レクサプロの副作用

レクサプロは、SSRIと呼ばれる抗うつ剤でわが国では2011年より発売されています。

世界的によく用いられている抗うつ剤であり、SSRIの中での売上高は全世界No.1のお薬です。

レクサプロは、抗うつ効果の高さと副作用の少なさのバランスが取れている「優等生」であり、精神科以外の医師でも比較的処方がしやすいお薬です。

「忍容性の高さ」(副作用が少ない、ということ)を謳われているレクサプロですが、実際のところはどうなのでしょうか?

どんなお薬でも、多くの副作用があります。

血圧のお薬も糖尿病のお薬もそうです。安全と言われている漢方薬にだって、たくさんの副作用の報告があります。もちろん、うつ病のお薬も同じで、レクサプロにも多くの副作用が報告されています。

細かい副作用を挙げればキリがありませんし、そのような副作用の羅列を知りたい場合は添付文書を見ればいい事ですので、ここではしません。

ここでは、

臨床で比較的出会うことの多い副作用
他の抗うつ剤との比較

このようなことを説明していきたいと思います。

レクサプロは、SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤で、脳内のセロトニンの濃度を上げることで抗うつ効果を発揮します。

2011年に発売され、現時点では一番新しいSSRIです。

ちなみに、一番はじめに発売されたSSRIはルボックスで1999年のことでした。

レクサプロは、同じSSRIといえども、ルボックスの10年以上後に発売されたSSRIですので、
初期のSSRIよりはだいぶ改良され、副作用も少なくなっています。

SSRIで生じることの多い副作用には、

抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉など)
ふらつき、めまい
吐き気
眠気、不眠
性機能障害
体重増加

などがあります。

レクサプロもこれらの副作用を起こしえますが、その程度は他のSSRIと比べると少ないと言えます。

レクサプロの効果と強さ

レクサプロの抗うつ剤としての強さはどのくらいなのでしょうか。

お薬には相性があるため、万人にとっての強いお薬・弱いお薬というのは決めずらいのですが、おおよその目安を紹介します。

MANGA studyという有名な研究報告があります。

この研究は「抗うつ剤の効果と副作用をランキングしてみよう!」 という研究で、結果には賛否両論あるものの、抗うつ剤をランキングするという画期的な内容が大きな反響を呼んだ試験でした。

この試験結果で「バランスに一番優れる」と評価されたのがレクサプロです。

フルオキセチン(国内未発売)という抗うつ剤を「1」とした場合の、それぞれの 抗うつ剤の比較です。

レクサプロは有効性だけをみればリフレックス(一般名:ミルタザピン)にやや劣るものの、有効性と忍容性両方を総合すると、トップと言ってもいい位置付けになっています。

「よく効くし、副作用も少ない」

という理想的な位置に君臨しています。

現実的にはそこまで理想的ではありませんが、効果も良くて副作用も少ない、というのはレクサプロの性格を非常によく表していると感じます。

ソツのない優等生という感じでしょうか。

Manga Studyでは新規抗うつ剤であるSSRI、SNRI、NaSSAのみを比較していますが、それ以外の抗うつ剤も含めた一般的な強さとしては、

三環系≧NaSSA=SSRI=SNRI>四環系

となります(あくまで目安です)。

三環系抗うつ剤(TCA)は、昔の抗うつ剤で、副作用が多いため現在ではあまり用いられることはありません。しかし副作用が多い代わりに効果も強力であるため、難治性のうつ病の方などには慎重に用いられることがあります。

主な三環系にはトフラニール(一般名イミプラミン)、アナフラニール(一般名クロミプラミン)、トリプタノール(一般名クロミプラミン)、アモキサン(一般名アモキサピン)などがあります。

現在用いられている新規抗うつ剤にはNaSSA、SSRI、SNRIがありますが、これらは大きくみると効果は同じくらいです。しかし先ほどのManga Studyの結果から分かるように、NaSSA(レメロン、リフレックス)は効果はやや強めです。

NaSSAはセロトニンとノルアドレナリンの分泌を増やすお薬で、効果は強いのですが、眠気と体重増加の副作用が比較的多いお薬です。

SSRIはレクサプロが属する抗うつ剤で、主にセロトニンの再取り込みを抑えてセロトニン濃度を上げます。抗うつ剤の中でも標準的なお薬です。

SNRIは、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを抑えて濃度を上げます。サインバルタ(デュロキセチン)、トレドミン(ミルナシプラン)などがあります。

四環系抗うつ剤は、三環系の副作用軽減を目的に開発されたお薬ですが、副作用は少なくなったものの効果も弱くなってしまったため、新規抗うつ剤が充実してきた最近ではあまり用いられることがありません。しかし眠りを深くする作用に優れたり、ノルアドレナリンを増やす作用に優れるため、不眠の方や意欲低下が著しい方に補助的に用いることがあります。

代表的な四環系には、テトラミド(ミアンセリン)、ルジオミール(マプロチリン)などがあります。

レクサプロの適応疾患

レクサプロはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

レクサプロの添付文書を読むと、

・うつ病、うつ状態
・社会不安障害

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に適応があると書かれています。

実臨床においても、「うつ病、うつ状態」と「不安障害」の患者さんに処方することがもっとも多いお薬です。適応的には不安障害の中でも「社会不安障害」しか書かれていませんが、医学的にはその他の不安障害にもしっかりした効果があります。

セロトニンは「落ち込み」以外にも「不安」にも強く関係していると考えられています。そのため、セロトニンを集中的に増やす作用に優れるレクサプロは、パニック障害や社会不安障害といった不安障害圏の疾患に効果があるはずで、不安障害圏の患者さんにも多く処方されています。

また同様に強度の不安や恐怖が症状である強迫性障害に対しても効果があります。

レクサプロの作用機序

レクサプロは、SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤です。

SSRIとは「Selective Serotonin Reuptake Inhibitor」の略で、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」という意味になります。

難しい名前ですが、要するに、

セロトニンを増やすお薬

だと思って頂ければよいでしょう。

セロトニンは気分に関係する神経伝達物質(神経間の情報伝達をする物質)であり、セロトニンが低下すると落ち込みや不安が出現すると考えられています。SSRIはセロトニンを増やすことで主に落ち込みや不安を改善させてくれます。

レクサプロをはじめとしたSSRIは、どのようにしてセロトニンを増やしているのでしょうか。

神経と神経の間を神経間隙と言いますが、抗うつ剤は神経間隙のセロトニン濃度を増やすことで抗うつ効果を発揮します。

SSRIは神経間隙に放出されたセロトニンが吸収(=再取り込み)されるのをブロック(=阻害)します。SSRIがセロトニンが吸収されないようにブロックしているとセロトニンはいつまでも神経間隙に残っているため、神経間隙のセロトニン濃度が上昇する、という仕組みです。

レクサプロ以外のSSRIには、

ルボックス、デプロメール(一般名:フルボキサミン)
パキシル(一般名:パロキセチン)
ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)

がありますが、どのSSRIも同じようにセロトニンの再取り込みを阻害することで神経間隙のセロトニン濃度を上げます。

レクサプロと他のSSRIの違いは、レクサプロはとりわけ「セロトニン」に選択性が高いことです。他のSSRIはセロトニンを中心として、ノルアドレナリンやドパミンの再取り込みも若干阻害しますが、レクサプロは、ほぼセロトニンのみ阻害すると言われています。

この「セロトニン選択性が高い」ということは、レクサプロのいいところでもあり、悪いところでもあります。

良いところは、セロトニン以外には作用しないため「副作用が少なくなる」と言えます。これは、いいところですね。

具体的にはノルアドレナリン系に作用することで生じる動悸や血圧上昇、ドパミン系に作用することで生じる吐き気などが少なくなるということです。

悪いところで言えば、セロトニン以外に作用しないということは、ノルアドレナリン系の効果である「意欲」「やる気」には効きずらいはずですし、ドパミン系の効果である「楽しみ」「快楽」にも効きずらいはずです。

先ほどセロトニンは主に落ち込みや不安に関係する神経伝達物質と書きましたが、ノルアドレナリンは意欲や気力に関係する神経伝達物質であり、ドーパミンは快楽や楽しみに関係する神経伝達物質だと考えられています。

このように選択性の高さはメリットにもデメリットにもなるのです。

ただ現実的には、レクサプロでも吐き気は起きるし、レクサプロでも意欲改善にも効果を認めることはあります。必ずしも理論通りにはなっていないのです。

レクサプロの効果・特徴

レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)は2011年に発売された抗うつ剤です。SSRIというタイプの抗うつ剤に分類され、現時点では一番新しいSSRIになります。

SSRIは、「選択的セロトニン再取込阻害薬」の略で、セロトニンを増やすことで抗うつ効果を発揮する抗うつ剤のことです。

レクサプロは効果と安全性のバランスの良さに定評があり、世界的にも最も売れているSSRIになります。日本でも2011年の発売以降、徐々に知られるようになり処方量も増えている印象があります。

まずはレクサプロという抗うつ剤の特徴をざっくりとですが紹介します。

【良い特徴】

効果と安全性のバランスが優れている
効果の発現が早い
セロトニンを集中的に増やす

【悪い特徴】

薬価が高い

レクサプロの最大の特徴は「効果と安全性のバランスが優れている」点でしょう。

従来の抗うつ剤というのは、

効果は強いんだけど、副作用も強い
副作用は少ないんだけど、効果も弱い

このどちらかであることがほとんどでした。

ところが、レクサプロは「効果もそこそこあって、副作用も少ない」という、非常にいいバランスを保っているお薬なのです。

MANGA Studyという研究では、「最も継続性、有効率が高いSSRI」と結論づけられています。継続性が高い、つまり飲み続けることができるということは、副作用が少ないという事になります。そして有効性が高い、ということは効果がしっかりとあるという事です。つまり。効果と副作用のバランスが非常に取れたお薬だと、この研究でも証明されたのです。

またレクサプロは効果発現までのステップが短く、早く効果が出るのも利点です。レクサプロはSSRIの中で唯一、「開始用量が治療用量」であるお薬です。

これはどういう事かというと、例えば同じSSRIであるパキシル(一般名:パロキセチン)は10mgから開始し、1週間以上空けて20mgに増量します。パキシルの治療用量(治療を行うための用量)は20~50mgですから、治療域に入るまで最低でも2週間はかかることになります。

しかしレクサプロは10mgから開始して、その10mgがすでに治療用量です。ワンステップで治療域に入り、早ければ内服後1週間も経てば効果を感じることができるという事です。

誰もが「できるだけ早く治したい」と思っていますから、この即効性はレクサプロの大きな利点でしょう。

またレクサプロはSSRIの中でもセロトニンを集中的に増やす作用に優れます。これはセロトニン不足が疑われるうつ病(抑うつ気分や不安や強い、など)においては、セロトニン以外の余計な作用をもたらさずに治療できるという事で、メリットになります。レクサプロの副作用の少なさは、このセロトニン選択性の高さも関係しているのでしょう。

一方で気分に影響する物質はセロトニンだけではありません。意欲や気力に関係しているという「ノルアドレナリン」、楽しみ・快楽に関係している「ドーパミン」などもあります。レクサプロはこのような物質にはあまり影響しないため、これらの低下が疑われるようなうつ病だと、あまり効果が得られない可能性もあり、これはレクサプロのデメリットとも言えます。

またもう1つのデメリットですが、意外と困ることとして「薬価が高い」という事があります。

まだ新しい抗うつ剤ということもあり、SSRIの中でも料金は一番高く、レクサプロ錠10mgで212.0円です。

例えば20mgを毎日内服すると、1日424円、月に12,720円かかります。3割負担だとしても、1日127.2円、月に3,816円です。

比較として、パキシルのジェネリックの「パロキセチン」を出してみましょう。パロキセチン40mg(レクサプロ20mg相当)で、1日221.8円、月に6,654円です。パキシルのジェネリックと比較すると、約2倍多くお薬代がかかってしまうのです。

セルトラリンの各副作用について

それではセルトラリンで生じうる副作用や注意すべき副作用を紹介していきます。

抗うつ剤はどれも似たような副作用が多く認められるため、他の抗うつ剤とも比較しながら紹介していきます。

ちなみに比較する抗うつ剤としては、三環系抗うつ剤、四環系抗うつ剤、SSRI、SNRI、NaSSAなどがあります。それぞれの抗うつ剤の簡単な特徴を紹介します。

【三環系抗うつ剤】
1950年頃より使われている一番古い抗うつ剤。効果は強いが副作用も強い。重篤な副作用が生じる可能性もあるため、現在ではあまり用いられない。
商品名として、トフラニール、アナフラニール、トリプタノール、ノリトレン、アモキサンなど。

【四環系抗うつ剤】
三環系抗うつ剤の副作用を減らすために開発された抗うつ剤。副作用は少なくなったが抗うつ効果も弱い。しかし眠り深くする作用に優れるものが多いため、睡眠を補助する目的で処方されることがある。
商品名としては、テトラミド、ルジオミールなど

【SSRI】
落ち込み・不安を改善させる「セロトニン」を集中的に増やす事で抗うつ効果を発揮するお薬。効果の良さと副作用の少なさのバランスが取れている。
商品名としては、パキシル、ジェイゾロフト(セルトラリン)、ルボックス・デプロメール、レクサプロなど

【SNRI】
セロトンに加え、意欲を改善させる「ノルアドレナリン」も増やすことで抗うつ効果を発揮するお薬。SSRIと同じく効果の良さと副作用の少なさのバランスが取れている。
商品名としては、トレドミン、サインバルタ、イフェクサーなど。

【NaSSA】
SSRI/SNRIとは異なる機序でセロトニン・ノルアドレナリンを増やす。四環系の改良型であり、眠りを深くする作用にも優れる。効果の良さと副作用の少なさのバランスが取れている。
商品名としては、リフレックス、レメロンなど。

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Ⅰ.便秘、口渇、尿閉(抗コリン作用)

抗コリン作用とは、アセチルコリンという物質の働きを阻害してしまうことで生じる副作用で、便秘、口渇(口の渇き)、尿閉(尿が出にくくなる)などがあります。他にも、顔面紅潮、めまい、悪心、眠気などが生じることもあります。抗うつ剤に認められる代表的な副作用の1つです。

抗コリン作用がもっとも強い抗うつ剤は三環系抗うつ剤になります。また四環系抗うつ剤も三環系ほどではないにせよ、抗コリン作用を認めます。

セルトラリンをはじめとしたSSRIは、三環系抗うつ剤と比べると抗コリン作用はかなり軽減しています。更にSSRIの中でも、セルトラリンは抗コリン作用が少なめになります。反対にSSRIの中でもパキシルやルボックス・デプロメールは抗コリン作用が比較的多いと言われています。

他に抗コリン作用が弱い抗うつ剤として、NassaやSNRI、ドグマチールなどがありますので抗コリン作用がつらい場合は、これらのお薬に変更するのも手になります。

抗コリン作用がつらい場合は、

抗コリン作用の少ない抗うつ剤に変更する
抗うつ剤の量を減らす
抗コリン作用を和らげるお薬を試す

などの方法がとられます。

抗コリン作用を和らげるお薬として、

便秘がつらい場合は下剤
口渇がつらい場合は漢方薬(白虎加人参湯など)、
尿閉がつらい場合はベサコリン、ウブレチドなどの尿の排出を助けるお薬

などが用いられます。

ちなみに抗コリン作用は便秘を生じさせますが、一方でセルトラリンは下痢という副作用が生じる可能性もあります(これは抗コリン作用とは異なるはたらきによります)。

そのためセルトラリンは、 服用によって便秘になる人もいれば下痢になる人もいます。両方がちょうど釣り合って便通の副作用が出ない方もいます。

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Ⅱ.ふらつき・めまい(α1受容体遮断作用など)

これは抗うつ剤がα(アドレナリン)1受容体という部位を遮断し、血圧を下げてしまうために起こる副作用です。またセロトニンやヒスタミンという物質をブロックすることによって眠気が生じることも一因となることもあります。

ふらつきやめまいも三環系抗うつ剤そして四環系抗うつ剤で多く、SSRIでは大分軽減されています。SSRIの中ではセルトラリンのα1受容体遮断作用はやや少なく、これもやはりパキシルで比較的多く見られます。

Nassaはα受容体遮断作用は弱いのですがヒスタミンをブロックする作用が強く、これが眠気を引き起こすためにふらつきめまいが生じることがあります。またデジレル・レスリンという抗うつ剤は5HT(セロトニン)2A受容体という神経興奮をさせる受容体を遮断するため、鎮静させ、ふらつきやめまいを生じさせます。

一方SNRIは血圧を上げる働きがあるため、めまいやふらつきが起こる頻度は少ない印象があります。

ふらつき、めまいがつらい場合も、

ふらつき、めまいの少ない抗うつ剤に変更する
抗うつ剤の量を減らす
α1受容体遮断作用を和らげるお薬を試す

などの方法がとられます。

お薬としては主に昇圧剤(リズミック、アメジニンなど)が用いられることがあります。

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Ⅲ.吐き気(セロトニン3刺激作用)

SSRIには吐き気や胃部不快感といった胃腸障害の副作用がつきものです。

これは、胃腸にもセロトニン受容体が存在するために起こる副作用です。胃腸にはセロトニン3受容体が分布しており、抗うつ剤の内服によってこの受容体が刺激されることで、吐き気が起きます。

SSRIはすべて、この吐き気を高頻度で起こしえます。セルトラリンもその頻度は決して低くはなく、「吐き気は起きるだろう」くらいの気持ちを持って内服を始めた方が無難です。

しかし、この副作用は長くは続かないことがほとんどです。1~2週間我慢すれば、ほとんどの場合で自然と改善します。そのため「我慢する」ことが一番の対応策になります。

どうしてもつらい場合は胃薬を併用することもあります。

ガスモチンやソロン、ムコスタなどの胃腸薬、タケプロン、ネキシウムなどの胃酸の分泌を抑えるお薬が使われることがあります。

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Ⅳ.眠気(抗ヒスタミン作用)

眠気はほぼ全ての抗うつ剤に起こりうる副作用です。抗うつ剤は心身をリラックスさせるはたらきがあります。心身がリラックスすれば眠くなりますので、この副作用は当然と言えば当然の副作用になります。

坑うつ剤の中でも鎮静系抗うつ剤と呼ばれるものがあり、これらは眠気の程度が強めの抗うつ剤になります。具体的にはNassaや四環系抗うつ剤、デジレル・レスリンなどが鎮静系になります。

これらのお薬は眠気が生じて困ることもあるのですが、一方でこの副作用を逆手にとって不眠症状を改善させることもできます。そのため不眠が強いうつ病の方にはあえて眠気が出ることを狙って鎮静系抗うつ剤を処方することもあります。

セルトラリンの眠気は比較的弱いと言えますが、それでも出る人には出ます。

対処法としては、

眠気の少ない抗うつ剤(SNRIなど)に変更する
抗うつ剤の量を減らす
睡眠環境を見直す

などがあります。

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Ⅴ.不眠(セロトニ2刺激作用)

SSRIやSNRIは深部睡眠(深い眠り)を障害するため、不眠を起こす事があります。セルトラリンも例外ではなく、深部睡眠が障害される可能性があります。

「眠気」と「不眠」両方の副作用があるので、「意味が分からない」と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。これは、「眠くはなるけど、浅い眠りになってしまう」ということです。

この副作用はセロトニンに選択的に作用するSSRI、SNRIでより多く認められ、次いで三環系に認められます。

反対に、四環系やデジレル、Nassaなどの鎮静系坑うつ剤は、深部睡眠を促進することが分かっています。眠くはなるけど、深い眠りを導いてくれますので、不眠の副作用はあまり認めません。

不眠で困る場合は、服薬時間を朝食後などにすると改善することがあります。

あるいはセルトラリンの量を減らせそうであれば、減らすのも手です。

それでも改善が得られない場合は鎮静系抗うつ剤に変えたり、少量の鎮静系抗うつ剤を上乗せすると改善することもあります。鎮静系抗うつ剤は深部睡眠を促進するため、セルトラリンの不眠の副作用を打ち消してくれる可能性があるからです。

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Ⅵ.性機能障害(セロトニン2A刺激作用)

勃起障害や射精障害と言った性機能障害もSSRI、SNRIに多い副作用です。この原因は詳しくは分かっていませんが、セロトニンが関与していると言われています。

性機能障害はデジレル・レスリンでも多く認められますがこれらでは「持続勃起症」という副作用になり、他の抗うつ剤で認められる性機能障害とはやや異なります。また三環系抗うつ剤も性機能障害は起こしますが、SSRI、SNRIよりは頻度は少なくなります。

反対に、四環系抗うつ剤やNassaは、性機能障害をほとんど起こしません。

SSRIの中でも、セルトラリンの性機能障害は頻度が多いとする報告もあります。

性機能障害は、相談しずらい症状であるため見逃されがちですが、この副作用で非常に困っている方もいらっしゃいます。

例えば、性機能障害で夫婦生活に溝ができてしまい、家庭の雰囲気がなんかギスギスしてしまうようになった。と相談されたこともあります。これは重大な問題です。家庭がリラックスできる状況でなくなれば、うつ病の治りが遅くなってしまうのは明らかです。

相談しずらいことかもしれませんが、困っていることは主治医に相談しましょう。

具体的な対処法としては、抗うつ剤の減量あるいは変薬になります。

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Ⅶ.体重増加(抗ヒスタミン作用)

体重増加は眠気と同じく主に抗ヒスタミン作用で生じるため、眠気の多いお薬は体重も増えやすいと言えます。

具体的にはNassaで多く認められ、三環系抗うつ剤やパキシルもそれに続きます。

セルトラリンは体重増加の副作用はあまり強くはありません。むしろ初期には下痢などの副作用も重なり体重が少し減ることもあります。しかし、長期間内服を続けると、セルトラリンでも太ってしまうことは少なくありません。

抗うつ剤は長期間飲むことが多いお薬ですので、そう考えると出現する頻度は決して少なくないと言えます。

運動や規則正しい食事などの生活習慣の改善で予防するのが一番ですが、それでも十分な改善が得られない場合は、他剤に変更するもの手になります。

体重を上げにくいという面でいえば、サインバルタなどのSNRIが候補に挙がります。

セルトラリンの副作用の特徴

セルトラリンは「ジェイゾロフト」という抗うつ剤のジェネリック医薬品で、2015年から発売されています。抗うつ剤の中でもSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)という種類に属し、主にセロトニンを増やすことで気分を改善させてくれるお薬です。

セルトラリンはジェイゾロフトを同じくSSRIの中でも穏やかに効き、副作用も少ないお薬です。このような安全性の高さから、処方される頻度も多い抗うつ剤になります。

しかし副作用が生じないわけではありません。お薬である以上副作用が生じるリスクはあり、副作用に注意をしながら服薬を続けていく必要があります。

副作用の無いお薬などはありません。どんなお薬にも副作用はあります。

お薬を服薬する上で大切なことは、ただ漠然と副作用を怖がるのではなく、そのお薬のメリット(効果)とデメリット(副作用)をしっかりと理解することです。その上で自分にとってそのお薬が必要なのかをしっかりと考え、必要だと判断されたのであれば副作用に注意しながら服薬を前向きに検討する事です。

本当はお薬が必要な状態なのに副作用が怖いからとお薬を使わずに経過してしまうと、病気が慢性化したり悪化してしまうこともあります。これではお薬の副作用は避けられたかもしれませんが、病気の症状に苦しむことになってしまいます。

セルトラリンは穏やかに効くお薬で、抗うつ剤の中でも副作用が少なく安全性が高いお薬になります。しかしお薬である以上、副作用がないわけであありません。

セルトラリンで報告されている副作用を全て紹介しようとすると、かえって分かりにくくなってしまいますので、このコラムでは、

比較的頻度の多い副作用
特に注意していただきたい副作用

を中心に紹介させて頂きます。

まずはざっくりとセルトラリンの副作用のイメージについて紹介します。セルトラリンの副作用は、

抗うつ剤の中では副作用は少なめ
性機能障害(勃起障害・射精障害)が他のSSRIと比べて多め
下痢を起こすことがある(他の抗うつ剤はほとんど便秘になる)

などの特徴があります。

また、セルトラリンをはじめとしたSSRIで生じることの多い副作用には、

抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉など)
ふらつき、めまい
吐き気
眠気、不眠
性機能障害
体重増加

などが挙げられます。セルトラリンでもこのような副作用に注意しながら服用していく必要があります。

セルトラリンの導入例

セルトラリンは少しずつ増やしていくお薬です。

25mgから始め、一週間以上の間隔をあけて25mgずつ増やしていきます。100mgで維持しますが、途中で充分な効果を認めたら、それ以上上げる必要はありません。

薬の効果を感じるのには、早くても2週間はかかるでしょう。遅い方だと1ヶ月以上かかることもあります。

一方で副作用は内服初期から出現します。最初は、吐き気・胃部不快感といった消化器症状が多く、セルトラリンは他のSSRIと比べて、この初期の消化器症状はやや多い印象があります。

心配な方はあらかじめ胃薬を併用しておくことをおすすめしますが、消化器症状は初期の1~2週間のみのことが多く、ほとんどのケースで数週間で改善します(どうしてもつらい場合は、別の抗うつ剤に変えることもできます)。

まれにですが賦活症候群といって、内服初期に変に気分が持ち上がってしまうことがあります。気分に影響する物質が急に体内に入ったことで一過性に気分のバランスが崩れるために起こると考えられています。

イライラしたり攻撃性が高くなったり、ソワソワと落ち着かなくなったりします。一時的なことがほとんどのため、抗不安薬などを併用して様子を見ることもありますが、自傷行為をしたり他人を攻撃したりと、危険な場合はお薬を中断します。

その後は、便秘や口渇、尿閉などの抗コリン作用、 ふらつきめまいなどのα1受容体遮断作用、体重増加などの5HT3刺激作用、 性機能障害などの5HT2刺激作用が出現することがあります。またセルトラリンは便秘ではなく、下痢になることもあります。

これは個人差が大きく、全く困らない人もいればとても苦しむ人もいます。ただセルトラリンは、初期の消化器症状と性機能障害以外は他のSSRIと比べて少なめです。

軽ければ様子を見ますが、下剤や整腸剤、昇圧剤などを使って対応することもあります。あまりに副作用が強すぎる場合は、別の抗うつ剤に切り替えます。

セルトラリンが効いてくると、典型的な経過としては、まずはイライラや不安感といった「落ち着かない感じ」が改善します。その後に抑うつ気分が改善し、意欲ややる気などは最後に改善すると言われています。

効果を十分感じれば、その量のお薬を維持しますし、効果は感じるけど不十分である場合は、増量あるいは他のお薬を併用します。

1~2ヶ月みても効果がまったく得られない場合は、「効果無し」と判断して別の抗うつ剤に切り替えます。

気分が安定しても、そこから6~12ヶ月はお薬を飲み続けることが推奨されています。この時期が一番再発しやすい時期だからです。6~12ヶ月間服薬を続けて、再発徴候がなく気分も安定していることが確認できれば、その後2~3ヶ月かけてゆっくりとお薬を減薬していき、治療終了となります。

セルトラリンが向いている人は?

マイルドに作用し、副作用も少なめ。

このセルトラリンの効果・特徴からは、

症状がそこまで重くない方
仕事などを続けながら治していきたいという社会人の方

などに良い適応ではないでしょうか。

吐き気や眠気の程度が少なければ、仕事にも影響しないでしょうし、日中活動を続けながらの治療も受けることができます。またセルトラリンは女性に特に効きやすいという報告がありますから、女性への第一選択としても向いています。体重増加や便秘の副作用が比較的少ないのも女性にはありがたいですよね。

反対に、効果がやや弱めなこと、維持量である100mgまで上げるのに時間がかかることを考えると、可能な限り早急に治したい、つらくてつらくて仕方ないという方はセルトラリン以外の抗うつ剤も検討した方が良いかもしれません。

セルトラリンとジェイゾロフトはまったく同じお薬なのか?

安価なジェネリック医薬品である「セルトラリン」が発売されるのは嬉しい事ですが、一方で「ジェイゾロフトからセルトラリンに切り替えて、本当に大丈夫なのだろうか」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ジェネリック医薬品に対して、

「安い分、質が悪いのでは」
「やっぱり正規品(先発品)の方が安心なのではないか」

と感じる方は少なくありません。

ジェネリックの利点は「値段が安い」ところですが、「正規品か、安い後発品かどっちにしましょうか」と聞かれれば、「安いという事は質に何か問題があるのかも」と考えてしまうのは普通でしょう。

しかし、基本的に正規品(先発品)とジェネリック(後発品)は同じ効果だと考えて問題ありません。

その理由は同じ主成分を用いていることと、ジェネリックも発売に当たって試験があるからです。ジェネリックは発売するに当たって、「これは先発品と同じような効果を示すお薬です」ということを証明した試験を行わないといけません。

これを「生物学的同等性試験」と呼びますが、このような試験結果や発売するジェネリック医薬品についての詳細を厚生労働省に提出し、合格をもらわないと発売はできないのです。

そのため、基本的にはジェネリックであっても先発品と同等の効果が得られると考えてよいでしょう。

しかし臨床をしていると、

「ジェネリックに変えてから調子が悪い」
「ジェネリックの効きが先発品と違う気がする」

という事がたまにあります。

精神科のお薬は、「気持ち」に作用するためはっきりと分かりにくいところもありますが、例えば降圧剤(血圧を下げるお薬)のジェネリックなどでも「ジェネリックに変えたら、血圧が下がらなくなってきた」などと、明らかに先発品と差が出てしまうこともあります。

なぜこのような事が起こるのでしょうか。

これは、先発品とジェネリックは基本的には同じ成分を用いておおよそ同じ薬効を示すことが試験で確認されてはいるけども、100%同じものではないからです。

先発品とジェネリック医薬品は、生物学的同等性試験によって、同じ薬効を示すことが確認されています。しかし「100%全く同じじゃないと合格しない」という試験ではなく、効果に影響ないほどのある程度の誤差は許容されます。この誤差が人によっては明らかな差として出てしまうことがあります。

また先発品とジェネリックは、「主成分」は同じです。しかし主成分は同じでも添加物は異なる場合があります。その製薬会社それぞれで、患者さんの飲み心地を考えて、添加物を工夫している場合もあるのです。

この添加物が人によって合わなかったりすると、お薬をジェネリックに変えたら調子が悪くなったりしてしまう可能性があります。

このため、「先発品とジェネリックは基本的には同じ効果だけども、微妙な違いはある」、というのがより正確な表現になります。

ジェネリックに変更したら明らかに調子がおかしくなるというケースは、臨床では多く経験することはありません。しかし全く無いわけではなく、確かに時々あります。そのため、そのような場合は無理してジェネリックを続けるのではなく、他のジェネリックにするか、先発品に戻してもらうようにしましょう。

ちなみに、「ジェネリックは安い分、質が悪いのでは?」と心配される方がいますが、これは基本的には誤解になります。ジェネリックが安いのは質が悪いからではなく、巨額の研究・開発費がかかっていない分が引かれているのです。

セルトラリンの副作用

SSRIの中でもセルトラリンは、セロトニン系以外の余計なところに作用しない(選択性が高い)ため、副作用が出にくいお薬になります。

臨床的な実感としてもセルトラリンの副作用は他のSSRIと比べると少なめだと感じます。

SSRIの代表的な副作用としては、

抗コリン症状(口渇、便秘、排尿困難など)
眠気
体重増加
消化器症状(胃部不快感、吐き気など)

などがあります。いずれもセルトラリンにも出現する可能性のある副作用ですが、他のSSRIと比べると少なめです。

ただし性機能障害は他のSSRIと比べてやや多めです。また、便秘が生じることもあるのですが反対に下痢・軟便になることもある副作用の特徴はありますが、全体的にみると、副作用は少なめと考えていいと思います。

総合的に見て、セルトラリンの安全性は高いと言っていいでしょう。

詳しいセルトラリンの副作用については、「セルトラリンの副作用と対処法」(近日執筆予定)で詳しく紹介しますのでご覧下さい。

セルトラリンの強さ

セルトラリンは抗うつ剤の中でどのくらいの強さになるのでしょうか。

お薬の効きは個人差も大きいため、その強さを比較することは難しいのですが、参考になる研究報告の1つであるMANGA studyを紹介します。

この研究は、「抗うつ剤の強さや副作用の多さをランク付けしてみよう!」というものです。研究結果には賛否両論ありますが「抗うつ剤に順位を付ける」という前代未聞の試みであったため、大きな反響を呼んだ試験でした。

有効性とは薬の効果で数字が大きいほど効果が高いことを示しており、忍容性とは副作用の少なさで、大きいほど副作用が少ないことを表しています。フルオキセチン(国内未発売)という抗うつ剤を「1」とした場合の、それぞれの抗うつ剤の比較です。セルトラリンはジェネリック医薬品ですので、先発品の「ジェイゾロフト」と同じだとして見て下さい。

Manga Studyではセルトラリン(ジェイゾロフト)は、高評価の抗うつ剤に位置付けられています。ただし実際の印象としては副作用の少なさはこの通りだと感じますが、効果の強さはここまで高くはない印象があります。

セルトラリンはSSRIに分類される抗うつ剤で、落ち込みや不安を改善する効果に優れます。

セルトラリンの維持量は1日100mgですが、最初は25mgからはじめ、少なくとも1週間以上の間隔をあけて、25mgずつ増量していきます。つまり100mgに至るには最短でも1か月程度かかってしまうということです。「効果を実感するまで時間がかかる」のはセルトラリンの欠点の1つです。例えば、レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)であれば、開始用量の10㎎がそのまま治療用量になるため、効果発現が速くなります。

またセルトラリンは他のSSRIと比べると効果が穏やかであるため、重度のうつ病の方には物足りないこともあります。単純な強さだけでいえば、パキシル(一般名:パロキセチン)やレクサプロ(一般名:エスシタロプラム)の方が総合的には強いでしょう。

しかし効果が弱いことは悪いことではありません。「あと少しだけ気分が上がればいい」「強すぎる薬はいやだ」という方もいますので、そのような要望の際には使いやすい薬です。

また効果も弱めな分、副作用も少ないのも特徴です。眠気、吐き気、体重増加などの抗うつ剤で多い副作用は認められますが、その頻度は他のSSRIより少なめです。

また、抗うつ剤は便秘になることが多いですが、セルトラリンはどちらかというと下痢・軟便になりやすいという特徴もあります。元々便秘がひどくてこれ以上便秘になったら困る、という方も良い適応かもしれません。

ただし性機能障害の出現頻度は他のSSRIと比べてやや多めです。勃起障害、射精障害などが出るのが困る方は別のお薬の方がいいかもしれません。

セルトラリンの適応疾患

セルトラリンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

セルトラリントの適応疾患は、

・うつ病、うつ状態
・パニック障害
・PTSD(外傷後ストレス障害)

となっています。

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実臨床においても、セルトラリンはうつ病や不安障害に処方することが多いお薬です。セロトニンを増やすことでうつ病・うつ状態を改善させる作用の他、パニック障害もセロトニンの異常が原因だと考えられているため(「パニック障害の原因。パニック障害はなぜ生じるのか」参照)、セルトラリンをはじめとしたSSRIが効果を発揮します。

また、パニック障害以外の不安障害(社会不安障害、全般性不安障害など)にも効果がありますので、適応外ではありますが、使用することは多々あります。他にも強迫性障害や摂食障害などにも使うこともあります。また、双極性障害(躁うつ病)などのうつ状態を持ち上げるときに補助的に使用することもあります。

セルトラリンの作用機序

セルトラリンは、SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤になります。

SSRIとは「Selective Serotonin Reuptake Inhibitor」の略で、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」という意味になります。

難しい名称ですが簡単に理解すると、「脳のセロトニンを増やすお薬」だと考えてよいでしょう。

セロトニンは「モノアミン」と呼ばれる気分に関係する神経伝達物質の1つです。代表的なモノアミンには「セロトニン」の他にも「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」などがあり、

セロトニンは不安や落ち込みを改善させる
ノルアドレナリンは意欲や気力を改善させる
ドーパミンは快楽や楽しみを改善させる

と考えられています。

セルトラリンはSSRIに属するため、モノアミンの中でも特にセロトニンを増やす作用に優れます。セロトニンが低下すると落ち込みや不安が出現すると考えられており、セルトラリンは特に落ち込みや不安を改善させる作用に優れます。

では、セルトラリンは、どのようにしてセロトニンを増やしているのでしょうか。

この機序は他のSSRIも同じなのですが、セロトニンの吸収・分解をブロックすることで、分泌されたセロトニンが消えていかないようにするのがSSRIの作用機序です。

神経と神経の間を神経間隙と言います。ここにセロトニンのような神経伝達物質が分泌されるのですが、SSRIはこの神経間隙に分泌されたセロトニンが分解・吸収されないように、長くそこに留まるように作用することで抗うつ効果を発揮するのです。

ちなみにセルトラリンと他のSSRIの違いとして、セルトラリンには「ドーパミンの再取り込み阻害作用」もあるという点が挙げられます。ドーパミンは楽しみや快楽に関係している物質ですので、その理論通りに考えればセルトラリンは楽しむ力が低下してしまっている方にも向いているお薬だということになります。

しかし実際はセルトラリンがSSRIの中で特段に楽しみを改善させる作用が強いという印象は、臨床の実感としてもありません。必ずしも理論通りにはならないのです。

セルトラリンの特徴

セルトラリンは2015年から発売されている抗うつ剤です。

とは言ってもセルトラリンは新薬ではありません。2006年から発売されている「ジェイゾロフト」という抗うつ剤のジェネリック医薬品になります。ジェイゾロフトの発売から約10年ほどが経過し、特許が切れるためジェネリック医薬品がいよいよ発売されるのです。

ジェネリック医薬品の一番のメリットは「薬価が安い事」にあります。ジェイゾロフトが属するSSRIと呼ばれる抗うつ剤の薬価は高いため、ジェネリックによって薬価が下がることは患者さんにとっても非常にありがたいことです。

セルトラリンはどのような特徴を持つ抗うつ剤なのでしょうか。先発品の「ジェイゾロフト」との違いはあるのでしょうか。

まずはセルトラリンはどのような抗うつ剤なのかをざっくりとお話します。セルトラリンはジェイゾロフトのジェネリック医薬品ですから、基本的にはジェイゾロフトと同じ特徴を持ちます。

セルトラリンはSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)と呼ばれるお薬で、脳のセロトニンの濃度を増やすことで抗うつ効果を発揮します。

セルトラリンの特徴を簡単に言うと、

「効果はやや弱いけど、副作用も少ない抗うつ剤」

だと言えます。

そのため主に軽症~中等症の方で「安全性を重視して治療したい」という場合に適したお薬です。外来患者さんに処方される事が多いのですが、これも安全性が高い事が1つの理由でしょう。

効果としては穏やかですが、臨床において十分役立つ強さは有しています。同じ種類のSSRIとしては

パキシル(一般名パロキセチン)
レクサプロ(一般名エスシタロプラム)

などがありますが、これらと比べると確かに「強さは若干弱い」という印象はあります。

しかしその分、副作用も穏やかです。

抗うつ剤の副作用で困ることの多い抗コリン症状(口渇、便秘など)、眠気、体重増加、吐き気など、セルトラリンは他のSSRIと比べると少なめの印象を受けます。

ただし性機能障害の副作用は他のSSRIよりも起こりやすいという報告が多く、これはセルトラリンを服用するに当たって1つの注意点になります(詳しくは「抗うつ剤で性欲低下・性機能障害が生じる原因と6つの対策」をご覧下さい)。

また研究報告ではセルトラリンは、「男性より女性に有効性が高い」という報告があり、特に女性には使う頻度の多い抗うつ剤です(参考:男女で異なる抗うつ剤の効き)。

以上のセルトラリンの特徴は、先発品であるジェイゾロフトと同じ特徴になります。

セルトラリンならではの特徴としては、やはりジェイゾロフトと比べると「薬価が安い」というのが大きな特徴になります。詳しい薬価はまだ決まっていませんが、ジェイゾロフトの半額程度になるのではと言われています。

以上からセルトラリンには次のような特徴が挙げられます。

【セルトラリンの特徴】

・SSRIに属し、脳のセロトニンの濃度を上げる作用がある
・効果も副作用も穏やかでSSRIの中でも安全性に優れる
・性機能障害は生じやすい
・女性に有用性が高い
・先発品のジェイゾロフトの半額程度と安い