レクサプロで眠気が出てしまったときの対処法について考えてみましょう。
なおこれらの対処法は決して独断では行わないで下さい。必ず主治医の指示の元で行うようにして下さい。
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Ⅰ.様子を見てみる
まだ内服を始めたばかりという場合は、少し様子をみてみましょう。
抗うつ剤の副作用は「慣れてくる」ことがよくあります。
1ー2週間様子を見ていたら副作用が軽くなってきた、ということは臨床でよく経験することです。
何とか様子がみれる程度の眠気なのであれば、少し様子をみてみましょう。
ひとの身体の適応力というものは、なかなかすごいのです。
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Ⅱ.増薬スピードを緩めてみる
レクサプロは10mgから開始し、1週間以上の間隔をあけて必要があれば20mgへ増量します。
いきなり20mgから開始することはありません。
急にセロトニンの量が増えると身体がびっくりしてしまい、副作用が生じやすくなるからです。
眠気に関しても同じで、いきなり高容量のレクサプロを入れると出やすくなります。
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薬の効きやすさには個人差がありますから、中には用法通り10mgから開始しても
身体が対応しきれないという症例もあります。
こういった場合は、増薬のペースを緩めることが効果的です。
抗うつ効果が出てくるのも遅くなってしまうのが欠点ですが、
副作用の程度が軽くなるというメリットがあります。
例えば、レクサプロ10mgで眠気が強すぎるのであれば、5mgから初めてみましょう。
5mgで1-2週間様子をみて、からだを慣らしてから10mgに再チャレンジすれば、
5mgに身体が適応している分だけ、眠気の程度も軽くなります。
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Ⅲ.睡眠を見直す
基本的なことですが、そもそもの睡眠に問題がないかを見直すことを忘れてはいけません。
そもそもが不規則な睡眠リズムだったり、極端に短い睡眠時間なのであれば、
ちょっとしたことで眠気が出てしまって当然でしょう。
その眠気は副作用だけではなく、レクサプロを飲み始めたことで睡眠の問題が表面化したに過ぎません。
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睡眠環境や睡眠時間に問題がないかを見直しましょう。
もし問題があるのであれば、その問題を解決することが先決です。
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Ⅳ.併用薬に問題はないか?
併用薬によっては、レクサプロの副作用を強くしてしまうことがあります。
薬ではありませんが、よく経験するのがアルコールとの併用です。
酒は抗うつ剤の血中濃度を不安定にします。
飲酒をしながらレクサプロを飲んでいたら、 血中濃度が不安定になるため
眠気が強く出る可能性があります。この場合、断酒しない限りは改善は図れません。
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他にもレクサプロの作用・副作用を増強してしまう可能性のあるものとして、
タガメット(胃薬)、オメプラゾール(胃薬)、ランソプラゾール(胃薬)、
トリプタン系(片頭痛薬)、トラムセット(鎮痛薬)、パナルジン(抗血小板剤)などがあります。
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Ⅴ.肝機能・腎機能に問題はないか?
肝機能や腎機能が悪い方は、お薬を分解したり排出する機能が落ちているため、
通常量を投与してしまうと効きすぎてしまうことがあります。
血液検査や健康診断で肝機能障害、腎機能障害を指摘されている場合、
必ず主治医に伝え、投与量を少なくするなどの適切な対処をしてもらいましょう。
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Ⅵ.服用時間を変えてみる
飲む時間を変えてみる、という方法もあります。
レクサプロは添付文書的には「1日1回夕食後の服用」と記載されていますが、
毎日1回、同じ時間に飲めば安定した血中濃度は保てます。
眠気で困っているのであれば、眠前に飲むように変更するのも手です。
そうすれば、眠気が出ても眠る時間なので、問題がなくなります。
飲む時間を眠前にすることで、眠気の問題が改善したケースは少なくありませんので、
一度試してみる価値はあります。
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ただし、レクサプロは睡眠を浅くする可能性があるので注意が必要です。
SSRIやSNRIは深部睡眠(深い眠り)を障害すると言われています。
寝苦しい、悪夢を見るなど出現する場合は、この方法はやめた方がいいかもしれません
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Ⅶ.減薬・変薬をする
上記の方法をとっても眠気が軽減しない場合、眠気が生活に支障を来たしているのであれば、
減薬や変薬も考える必要があります。
レクサプロの抗うつ効果を感じているのであれば、薬を変えてしまうのは
もったいないので、まずは量を少し減らしてみてもいいかもしれません。
量を少し減らしてみて、うつ病の悪化も認めず、眠気も軽くなるようであれば成功です。
その量で維持していきましょう。
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レクサプロの抗うつ効果が不十分なのであれば、別の抗うつ剤に切り替えるのも手です。
どのお薬に切り替えるかは、主治医とよく相談して決めるべきですが、
「眠気が少ないもの」でいうと、ドグマチールやジェイゾロフト、サインバルタあたりが候補に挙がるでしょう。
ただし、どの抗うつ剤も一長一短ありますので、眠気の副作用だけで考えるのではなく、
主治医とよく相談して決めてください。