服しているのであれば、そっちが原因かもしれませんから、どの薬から減らすかは主治医とよく相談してください。

体重増加で困っているのであれば、主治医に相談することは大切なことです。主治医は、あなたの体重増加を重く捉えていないかもしれないからです。体重が増えてどのくらい困るかは人それぞれです。

ガリガリに痩せてた男性であればちょっと体重が増えても全然困らないでしょう。でも、とてもスタイルに気を使っている若い女性にとって、体重が数キロ増えることは、とても怖いことかもしれません。

体重増加に対して主治医とあなたとの間に認識のギャップがある恐れがありますので、少なくとも自分が困っていることなのであれば、相談してみてください。

ただし、病状によっては薬の量を減らせないこともあります。相談の上でも、お薬を減らせなかった場合は、自分で勝手に減らすことはせず、主治医の判断に従ってください。

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Ⅲ.別の抗うつ剤に変えてみる

別の抗うつ剤に変えてみるという手もあります。

とはいっても、ほとんどの抗うつ剤はサインバルタより体重増加が生じる可能性が高いため、難しいところではありますが・・・。

候補に挙がるのは、SSRIの中でも比較的体重増加の頻度が少ないジェイゾロフト、同じSNRIのトレドミンあたりでしょうか。

ただし、それぞれの抗うつ剤には長所と短所がありますので、体重増加だけで考えるのではなく、総合的に判断することが大切です。

やはり主治医とよく相談することが大切ですね。

まとめ

・サインバルタの副作用には、体重増加と体重減少があり、人によって体重が増えることもあるし、減ることもある。ただ、どちらにせよその程度は軽度であり、数キロの増減に収まることがほとんど。

・サインバルタは他の抗うつ剤と比べ、体重増加が生じる可能性は低い

・サインバルタで体重増加が生じた場合、まずはそれが本当にサインバルタのせいなのかをしっかりと見極め、生活習慣を改善したり、精神状態が落ち着いていれば主治医と相談して減薬したり、主治医と相談して別の抗うつ剤に変更したりすることで改善をはかる。

サインバルタの体重増加。太ったのは抗うつ剤のせいではないかも!?

サインバルタ、トレドミンといったSNRIと呼ばれる抗うつ剤は、上記の理由から、体重増加の頻度は少ないと言えます。

抗うつ剤の中でも、体重増加は少ない部類に入りますので、「太るのはどうしてもいやだ」という方はサインバルタを候補に考えてみてもいいのかもしれません。

「サインバルタを飲み始めてから太った・・・」と感じたら、副作用以外の理由を疑ってみることも必要です。

もちろん、サインバルタの副作用で太ることはありますが、サインバルタを処方されているということは、うつ状態など、つらい状態であることがほとんどだと思います。

例えば、うつ病で精神的なエネルギーが低下していて、何とかご飯は食べるけど一日中、全然動けずにいたとしたら、カロリーが全然消費されないため、太りやすくなります。

ストレスで過食がちで、ついついスナック菓子などの間食が多くなっているのであれば、それが太る原因なのかもしれません。

その体重増加は本当にサインバルタが原因なのか?改めて、見直してみましょう。

精神的に不安定なときは、自分のことを客観視できないこともありますので、そういう時は、家族に聞いてみたり主治医と相談してみてください。

その上で、サインバルタの副作用で太っているのかそれ以外の原因なのかを見極めてください。

サインバルタは太るお薬なのか

まず、みなさんが一番知りたいところである「サインバルタって太るの?」という疑問に対する答えをみていきましょう。

結論から言うと、「サインバルタで太る可能性はある。しかしその頻度は他の抗うつ剤と比べると少なく、作用機序的に考えても太りにくい抗うつ剤であると言える」というのが答えになります。

サインバルタカプセルの添付文書を見ると、体重に関する副作用としては次のように記載されています。

・体重増加(頻度:1-5%未満)
・体重減少(頻度:1-5%未満)

サインバルタの副作用の報告を見ると、体重増加と体重減少の両方がおおよそ同程度の頻度で生じています。これは一体どういうことなのでしょうか。

実際に患者さんにサインバルタを投与した現場での印象としても、まさにこの添付文書の通りです。サインバルタを使うと太ってしまう方もいる一方で、体重がやや落ちてしまう方もいます。

サインバルタは服用によって体重が増える方もいれば落ちる方もいるため、統計的に見ると「あまり体重は変化させない薬」という位置づけになっています。ただ個々の症例で見れば、体重が増えてしまう方もいらっしゃるため、「絶対に太らないお薬」であるとは言えません。

ではサインバルタで体重増加(そして体重減少)が生じる機序について見ていきましょう。

サインバルタに限らず抗うつ剤で太ってしまう理由は、抗うつ剤にヒスタミンのはたらきをブロックしてしまう作用があるからだと考えられています。より具体的に言うとヒスタミンが作用する部位の1つであるヒスタミン1受容体(H1受容体)に蓋をしてしまい、ヒスタミンが作用できないようにしてしまうのです。これを「抗ヒスタミン作用」と言います。

サインバルタにも抗ヒスタミン作用があります。しかしその強さは他の抗うつ剤であるSSRIや三環系抗うつ剤などと比べると少ないと考えられています。

【SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)】

選択的セロトニン再取込み阻害薬。神経間に分泌されたセロトニンの吸収・分解を抑える事によってセロトニンの濃度を上げるお薬。

セロトニンの低下は落ち込みや不安を引き起こすと考えられているため、これにより気分の改善が得られる。

パキシル(パロキセチン)、ルボックス・デプロメール(フルボキサミン)、ジェイゾロフト(セルトラリン)、レクサプロ(エスシタロプラム)などがある。

【三環系抗うつ剤(TCA)】

1950年頃より使われている最古の抗うつ剤。抗うつ作用は強力だが副作用も多く、稀に命に関わるような重篤な副作用の報告もあるため、現在では限られた症例にのみ用いられている。

セロトニン(落ち込みや不安に関係)とノルアドレナリン(意欲に関係)を増やす作用を持つ。

トフラニール(イミプラミン)、アナフラニール(クロミプラミン)、トリプタノール(アミトリプチリン)、アモキサン(アモキサピン)などがある。

反面、サインバルタをはじめとするSNRIは、「意欲や活気を上げる」という特徴があり、これは、体の活動レベルを上げるため、体重を減らす方向に働きやすいという面もあります。

この二つの側面が綱引きをし、人によっては体重が増えたり減ったりするわけです。ただ、太るにせよ痩せるにせよ、その程度は軽度で多くは数キロ程度のとどまります。

つまり、「サインバルタで太るかどうか?」という問いには、

個々の体質によって太ることもあるし痩せることもある。ただ、いずれにせよその程度は軽度であり、多くは数キロの増減にとどまる。

という答えになります。

サインバルタで吐き気が生じた際の対処法

サインバルタを処方してもらい、服用を始めたら強い吐き気に襲われた。

このような経験をしてしまうと「この薬は危ないお薬なんじゃないか」「自分には合わないお薬なのではないか」と不安になってしまうかもしれません。吐き気は軽症例も含めればSSRI・SNRIを服用して約30~40%の頻度で生じるため、このような経験をしてしまう事は決して珍しい事ではありません。

しかし心配はいりません。この吐き気はほとんどの場合で適切に対応することで改善させる事が可能です。

では具体的にどのような対処法があるのか、一般的に取られる対処法を紹介します。

なお、ここで紹介する対処法は必ずサインバルタを処方してもらった主治医と相談の上で行い、独断では決して行わないようにしてください。

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Ⅰ.様子をみる

サインバルタの服用によって吐き気が認められた場合、吐き気の程度が様子を見れる程度なのであれば、まず考えたいのは「様子を見てみる」という対処法です。

というのも、吐き気の副作用が生じても、90%以上の症例で、1~2集患もすれば自然とこの副作用は改善していくからです。

服用初期においてはセロトニン量を増やすお薬が身体に急に入ってきたため、身体もすぐには対応できず副作用が現れてしまいます。しかし1~2週間もすればお薬に身体も慣れてくるため、吐き気は徐々に軽減していきます。

ほとんどのケースで吐き気がつらいのは最初の1~2週間ほどです。逆に言えばこの期間を乗り切る事が出来れば、吐き気はなくなっていくという事です。

吐き気が出ているということは身体のセロトニン量が増えているという証拠です。「お薬がちゃんと効いているんだ」と前向きに考えてみてください。

自然と改善することが分かっているので、軽い吐き気であれば、様子を見てみることも有効な方法の1つです。

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Ⅱ.胃薬を併用する

SSRIやSNRIの服用を始めると、30~40%の確率で吐き気が生じるのですから、あらかじめこれらのお薬の服用を開始する際は胃薬や吐き気止めを併用しておく事も有用です。

現在、抗うつ剤の吐き気の対処法として、一番行われている方法がこれになります。

内科で胃腸炎や胃潰瘍の時に処方される胃薬というのは、サインバルタの副作用で生じる吐き気にも一定の効果があります。

吐き気が生じる頻度は少なくありません。そのため、吐き気が出てから慌てて対処するのではなく、最初から予防的に抗うつ剤と胃薬をセットで出すことも多いです。

胃腸の調子を崩しやすい方や、吐き気の副作用が心配で抗うつ剤の服用に抵抗があるという方は主治医と相談し、胃薬もあらかじめ投与してもらうようにしましょう。

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Ⅲ.抗うつ剤の種類を変える

吐き気はすべての抗うつ剤で認められる副作用ではありません。

SSRI・SNRIには多く生じる副作用ではありますが、吐き気が生じにくい抗うつ剤もあります。

上記の方法でも吐き気の改善が得られない場合は、抗うつ剤の種類を変える事を検討しても良いでしょう。

一般的に吐き気が少ない抗うつ剤というと、

リフレックス・レメロン(一般名:ミルタザピン)
ドグマチール(一般名:スルピリド)

などが候補に上がります。

ただしこれはあくまでも「吐き気」が少ない抗うつ剤というだけで、それ以外の副作用に関してはこれらの抗うつ剤の方が多い事もありますので、総合的に考える必要があります。

リフレックス・レメロンは吐き気は少ないのですが、体重増加や眠気などの頻度が多めになります。

ドグマチールは元々は胃薬として開発され、発売後に抗うつ作用がある事も分かったお薬です。元々が胃薬ですから胃腸の副作用が起きる可能性は少なく、かえって胃腸には良いくらいです。

ただしドグマチールは古いお薬であり、ドーパミン系にも作用する事によって錐体外路症状や高プロラクチン血症といった副作用のリスクがあります。

【錐体外路症状(EPS)】
ドーパミンのブロックによって生じる神経症状。手足のふるえやムズムズ、不随意運動(身体が勝手に動いてしまう)などが生じる。

【高プロラクチン血症】
脳のドーパミンをブロックすることでプロラクチンというホルモンが増えてしまう事。プロラクチンは本来は産後の女性が乳汁を出すだめに分泌されるホルモンであり、これが通常の方に生じると乳房の張りや乳汁分泌などが生じ、長期的には性機能障害や骨粗しょう症、乳がんなどのリスクとなる。

このように吐き気の少ない抗うつ剤であっても別の副作用のリスクはあります。どの抗うつ剤にも一長一短ありますので、作用と副作用を総合的にみて、自分に最適な抗うつ剤を主治医と一緒に選んでいく事が大切です。


・サインバルタの吐き気は、胃腸に存在するセロトニン3受容体が刺激されることによって生じる
・吐き気はSSRI・SNRIの30-40%程度に認められる副作用である。
・吐き気のほとんどは1~2週間で改善するため、様子をみるのも手である。
・胃薬は吐き気予防に効果があるため、併用してもよい。
・どうしても吐き気の改善が得られない場合は、別の抗うつ剤に変更するのも手である。

サインバルタ以外の抗うつ剤との吐き気の比較

サインバルタ(一般名:デュロキセチン)は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)という種類に属する抗うつ剤です。

サインバルタは、特に服用の初期にしばしば吐き気・気分不良といった副作用に悩まされることがあります。これはサインバルタに限らずSSRI・SNRIと呼ばれる抗うつ剤で生じやすい副作用の1つです。

なぜサインバルタを服用すると吐き気が生じるのでしょうか。また吐き気を予防する方法や、吐き気が生じてしまった際の対処法などはあるのでしょうか。

吐き気の副作用は、SSRI・SNRIと呼ばれる抗うつ剤のほとんどに認められます。

SSRIとは「選択的セロトニン再取込み阻害薬」という抗うつ剤です。またSNRIとは「セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬」という抗うつ剤です。いずれもセロトニンを増やす作用を持つため、吐き気も生じてしまう可能性があるのです。

これらの抗うつ剤で吐き気が生じる頻度はおおむね30~40%程度と報告されており、サインバルタも同程度になります。

一方で抗うつ剤の中でも、三環系抗うつ剤や四環系抗うつ剤、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)といった抗うつ剤では吐き気の副作用は比較的少なめになります。

吐き気はSSRI・SNRIに多く認められ、その他の抗うつ剤では少なめであるのが分かります。

またSSRI・SNRIの中でもデプロメール・ルボックス(一般名:フルボキサミンマレイン酸塩)で特に多めであり、トレドミン(一般名:ミルナシプラン)はやや少なめになります。

ただしあくまでも目安に過ぎず、実際は個人差もあります。

サインバルタで吐き気が生じる理由

サインバルタを服用すると吐き気が生じる事があります。吐き気はサインバルタの副作用の中でも比較的生じやすいもので、特に内服初期、つまり「飲み始め」に起こりやすいという特徴があります。

抗うつ剤というのは、「気分が改善させる」という作用を得るには少し時間がかかります。サインバルタもどんなに早くても効果が出始めるまでには1週間程度はかかります。しっかりとした効果を得るのであれば1カ月ほどは見ないといけません。

このように効果が得られるまでには結構時間がかかるのですが、一方で吐き気のような副作用は服用して数時間後には出てきてしまいます。

服用したばかりの時というのは、効果はまだ良く分からないけど、吐き気などの不快な副作用だけが出てしまうのです。このような抗うつ剤の作用と副作用の出方を知らないと、服用直後に「このお薬、本当に大丈夫なんだろうか?」と不安になってしまうかもしれません。

では、なぜサインバルタをはじめとした抗うつ剤では服用初期に吐き気が生じるのでしょうか。

サインバルタをはじめ、多くの抗うつ剤は「脳神経間のセロトニン量を増やす」ことを目的に投与されます。セロトニンは気分に関係する物質であり、セロトニンの低下は気分の落ち込みや不安の増悪を引き起こすと考えられているためです。

しかし抗うつ剤を服用すると、お薬の成分は血液中に入り全身に回りますので、脳だけでなく身体の様々な部位のセロトニン量を増やしてしまいます。

セロトニンが作用する部位を「セロトニン受容体」と呼びますが、実はセロトニン受容体のうち脳に存在するのはわずか10%ほどで、残り90%以上は脳以外に存在しています。そして脳以外でセロトニン受容体が一番多い部位は胃や腸といった消化管なのです。

この消化管に存在するセロトニン受容体をサインバルタが刺激してしまう事により、吐き気や気分不良といった副作用が生じてしまうのです。

このような消化器系の副作用は不快な症状ではありますが、別の見方をすれば吐き気が生じているという事は、身体の中でセロトニンを増やす変化が起き始めているという事でもあります。

サインバルタ 離脱症状と再発を混同しないこと!

抗うつ剤をやめたり減らしたりして、離脱症状が出現すると、

「薬を辞めて症状が出るということは、まだ病気が治ってないんだ」
「一生薬に頼っていかないといけないんだ・・・」

と「病気が再発してしまった」と誤解する方が非常に多くいます。

しかし、離脱症状と病気の症状は全くの別物で、ここは切り離して考えないといけません。離脱症状は「抗うつ剤の血中濃度が急に下がったことで体がびっくりして」起こった症状なだけで、別に病気が再発したわけではありません。

体をびっくりさせなければ起きない症状なのですから。ここを誤解して、絶望的になってしまう方は非常に多いです。

離脱症状が出たからと言って、病気が治っていないわけではない。離脱症状は、病気の治りとは全く無関係に出現する「副作用」なんだと、正しく理解しましょう。

・離脱症状は、抗うつ剤の量が急に変わったことで、体がびっくりして生じる

・離脱症状は「効果の強い抗うつ剤」「半減期の短い抗うつ剤」に多く、
サインバルタもやや多く認められる。

・離脱症状が生じた場合、自己判断での断薬が原因なら、内服を再開することで改善する。

・減薬の過程で離脱症状が出現した際は、減薬を延期したり、減薬ペースを緩めたり、
他剤に切り替えるなどの方法を取ることで対処できる

・離脱症状は副作用であり、病気が再発・悪化して出現しているわけではない。

サインバルタの離脱症状の対処法

サインバルタの減薬によって離脱症状が生じてしまった時にどのような対処法があるのかを考えてみましょう。

実際の診療現場で抗うつ剤の離脱症状に遭遇するのは、次の2つのパターンの場合がほとんどです。

自己判断でサインバルタを中止した
医師との相談の元ではあるが、急いでサインバルタを減薬した

まず頻度で言えば前者が圧倒的に多いです。本当はまだ服用を続けなくてはいけないのに、患者さんの「もうお薬は飲みたくない」という自己判断によって急にお薬の副作用を中止する事で生じます。

ほとんどの方にとって、抗うつ剤のような向精神薬(精神の作用するお薬)は「出来るだけ飲みたくないもの」なのです。

そのため少し調子が良くなると、「もうお薬はやめてもいいのではないか」と考えてしまい、自己判断で中断してしまうのです。

中止した翌日くらいから、徐々に離脱症状が出現してきて、慌てて精神科・心療内科に駆け込むというケースが多いです。

このような場合では原因は明らかですから中止した抗うつ剤を再開すれば数日で改善するでしょう。

早く抗うつ剤を辞めたい気持ちはとても良く分かります。しかし素人が自己判断で中断の可否を判断するのは危険であり、必ず主治医と相談の上で減薬するようにしましょう。

次に後者の場合は、どうすればいいでしょうか?

「大分調子がいいからお薬を少し減らしてみましょう」
「副作用が強く出すぎているので少しお薬を減らしましょう」

このように主治医から提案を受け、提案通りに減薬しているのに離脱症状が生じてしまったというケースもあります。この場合に考えうる対処法を紹介します。

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Ⅰ.減薬を延期する

急いで減薬する理由がない場合は、もう少し様子をみてから、数か月後に減薬するとうまくいくことがあります。

離脱症状は、疾患が治りきってない時に無理して減薬すると起きやすい印象があります。病気が治りきってないということは、まだまだ自分の体だけでセロトニンを出す力が不十分だということ。この時にお薬を減らしてしまうと、反動が出やすくなり離脱症状も起きやすくなるのです。

数か月待ち、もっと病気が良くなって、自分が体がセロトニンを出す力が出てきてから減薬すれば、抗うつ剤が減っても持ちこたえられる可能性が上がります。

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Ⅱ.減薬ペースを落とす

離脱症状対策の基本はこれです。

人の体は急激な変化に弱いという特徴があります。なので、可能な限りゆるやかに減らしていけば、反動は起きにくくなります。

早く減らしたい気持ちはとても良く分かりますが、少しずつ確実に減らしてみましょう。その方が、結果的に早く薬を辞められることも多いのです。

例えば、サインバルタ60mgを内服していて、40mgに減薬して離脱症状が出た場合は、50mgを間に挟んでみるのです。

脱カプセル(カプセルを取ってカプセル内に入ってる粉だけを内服する)をしてくれる薬局があれば、脱カプセルをすることで、55mgにするなど、より細かい調整も可能となります。

期間も大事で、一般的には2週間に一度のペースで減らしていくのがいいとされてますが、そのペースで離脱症状が出てしまう時は、1か月に一回のペースで減らすなどしてみましょう。

問題となるのがサインバルタ20mgからの減薬です。サインバルタはカプセルは剤型として20mgカプセルと30mgカプセルの2種類しかありません。またカプセルの特性上、半分に割ることができないのです。

となると、20mgから0mgにした際に離脱症状が出てしまった際はどうすればいいのか、という問題が生じます。

私が今まで取った方法で成功したものに、

・脱カプセルして、10mgや15mg相当量にしてもらい、漸減していく
・サインバルタ20mgを2日に1回投与する、などの投与間隔をあけていく
・別のお薬(ジェイゾロフトやトレドミンなど)に切り替え、そこからまた減薬していく

などの方法があります。ぜひ、参考にしてみて下さい。

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Ⅲ.他剤に切り替えてみる

離脱症状の比較的出にくいお薬に切り替えてみることも手です。

離脱症状の出にくさだけでいうと、リフレックス/レメロン、ドグマチール、ジェイゾロフト、トレドミンなどが候補に挙がります。

ただし、離脱症状以外のメリットデメリットがそれぞれのお薬にありますので、主治医を相談しながら変えるお薬は決めましょう。

サインバルタ 各抗うつ剤の離脱症状の起こしやすさの比較

基本的に抗うつ剤は、減薬・中断の際に離脱症状が生じる可能性があります。しかし抗うつ剤の中にも離脱症状を起こしやすいものとそうではないものがあります。

抗うつ剤の中でも特に離脱症状を起こしやすいのは、

SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)

になります。

また、それに次いで、

三環系抗うつ剤

でも認められる事があります。

離脱症状が出現する頻度は抗うつ剤によって差がありますが、軽度なものも含めると約20%程度の確率で生じると報告されています。

では具体的にどのような抗うつ剤が離脱症状を起こしやすくて、どのような抗うつ剤が起こしにくいのでしょうか。

離脱症状を起こしやすい条件は、

効果の強い抗うつ剤
血中濃度の幅が大きい抗うつ剤(≒半減期が短い抗うつ剤)

などがあります。

要するに抗うつ剤が効いている時と効いていない時の差が大きいお薬ほど、その反動が離脱症状として現れやすいのです。

効果の強い抗うつ剤は頼りになりますが、その一方で減薬時も反動が大きくなるため、減った時は離脱症状を認めやすくなります。

また抗うつ剤の半減期が短いほど、離脱症状は起きやすいと考えられます。

半減期というのはお薬を服用して血中濃度が上がってから、その血中濃度が半分に落ちるまでにかかる時間の事で、おおよそですがそのお薬の作用時間と相関します。

半減期が長いお薬は、その成分がゆっくりと身体に効いていき、長く体内にとどまるという事です。血中濃度の増減も緩やかになりますので、離脱症状は生じにくいと言えます。

一方で半減期が短いとお薬は服用してから早期に血中濃度が上がり、その後短い時間で効果がなくなってしまうという事であるため、血中濃度の幅が大きく、離脱症状が生じやすくなります。

総合的に見ていくと、離脱症状がもっとも多いのは「パキシル(一般名:パロキセチン)」になります。パキシルは効果も強めであり、また半減期が短めになります。

パキシル以外のSSRIでも減薬時に離脱症状は生じえますが、パキシルと比べれば頻度は少ないと言えます。

三環系抗うつ剤も減薬時に離脱症状が生じえますが、その頻度はSSRI・SNRIと比べると少な目になります。

また穏やかに効く抗うつ剤である

四環系抗うつ剤
ドグマチール(一般名:スルピリド)
トレドミン(一般名:ミルナシプラン)

などは半減期は短いものの、効果が穏やかであったりするため離脱症状で困ることはほとんどありません。

NaSSAと呼ばれる抗うつ剤に属するリフレックス・レメロン(一般名:ミルタザピン)は、効果は強い抗うつ剤ですが、半減期は長くこちらも離脱症状はほとんど経験しません。

さて肝心のサインバルタはというと、パキシルよりは少ないもののその他のSSRI・SNRIよりは若干多いという印象があります。これはサインバルタの効果が強めであること、半減期が短いことが関係しているのでしょう。

サインバルタの離脱症状は、抗うつ剤の中では「非常に多いわけではないが、まぁまぁの頻度で認められる」といったところです。

サインバルタの離脱症状が生じるワケ

サインバルタをはじめとして、抗うつ剤は減量する際に「離脱症状」が生じることがあります。

これは抗うつ剤の血中濃度が急激に低下していく事に身体が対応できずに生じる反応です。

抗うつ剤の離脱症状は患者さんの間では「シャンビリ」とも呼ばれています。これは耳鳴りが「シャンシャン」と鳴り、手足が「ビリビリ」痺れることから付けられた名称であり、離脱症状の特徴を良く表しています。

多くの方にとって抗うつ剤は一生服用するものではありません。どこかで減薬し服薬終了となるのが普通です。減薬の際は、医師の指示に従って慎重に減薬していけば、離脱症状を起こす頻度はそれほど多くはありません。しかし無理に急いで減薬してしまったり、本来であればまだ減薬すべき段階ではないのに減薬に入ってしまったりすると離脱症状は出やすくなります。

ここでは抗うつ剤で離脱症状が生じる理由や離脱症状を出来る限り起こさない方法、離脱症状が生じてしまった際の対処法などについてお話させていただきます。

まずは抗うつ剤による離脱症状がどうして生じるのかを説明させていただきます。

サインバルタをはじめとした抗うつ剤の離脱症状が生じるのは、抗うつ剤の血中濃度が急激に低下した事に対して身体が対応しきれなかったためです。予定外の血中濃度の低下に身体は驚き、自律神経のバランスが崩れてしまい、その結果として離脱症状と呼ばれる種々の症状が生じてしまうのです。

抗うつ剤は数か月~数年単位で服用を続けるお薬ですが、ある程度の期間抗うつ剤の服用を続けていると、私たちの身体は「抗うつ剤の成分は毎日身体に入ってくるもの」と認識するようになり、それに基づいて身体の様々な機能を調整するようになります。

このような状態で抗うつ剤が急に減ったらどうなるでしょうか。

今日も入ってくると思っていた成分が、ある日から突然入ってこなくなる、あるいは入ってくる量が予定外に少なくなる、こうなれば身体は驚いてしまいます。入ってくると思っていたものが急に入ってこなくなるわけですので、身体の機能の調整にも不具合が生じるようになります。

その結果、自律神経のバランスが崩れ、様々な自律神経症状が生じるようになります。具体的には、耳鳴り、めまい、しびれ、頭痛などが生じます。これが離脱症状の正体です。

私たちの身体は急激な変化に弱いのです。身体に何らかの変化を生じさせる場合は、出来る限りゆっくりゆっくり変えていかないと身体は驚いてバランスを崩してしまうのです。

サインバルタで眠気が生じた際の対処法

サインバルタは眠気を引き起こす頻度は少ない抗うつ剤になります。しかし眠気が絶対に生じないわけではなく、人によっては生じてしまう事もあります。

サインバルタを服用する事で眠気が出てしまったらどうすればいいでしょうか。

ここではサインバルタで眠気が生じたときに取られる対処法について紹介します。ただしこれらの対処法は決して独断では実行しないで下さい。必ず主治医と相談の上、主治医の指示に従って行うようにしましょう。

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Ⅰ.様子を見る

サインバルタの服用を始めてからまだ日が浅く、また眠気の強さがそこまで強くない場合は少し様子をみてみるのも手です。

なぜならば抗うつ剤の副作用は服用を続けていくと「慣れてくる」ことが少なくないからです。

服用を始めたばかりの頃はすごく眠気が強かったけど、1~2週間経ったら大分楽になってきた、という事は臨床でよく経験することです。

人の身体は、変化に少しずつ順応する力を持っているのです。

様子を見れる程度の眠気は少し様子をみてみましょう。

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Ⅱ.睡眠環境を見直す

眠気が生じた際、そもそもの睡眠環境に問題がないかを見直すことも忘れてはいけません。

そもそもが不規則な睡眠リズムだったり、十分な睡眠時間をとってないのであれば、その眠気は副作用で生じているだけではなく、サインバルタを飲み始めたことで睡眠の問題が表面化したに過ぎないのかもしれません。

睡眠環境や睡眠時間に問題がないかを見直し、問題があれば安易に薬のせいと決めつけずに問題を解決することを試みてみましょう。

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Ⅲ.併用薬に問題はないか?

併用薬によっては、サインバルタの副作用を生じさせやすくしてしまうことがあります。

例えばお薬ではありませんが、アルコールとサインバルタを併用してしまうとサインバルタの血中濃度が不安定になり、眠気が強く出る可能性があります。この場合は、アルコール摂取をやめない限りは眠気の改善は図れないでしょう。

他にもサインバルタの副作用を増強してしまう可能性のある代表的なお薬として、

クラビット(抗生物質)
プロノン、タンボコール(抗不整脈薬)
トリプタン系(片頭痛薬)
トラムセット(鎮痛薬)
ワーファリン(抗凝固薬)

などがあります。

これらのお薬を併用している場合は、サインバルタの副作用が生じやすくなるため、副用量を調整する必要があります。

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Ⅳ.肝機能・腎機能に問題はないか?

肝機能や腎機能が悪い方は、お薬の代謝・排泄の機能が落ちているため、通常量を投与してしまうと血中濃度が上がりすぎ、副作用が出現しやすくなってしまいます。

血液検査や健康診断で肝機能障害、腎機能障害を指摘されている場合、必ず主治医に伝え、お薬の効きが適正になるように服用量を調整してもらいましょう。

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Ⅴ.服用時間を変えてみる

眠気が強い場合は服用時間を変えてみると改善する事があります。

サインバルタを添付文書通りに服用するとなると朝食食後の服用になりますが、日中の眠気が強いのであれば、夕食後や眠前に飲むようにするのも手です。

こうすれば、もし服用後に眠気が出てもそもそも眠る時間になるため害はなくなります。

ただしサインバルタは不眠の副作用が生じる可能性もあります、SSRIやSNRIは深部睡眠(深い眠り)を障害する事で睡眠を浅くする可能性があるのです。

就寝前に服用すると、この不眠の副作用をより強めてしまう可能性もありますので、寝苦しい、悪夢を見るなどが出現するようになるようであれば、この方法はやめた方がいいかもしれません。

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Ⅵ.減薬・変薬をする

上記の方法を試しても眠気が軽減しない場合は、なかなか眠気の改善は難しい可能性があります。この場合、眠気が生活に支障を来たしているのであれば、減薬や変薬も考える必要があります。

とは言ってもサインバルタに効果も感じているのであれば、お薬の種類を変えてしまうのはもったいなくも感じます。このような場合はサインバルタを中止するのではなく、量を少し減らしてみてもいいかもしれません。

量を少し減らしてみて、うつ病の悪化も認めず、眠気も軽くなるようであれば成功です。その量で維持していきましょう。

反対にサインバルタによる抗うつ効果がまったく出ておらず、副作用だけが出てしまうのであれば、サインバルタを中止して別の抗うつ剤に切り替えるのも手です。

どのお薬に切り替えるかは、主治医とよく相談して決めるべきですが、「眠気が少ないもの」でいうと、

ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)
レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)
イフェクサー(一般名:ベンラファキシン)

あたりが候補に挙がるでしょう。

ただしどの抗うつ剤もメリットもあればデメリットもあります。眠気の副作用だけでなく総合的にお薬を服用するメリット・デメリットをみて服用するお薬は決めるべきです。

眠気の副作用だけに捉われず、主治医とよく相談して決めるようにしましょう。

サインバルタ 他の抗うつ剤との比較

サインバルタの眠気の頻度は、他の抗うつ剤と比べるとどのくらい多いのでしょうか。

サインバルタは抗うつ剤の中では眠気を起こしにくいお薬です。特に昔の古い抗うつ剤と比べるとかなり少なくなっています。

しかし抗うつ剤の効きは個人差が非常に大きいため、人によっては眠気が強く出てしまう事もあります。

抗うつ剤の中で、特に眠気が強力なのものは「鎮静系抗うつ剤」と呼ばれています。

鎮静系抗うつ剤には、

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
四環系抗うつ剤
デジレル・レスリン(一般名:トラゾドン)

などがあります。

四環系抗うつ剤にはテトラミド(一般名:ミアンセリン)、ルジオミール(一般名:マプロチリン)などがあります。

NaSSAは四環系抗うつ剤の改良薬で、リフレックス・レメロン(一般名:ミルタザピン)があります。

これら鎮静系抗うつ剤は総じて眠気を引き起こしやすく、逆に不眠を改善させる目的で処方される事もあるほどです。深部睡眠(深い眠り)を増やす作用にも優れるため、眠りが浅い方や夜中に何度も目覚めてしまう方には良い適応となりますが、眠気が生じる頻度は総じてサインバルタよりも多めになります。

三環系抗うつ剤はどうでしょうか。三環系は昔の抗うつ剤で、SSRIやSNRIと比べると作りも荒いため、副作用は全体的に多い傾向になります

眠気に関しても同様で、サインバルタよりも生じやすいと考えられます。

ではSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)と比べるとどうでしょうか。

SSRIもSNRIと同じく比較的新しい抗うつ剤になりますが、SSRIと比べても、SNRIであるサインバルタの方が眠気の頻度は少なめになります。

SSRIはセロトニンを集中的に増やすため、脳をリラックスさせて眠気を生じます。一方でSNRIであるサインバルタはセロトニンだけでなくノルアドレナリンも増やします。

ノルアドレナリンは意欲や活気を上げる「覚醒系」の物質であるため、眠気を打ち消す方向にはたらきやすく、そのためSNRIはSSRIよりも眠気が生じにくいのです。