パキシル発売までの抗うつ剤の歴史

パキシルのようなSSRIが発明されるまでは、抗うつ剤は「三環系抗うつ剤」と呼ばれるものが主流でした。

三環系抗うつ剤は1950年頃に開発された最古の抗うつ剤で、非常に強い抗うつ作用がありますが、非常に強い副作用もあるのが特徴です。

昔の薬であり、現在の抗うつ剤よりも作用が「雑」という印象です。体のたくさんの部位に強く作用してしまうため、強く効くものの、抗うつ作用以外の多くの副作用が問題となっていました。

抗コリン作用と呼ばれる口渇、便秘、尿閉
α1受容体遮断による過鎮静やふらつき
ヒスタミン受容体刺激による体重増加

などがあり、これらの副作用で苦しむ患者さんが大勢いました。またこれらの副作用のために「落ち込みは取れたけど、副作用で何もできなくなってしまう」という事もありました。。

中でも一番の問題は心臓への副作用です。

過量服薬すると、心臓へ影響し命に関わるような不整脈が出てしまう事があります。

このような問題から、「もう少し安全な抗うつ剤ができないか」という目的で開発されたのがSSRIです。

SSRIの抗うつ効果は、三環系と比べると同等かやや劣るという印象です。しかし安全性は三環系と比べ物にならないほど高く、命に関わるほどの副作用はほとんど生じません。

抗コリン作用や眠気、ふらつき、体重増加なども三環系と比べると大分少なくなっています。

SSRIの中でも最初の方に発明されたのがパキシルです。SSRIの中ではやや荒削りで、副作用も多めですが、その作用の強さから、現在でも根強い人気があります。

妊婦、授乳婦へのパキシル投与は?

パキシルは妊婦さんや授乳中の方に投与する事はできるのでしょうか。

パキシルの妊婦さんへの投与は注意が必要です。

「絶対にダメではないが、できる限りやめておいた方がいい」という位置づけです。SSRIは全て妊婦には慎重投与ですが、その中でもパキシルは一段階、危険度が高くなっています。

パキシルの製造元であるグラクソ・スミスクライン社が発行している添付文書でも

・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始すること。
・本剤投与中に妊娠が判明した場合には、投与継続が治療上妥当と判断される場合以外は、投与を中止するか、代替治療を実施すること

と記載されており、やはり「絶対ダメじゃないけど出来る限り使わないでね」という内容です。

米国FDAが出している薬剤胎児危険度分類基準では、薬の胎児への危険度をA、B、C、D、×の5段階で分類しています(Aが最も安全で×が最も危険)。

パキシル以外のSSRIは「C」ですが、パキシルのみ一段階高い「D」になっています。

C:動物実験で有害作用がみられているが、ヒトでの対象試験が行われていない。あるいはヒトでも動物でも試験が行われていない
D:ヒトの胎児に対する危険性の証拠があるが、他にそれに代わる安全な薬がないか無効の場合に限り使用を承認される。

CもDも安全とは言えないことに代わりはありませんが、SSRIの中でパキシルのみ一段階危険度が高いことを考えると、妊婦の方でどうしてもSSRIが必要な方は別のお薬に変更する方が安全でしょう。

特に注意すべきなのが、胎児の器官が作られる妊娠初期です。

海外の疫学調査において、妊娠第1三半期にパキシルを投与された妊婦が出産した新生児では先天異常、特に心血管系異常(心室又は心房中隔欠損等)のリスクが増加した。このうち1つの調査では、一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%であるのに対し、パキシル曝露時の発生率は約2%と報告された。

(パキシルの添付文書より抜粋)

という記載があり、 特に妊娠初期への投与は極力控えるべきでしょう。パキシルと心血管異常の関係については、まだ議論中であり「因果関係はないのではないか」という意見もありますが、完全に否定されてはいません。

パキシルを飲んでいて万が一、奇形児が産まれてしまった時の事を考えると、妊娠中のパキシルの服用はしない方が無難でしょう。仮に奇形がパキシルのせいで生じたわけでなかったとしても、それを完全に否定できる根拠がなかった場合、「私がお薬を飲んだせいだ・・・」と母親が強い自責感にかられてしまう可能性があります。

授乳婦へはパキシルを投与できますが、母乳への移行が確認されています。そのためパキシルを使用する際は母乳栄養は中止し、人工乳に切り替えてください。母乳をあげながらのパキシル内服は推奨されていません。

年齢や性別から見たパキシルの使用

パキシルは年齢や性別によって効果に違いがあるのでしょうか。

パキシルは主に成人に使用されます。

特にうつ病においては、海外で行われた臨床試験にて、18歳未満の未成年には効果が認められなかった事が報告されています。ここから、18歳未満の未成年へは安易に使用せず、その適応は慎重に判断するように通達されています。

臨床試験においては、SSRIの中で唯一レクサプロだけは12歳~17歳への投与で有効性を示すデータが報告されています。そのため、12~17歳の未成年にどうしてもSSRIを使用せざると得ないケースでは、レクサプロが用いられる事が多いです。

パキシルを未成年に絶対に使ってはいけないわけではありません。上記はあくまでも日本ではなく海外での結果ですので、そのまま日本人に当てはまるわけではありませんし、統計的にみると効果がなかっただけであって、一人一人でみると効果を認める症例もある可能性はあります。

実際、臨床現場ではやむを得ず未成年にSSRIを使わざるを得ないこともありますが、パキシルが効果を示す例は少なからずあります。

しかし、未成年へは安易に処方しない方がいいのは事実です。パキシルの18歳未満への投与は「どうしても、本当にやむを得ない場合」に限るべきです。また使用する際も、まずは効果が穏やかである他のSSRIから開始すべきでしょう。

パキシルの性別による効果の差は報告されていません。ただしパキシルは体重増加の副作用が比較的多いため、重増加を気にする女性に用いる際は最初に副作用のリスクをしっかりと説明するか、別のSSRIから検討した方が良いかもしれません。

パキシルの強さ

パキシルというお薬の強さはどのくらいなのでしょうか。

精神科のお薬は「こころ」という目に見えない部位に作用するため、その強さを数値化する事は難しい面があります。

そのためあくまでも主観的な見解を含んでしまいますが、パキシルはSSRIの中でも「うつや不安を改善させる力」の強いお薬だと言えます。

「効果も強いけども、副作用も強い」という位置づけで扱われることが多いお薬で、うつ・不安どちらにもしっかりとした効果を示し、中でも不安に対しての作用は特に定評があります。

しかし効果が強いという事は、副作用が出やすいということでもあります。そのため、パキシルの適応は主治医の診察の元、慎重に判断しなくていけません。

抗うつ剤はざっくりと分けると、

効果は強いけど副作用も多い「三環系抗うつ剤」
効果はそこそこで副作用の少ない「新規抗うつ剤」

の2種類があります。

三環系抗うつ剤は1950年代から使われている古い抗うつ剤で、抗うつ作用は強いものの、副作用も多く、また中には命に関わるような重篤な副作用が生じるリスクもあります。

新規抗うつ剤は1990年ごろから使われている比較的新しい抗うつ剤で、「SSRI」「SNRI」「NaSSA」などがあります。それぞれ細かい特徴はありますが全体的に言えば三環系と比べて安全性が非常に改善されているのが特徴です。一方で効果は三環系にはかなわないもののまずまずの強さを有しています。

パキシルは新規抗うつ剤に属しますが、新規抗うつ剤の中では三環系に近い位置づけの抗うつ剤になります。新規抗うつ剤の中では効果がしっかりしており頼れる一方で、副作用にも注意が必要なお薬なのです。

パキシルの適応疾患

パキシルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

パキシルは主に、

うつ
不安

に効果を有し、これらを改善させる目的で投与されます。

パキシルの添付文書を見ると、適応疾患として次のような記載があります。

【効果又は効能】

うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害

パキシルをはじめとしたSSRIは、神経間隙のセロトニンを増やす事で落ち込みや不安を改善する作用があります。

そのため、うつ病だけでなく、適応障害や自律神経失調症などの別の原因で「うつ状態」となっている方にも適応があります。

ただし双極性障害(躁うつ病)のうつ状態への使用はあまり推奨されていません。強い効果が得られるパキシルは、逆に気分を持ち上げすぎて躁状態にしてしまうリスクがあるためです。

またパキシルは「抗不安作用」にも定評があり、パニック障害や社交不安障害といった不安障害にも効果が期待できます。同じく不安が根本的な原因の1つである「強迫性障害」に対しても有効です。

強迫性障害は難治性である事が多く、効果の強い抗うつ剤が使われる事が少なくありませんので、パキシルは強迫性障害にもよく用いられる抗うつ剤になります。

パキシルの抗不安作用はSSRIの中では一番高いと評価される事も多く、実際に私もそのように感じます。また不安、恐怖が生じている外傷後ストレス障害に使われることもあります。

パキシルの作用機序

パキシルはどのような機序によってうつ病や不安障害を改善させているのでしょうか。

パキシルは、SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤です。SSRIとは「Selective Serotonin Reuptake Inhibitor」の略で、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」という意味になります。

難しい名称ですが、簡単に言うと、

セロトニンを増やすお薬

だという事です。

セロトニンは神経伝達物質の1つです。神経伝達物質というのは、神経から神経に情報を伝える役割を持っている物質です。神経と神経の間を神経間隙(しんけいかんげき)と言いますが、神経伝達物質はこの神経間隙に分泌される事で、次の神経に情報を伝えていきます。

神経伝達物質がうまく分泌されなくなると、正しい情報が伝わらなくなるため、心身ともに様々な不調が生じます。

セロトニンは脳内において「感情」の情報を伝える神経伝達物質になります。この分泌量がおかしくなってしまう事がうつ病や不安障害発症の一因だと考えられています。

パキシルをはじめとしたSSRIは、神経間隙に分泌されたセロトニンが再取り込み(吸収)されないようにはたらきます。すると神経間隙に長くセロトニンが留まる事になるため、神経間隙のセロトニン濃度が上がり、情報の伝達がスムーズになるのです。

SSRIにはパキシル以外にも

ルボックス・デプロメール(一般名:フルボキサミン)
ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)
レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)

などがあります。

どのSSRIも同じようにセロトニンの再取り込みを阻害することで神経間隙のセロトニン濃度を上げます。どれも総合的に見れば大きな差はないのですが、セロトニンを増やす力やその他の気分に影響する物質(ノルアドレナリンやドーパミンなど)を増やす力に違いがあります。

気分に影響を与える神経伝達物質はセロトニン以外にもいくつかあります。これら気分に影響する神経伝達物質はまとめて「モノアミン」と呼ばれており、

セロトニンは落ち込みや不安に関係する
ノルアドレナリンは意欲ややる気に関係する
ドーパミンは楽しみや快楽に関係する

と考えられています。

パキシルの主な作用はセロトニンを増やす事ですが、他にも「ノルアドレナリン」の再取り込みを阻害する事で意欲ややる気を改善させる作用も多少有する事が報告されています。

パキシルの特徴と強さ

パキシル(一般名:パロキセチン塩酸塩)は、2000年から発売されている抗うつ剤です。

「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」という種類に属し、主に神経間の「セロトニン」という物質を増やすことで、落ち込み・不安といった症状を改善させてくれます。

パキシルは良くも悪くも「キレのある」お薬です。鋭く効くようなイメージを持って頂くと分かりやすいかもしれません。

そのため、「他の抗うつ剤は効かなかったけど、パキシルを服用してから調子がとても良くなりました」といった良い評判もある一方で、「飲み忘れると離脱症状がひどく、1回使うとやめられなくなる」「副作用が強い」といった悪い評判もあり、患者さんによって評価が非常に分かれるお薬になります。

ネットでは悪い評判の方が書かれやすい傾向がありますので、そのような評判を読むと服用するのが怖くなってしまうかもしれません。

確かにパキシルは一長一短ある抗うつ剤であるため、安易に使うと副作用に苦しむケースもあります。

しかし習熟した医師の元で適正に使うのであれば、高い効果を期待できるお薬でもあります。悪い評判のみを鵜呑みにしてしまうのではなく、パキシルの長所と短所をしっかりと理解して必要な方にはしっかりと使って頂きたいお薬なのです。

では、パキシルというのは一体どのような抗うつ剤なのでしょうか。

まずはパキシルという抗うつ剤の全体的な特徴をつかんでいきましょう。

パキシルは抗うつ剤の1つで、主にセロトニンを増やす事で気分を改善させます。

良い意味でも悪い意味でも「強い」「キレの良い」抗うつ剤になり、落ち込み・不安に対してしっかりと効果が得られます。特に不安に対して優れており、パニック障害などにもよく用いられています。

一方でキレの強さから、使用に注意が必要な面もあります。副作用の体重増加、減薬・断薬時の離脱症状などで苦しんでしまう患者さんもいらっしゃり、適正に使う事が必要になります。

パキシルは「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」という種類のお薬になります。これは神経間に分泌されたセロトニンの再取り込み(吸収)を抑える作用を持つお薬になります。

セロトニンは神経から神経に情報を伝える役割を持つ物質で、これは専門的には「神経伝達物質」と呼ばれます。神経伝達物質の中でもセロトニンは主に「気分」の情報を伝え、落ち込みや不安などといった感情に関係していると考えられています。

そしてうつ病の患者さんの脳は、このセロトニンの分泌が低下しているのではないかと考えられています。何らかの原因でセロトニン量が低下してしまい、これによって落ち込みや不安を感じやすくなってしまっているのです。

神経間に分泌された神経伝達物質はしばらくすると再び神経内に取り込まれていきます。これを再取り込みと呼びますが、この再取り込みを起こしにくくすればセロトニンが長く神経間にとどまるため、結果的にセロトニンの分泌量が多くなったのと同じ状態になります。

これがパキシルをはじめとしたSSRIの効き方になります。

パキシルもSSRIですので、上記のようにセロトニンの再取り込みを阻害し、神経間のセロトニン濃度を高めます。SSRIにも何種類かのお薬がありますが、その中でパキシルは「良くも悪くも強い・キレが鋭い」お薬になります。

患者さんにパキシルの評価を効くと真っ二つに割れますが、その理由はここにあります。

パキシルの効果を実感している患者さんが多いのも事実です。

「パキシルのおかげでうつ状態から脱出できた」
「先生にパキシルを処方してもらったおかげで、パニック発作がなくなりました!」

と感謝されることもあり、パキシルには強い抗うつ作用・抗不安作用があります。

一方で、効果が強い分だけ副作用も生じやすい面があります。

パキシルが属するSSRIは、2000年頃から使われるようになった比較的新しい抗うつ剤です。それ以前は三環系抗うつ剤というものが主流であり、三環系は副作用がとても多いのが問題となっていました。

パキシルは三環系よりは副作用は少なくなっているものの、総合的に見ればSSRIの中で副作用は一番多いと言っても良いでしょう。

副作用についての詳細は、「パキシルの副作用」の記事でも詳しく説明していますが、代表的なものとしては、

抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉など)
体重増加
性機能障害

などが挙げられます。

いずれも三環系よりは軽度であるものの、特に体重増加はSSRIの中では多く、体重増加を気にされるような方(女性など)にはとりわけ不評です。

パキシルを内服している女性患者さんから、「パキシルでうつ症状は確かに良くなりました。でも、今度は体重が〇〇kg増えて落ち込んでます・・・」と言われてしまう事もあります。

落ち込みを改善させるためにパキシルを使ったのにこれでは本末転倒になってしまいますよね。太ることへの抵抗が強い方には、このような理由からパキシルは使いにくいところもあります。

また、副作用の多さから妊婦さんには使用しずらいという面があります。

FDA(米国食品医薬品局)の見解では、パキシル以外のSSRIの妊婦さんへの使用は「C:危険性を否定することができない」という位置づけになっていますが、パキシルのみ一段階上の「D:危険性を示す確かな証拠がある」になっています。

そのため妊婦さんがもしSSRIを服用しないといけない時は、パキシル以外のSSRIを選択する事が推奨されます(もちろんSSRIを服用しない方法があればそれが一番です)。

更にパキシルは離脱症状も生じやすいお薬です。

離脱症状とは、お薬を減薬・中断した時、その反動で生じる症状のことです。お薬の血中濃度が急激に下がる事に身体ついていけずに生じると考えられています。

離脱症状では、めまいや動悸、耳鳴り、ふらつき、しびれなどの身体症状の他、イライラ感や不安感などの精神症状も認められます。

パキシルは他のSSRIに比べて離脱症状が起きやすく、「病気が改善してきたから減薬しよう」という時に減薬に苦労することがあります。また自己判断で「そろそろ飲むのをやめてもいいだろう」と急に中止してしまって離脱症状が出てしまい、「もうこの薬を止められないのか・・・」とショックを受ける患者さんもいらっしゃいます。

減薬すると離脱症状が出やすい。これが「パキシルを一回飲み始めるとやめられなくなる」と言われる原因です。

ただしパキシルに離脱症状が多いのは事実ですが、「一回飲み始めたらやめられない」というのは誤解です。急激な減薬・断薬が離脱症状を引き起こすのであって、医師と相談して正しい手順で減薬すれば、必ず減らしていく事は出来ます。

ここについて詳しくは「パキシルの離脱症状」にて詳しく書いていますのでご覧下さい。

以上から、パキシルの特徴として次のようなことが挙げられます。
【パキシルの特徴】

・SSRIに属し、セロトニンを増やす事でうつ・不安症状を改善させる
・SSRIの中で効果は強く、うつや不安をしっかりと改善させてくれる
・副作用が他のSSRIと比べると多め(三環系よりは少ない)
・特に離脱症状は他のSSRIと比べて多い
・妊婦さんには使いずらい

パキシルで太ってしまった時の対処法

パキシルを服薬して太ってしまったら、どのような対処法があるのでしょうか。ここでは一般的に行われる対処法を紹介します。

なおこれらの対処法は決して独断では行わないで下さい。必ず主治医と相談の上で行うようにしましょう。

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Ⅰ.生活習慣を見直す

太ってきたときに一番大切なことは、生活習慣を見直すことです。副作用で太ってしまった時もこの基本は変わりません。規則正しい生活、適度な運動などの生活習慣の改善を行えば、たとえ抗うつ剤を内服していたとしても体重は落ちやすくなります。

抗うつ剤は体重が「落ちなくなる」のではありません。「落ちにくくなる」だけです。しかるべき行動をとれば体重は必ず落ちます。

毎日三食、規則正しく食べていますか?
量やバランスは適正でしょうか?
間食や夜食などをしていませんか?
適度な運動はしていますか?

散歩などの運動でも脂肪燃焼には効果があります。余裕があればジョギングやサイクリングなど強度の高いものにトライすれば代謝は更に改善されます。

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Ⅱ.抗うつ剤の量を減らしてみる

もし精神状態が安定しているのであれば、 減薬を考えてみるのもいいかもしれません。主治医と相談してみましょう。

体重増加で困っていることを主治医に相談することは大切なことです。

主治医は、あなたの体重増加を重く捉えていないかもしれません。というのも、体重が増えて困るかどうかは人それぞれです。

ガリガリに痩せた男性であればちょっと体重が増えても全然困らないでしょう。でも、スタイルに気を使っている若い女性にとっては、体重がちょっとでも増えることは大きな恐怖でしょう。

体重増加に対する認識に、主治医とあなたとの間に認識のギャップがある恐れがあります。特に年配の先生だったりすると、若い子が悩むポイントというのは意外と気付かないものです。

ただし、病状によっては薬の量を減らせないこともあります。

相談の上でお薬を減らせないという結論になった場合は、勝手に減らすことはせず、主治医の判断には従うようにしましょう。

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Ⅲ.別の抗うつ剤に変えてみる

別の抗うつ剤に変えてみるという手もあります。

候補に挙がるのは、「太りにくい」という視点だけから見ればSNRIであるサインバルタ、同じSSRIのジェイゾロフトあたりが候補に挙がります。

一部の四環系抗うつ剤やデジレル、トレドミンなども体重増加の副作用が少ないのですが、これらは抗うつ作用も弱いため、切り替えは慎重に判断しなければいけません。

それぞれの抗うつ剤には長所と短所がありますので、体重増加の視点だけで考えるのではなく、総合的に判断することが大切です。

やはり主治医とよく相談して決めていく事が大切です。

パキシル以外の要因がないかも考えよう

パキシル服用中に体重増加が認められた場合、私たちはつい「パキシルを服用してから太った」と考えてしまいがちです。もちろんその可能性もあるのですが、一方で「これは本当にパキシルだけのせいなのか」という視点を持ってみる事も大切です。

というのも、パキシルが処方される患者さんというのは、精神的に不安定な状態にあることがほとんどです。精神的に不安定だからこそ、パキシルのようなお薬が処方されるわけです。

このような状況にある方というのは、パキシル以外にも体重増加の要因がいくつかある事があります。

まず精神エネルギーが低下して活動量が減ると、それだけで体重増加のリスクが生まれます。

例えば、うつで気力が低下しており一日中寝たきり状態であれば、全然動かないためカロリー消費量が少なくなり、皮下脂肪や内臓脂肪などが増えやすくなるでしょう。

またストレスで過食行為が多くなれば、これも太る要因になりえます。

パキシルを服用しているだけでなく、このような症状も認めている場合は、安易に「抗うつ剤のせいで太った」と決めつけないようしなければいけません。

確かに抗うつ剤で体重増加が出現することもありますが、同様にうつ症状による無気力・過食などによって体重増加が生じる事もあるという事を忘れてはいけません。

その体重増加は本当にパキシルのせいなのか。安易に決めつけず、必ず自分の状態を見直してみるようにしましょう。

うつ病で活動性が低下しており、元気なころと比べて運動量が激減しているのであれば、それが原因で太っているのかもしれません。ストレスで過食傾向にあるのであれば、それが理由かもしれません。

このような状態で、「太るのはパキシルのせいだ。もう飲むのをやめよう」と判断してしまうとどうなるでしょうか。抗うつ剤中止によって精神状態がより悪化してしまい、より活動性低下や過食がひどくなり、体重増加は更に悪化していく危険があります。

パキシルをはじめとした抗うつ剤による体重増加の難しいところは、うつ病の症状として体重が増えてしまう事もあるし、抗うつ剤の副作用として体重が増えてしまう事もある点です。

安易に判断せず、体重増加にパキシル以外の原因がないかをしっかりと確認しましょう。

自分で判断できない場合は、一緒に住んでいる家族や主治医にも相談してみる事も有用です。自己判断での服薬中断は大変危険ですので、絶対にしてはいけません。

パキシルを服用すると何故太るのか

パキシルを服用すると太ってしまうのは何故でしょうか。

パキシルで太ってしまうのには、主に2つの原因が考えられます。

それは、

代謝抑制作用
抗ヒスタミン作用

の2つです。

抗うつ剤には心身をリラックスさせる作用があります。これは「気分を安定させる」という良い作用にもなりますが、一方で代謝を落としてしまうため皮下脂肪・内臓脂肪などの貯蔵エネルギーを溜めこみやすくなってしまうという面もあります。

このように抗うつ剤で代謝が落ちると、いわゆる「脂肪や燃えにくい」状態になり、太りやすくなってしまうのです。

またパキシルには抗ヒスタミン作用があります。これはヒスタミンという物質のはたらきをブロックする作用になります。

ヒスタミンは食欲を抑えるはたらきを持ちますので、パキシルがヒスタミンをブロックしてしまうと食欲が上がりやすくなります。そして食欲が上がれば当然、太りやすくなります。

抗ヒスタミン作用は多くの抗うつ剤に認められる作用ですが、パキシルにも軽度の抗ヒスタミン作用があります。

それ以外にもパキシルの持つセロトニンへの作用も体重増加の一因になっている事が指摘されています。

このような複数の原因によって、パキシルでは体重増加が生じてしまうと考えられています。

ただし全ての副作用に言えることですが、副作用が生じる個人差は大きく、服薬しても全く太らない方もいれば、体重が数十キロも増えてしまう方もいます。

パキシルは10mgから開始して20~50mgで維持しますが、一般的に服用量が多くなればなるほど体重増加の頻度・程度も増えていきます。

パキシルの体重増加はどのくらい多いのか

パキシルは他の抗うつ剤と比べて、どのくらい太りやすいのでしょうか。

副作用の出方には個人差があるため確実な答えをいう事はできませんが、臨床上の印象としてパキシルは他の抗うつ剤と比べて、体重増加が多めのお薬になります。

古い抗うつ剤である三環系抗うつ剤と比べるとその頻度はやや少ないものの、SSRIなどの比較的新しい抗うつ剤の中では太る頻度は多めであり、服用するに当たってパキシルはある程度「太る」リスクのある抗うつ剤だと考えておく必要があります。

パキシルの体重増加の副作用は古い三環系抗うつ剤と比べると少ないものの、SSRIの中では一番強い印象があります。

SSRIにはパキシル以外にも

ルボックス・デプロメール(一般名:フルボキサミンマレイン酸塩)
ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)
レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)

があります。

いずれも体重増加は生じえますが、全体的に見ればパキシルよりは頻度は少なめです。

SSRIと同様に現在第一選択で用いられる抗うつ剤であるSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)はどうでしょうか。

SNRIは主にセロトニンとノルアドレナリンを増やす抗うつ剤で、

サインバルタ(一般名:デュロキセチン)
トレドミン(一般名:ミルナシプラン)
イフェクサー(一般名:ベンラファキシン)

があります。

SNRIは全体的にSSRIよりも体重増加の副作用は少なめになります。これはノルアドレナリンというアドレナリン系の物質を増やす作用があるため、代謝が上がり、これによって体重増加が生じにくくなるためです。SNRIはむしろ体重が減る事もあるくらいです。

そのため、体重増加の副作用を極力避けたいという事であればSNRIは候補の1つに挙がります。

同様に現在第一選択の抗うつ剤であるNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)はどうでしょうか。

NaSSAも主にセロトニンとノルアドレナリンを増やす抗うつ剤で、

リフレックス・レメロン(一般名:ミルタザピン)

があります。

NaSSAは体重増加を起こしやすく、太りやすい傾向のある抗うつ剤です。SSRIとは異なる機序でセロトニンを増やすため、SSRIが効かない方にも効果が期待できるお薬ですが、体重増加という面で見ると結構多く、パキシルよりも注意が必要になります。

ただしこれらはあくまでも目安に過ぎず、個人差がある事はご理解ください。

お薬の効果や副作用の出方は個人差が大きくあります。

そのため私たち専門家も、一般的な話としての「このお薬は太りやすい」「太りにくい」というのはお話できますが、「あなたはこの薬で太るでしょう」と個別の副作用の出方については断言はできません。

患者さんには申し訳ないのですが、極論を言えばお薬の副作用は使ってみないと分からないのです。

基本的にお薬によって生じた体重増加は、お薬をやめれば徐々に改善していきます。このまま永遠に戻らないものではありません。

そのため体重増加が生じても自分の判断で慌ててお薬を中止するのではなく、主治医の指示通りの服用を続けながら、主治医に「このお薬を始めてから太ってきてしまって、つらいんです」と相談してみるようにしましょう。

パキシルは太るのか。 パキシルは太りやすいのは事実

パキシル(一般名:パロキセチン塩酸塩)は抗うつ剤の一種で、SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)という種類の抗うつ剤に属します。

SSRIは現在のうつ病治療の中心となっているお薬の1つです。昔の古い抗うつ剤と比べると副作用は軽減されていますが、それでも副作用が全く生じないわけではありません。

抗うつ剤は年単位で長期間服用する事も多いため、服用に当たって事前にそのリスクを正しく理解しておく事は、お薬と正しく付き合っていくために大切な事です。

SSRIの中にもいくつか種類がありますが、その中でもパキシルは副作用が多めのお薬です。

そしてパキシルの副作用の中でも患者さんからの訴えが多いものに「太ってしまった」「体重が増えて困る」というものがあります。

どのようなお薬にも利点と欠点があります。確かにパキシルはSSRIの中でも太りやすい方にはなります。しかし、だからと言ってパキシルが悪いお薬だとは言えません。その分パキシルには優れた利点もたくさんあるのです。

パキシルに限らずお薬の副作用を見る際は、ただいたずらに副作用を怖がるのではなく、得られるメリット(作用)と生じうるデメリット(副作用)の両方をしっかりと理解し、総合的に判断していく事が大切です。

まず、パキシルは太るお薬なのでしょうか。

結論から言うと、その可能性は十分ありうると言えます。実際にパキシルを服用して体重が増えてしまうというケースは珍しくありません。

まずはパキシルの添付文書に記載されている、「パキシルの主な副作用」を見てみましょう。

臨床試験の結果、頻度の高い副作用として挙げられたものは、

・傾眠
・吐き気
・めまい
・頭痛
・便秘

などがありました。

添付文書上の主な副作用には「体重増加」は記載がありません。「その他の副作用」の隅っこにようやく「体重増加」が書かれている程度です。

しかし臨床的にはパキシルの体重増加で困っている患者さんをみる機会はたくさんあります。なぜ、臨床試験では体重増加の副作用の報告が少ないのでしょうか。

これは臨床試験はたいがい、数ヶ月程度の試験であるためだと考えられます。

体重増加の副作用は服用を開始して突然に出てくる副作用ではありません。通常は時間をかけて少しずつ出てくるものです。そのため数ヶ月程度の臨床試験では体重増加は検出できない事が多いのです。

しかし実際はパキシルのような抗うつ剤は長期間服用するのが普通です。となると、服用によって体重が増えてしまう方は少なからず見られるようになります。

臨床的な見解を言えば、パキシルの服用を一定期間続けると、体重増加の副作用は十分生じえると言えます。

その程度は個人差があります。数キロ程度の体重増加である事がほとんどですが、中には数年服用して20kgも太ってしまったという方もいらっしゃいました。その20kgのすべてがパキシルのせいなのかは断定できませんが、体重増加は生じうるし、人によってその程度は結構強いケースがあるのも事実です。

パキシルで性欲低下が生じる原因 薬の副作用ではなく、病気の症状の事も

うつ病にかかって抗うつ剤を服用したら性欲低下が認められた。

このような経過だと、性欲低下がお薬の副作用で生じたと考えてしまいがちですが、実はうつ病という病気の症状としても性欲低下が生じます。

そのため抗うつ剤服用中の性欲低下は、「うつ病の症状なのか」「抗うつ剤の副作用なのか」としっかりと見極める事が重要になってきます。

見分けるポイントとしては、お薬の開始時期と性欲低下の出現時期との関係になります。

うつ病の症状としての性欲低下であれば抗うつ剤投与前から認められることが多く、

反対に抗うつ剤による性欲低下であれば服薬開始後に認められます。

また、アルコールなどの物質が性機能障害を起こしている可能性もあります。

高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病によって陰部の血流障害が生じており、それで勃起障害が生じている事もあります。

安易にお薬のせいと判断せず、他に原因がないかを疑ってみる事も大切です。

パキシルで性欲低下が生じる原因 薬の副作用ではなく、病気の症状の事も

うつ病にかかって抗うつ剤を服用したら性欲低下が認められた。

このような経過だと、性欲低下がお薬の副作用で生じたと考えてしまいがちですが、実はうつ病という病気の症状としても性欲低下が生じます。

そのため抗うつ剤服用中の性欲低下は、「うつ病の症状なのか」「抗うつ剤の副作用なのか」としっかりと見極める事が重要になってきます。

見分けるポイントとしては、お薬の開始時期と性欲低下の出現時期との関係になります。

うつ病の症状としての性欲低下であれば抗うつ剤投与前から認められることが多く、反対に抗うつ剤による性欲低下であれば服薬開始後に認められます。

また、アルコールなどの物質が性機能障害を起こしている可能性もあります。

高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病によって陰部の血流障害が生じており、それで勃起障害が生じている事もあります。

安易にお薬のせいと判断せず、他に原因がないかを疑ってみる事も大切です。

パキシルで性欲低下が生じた際の対処法

パキシルの服用をはじめてから性欲低下が生じた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。ここでは臨床でよく取られる方法を紹介します。

なおここで紹介する対処法は、必ず主治医と相談の上で行ってください。独断で行うことは大変に危険です。

Ⅰ.主治医に報告する

まず性機能障害・性欲低下の副作用が生じている事を主治医に相談してください。

診察時に患者さんがこれらの副作用の事を医師に伝える確率は非常に少ないという事が調査からは示されています。

しかし、性機能障害が生じているかどうかというのは、私たちも知りたいところですし、それは治療方法を決定するためのひとつの重要な情報になります。

話ずらい内容かもしれませんが、私たち医師は診察で得た情報を絶対に第三者では口外することはありません。また、当然ですが私たち医師はこのような話題に対して真剣に対応させて頂いておりますので、安心してご相談下さい。

話して頂けず、自分の判断でお薬を辞めてしまったり、一人で悩まれて、それで精神状態が悪化してしまう方が困るのです。副作用で困っている事を主治医にしっかりとお話しするという事は、治療経過にも影響を与える大切な事なのです。

Ⅱ.そのまま経過をみる事も

もちろん患者さんと相談の上で、ではありますが、性欲低下が生じていてもそのまま様子を見る事もあります。

性機能障害の副作用はあくまでもパキシルの作用として生じているだけですので、パキシルが中止となれば必ず改善します。そのため、ある程度病気の治療が落ち着くまでは申し訳ないけど、そのまま様子をみてもらい、調子が改善してきたら減薬に入るという事もあります。

性欲低下に対する困り具合は、個々人によって大きく異なります。性欲低下が生じているけど大して困っていないよという方もいれば、これが原因で夫婦仲に大きな問題が生じていて深刻な状態だという場合もあります。そのため、その対処法は均一化できるものではなく、個々人の状況によって変えていくべきものです。

パキシルが疾患の治療にとても効果を発揮していて、今すぐに減薬するのは不安も大きく、かえってデメリットの方が高い、という場合は患者さんと相談して同意を頂いた上でそのまま様子を見ることもあります。

また、様子観察を続けることで身体が抗うつ剤に慣れてきて、性機能障害が自然と改善してくる例も少なからずあります。

Ⅲ.減薬できるのであれば減薬する

性欲低下、性機能障害の副作用は、セロトニンに対する影響が小さくなればなるほど軽減します。

そのため、もしもパキシルの量を減らせるのであれば、減らした分だけ性欲低下の副作用も軽減していく可能性があります。

独断で勝手に減らしたり止めたりすることは良くありませんが、主治医と現状について相談の上、原因となっているお薬が減らせそうなのであれば減薬を行う事もあります。

Ⅳ.性欲低下の少ないお薬に変更してみる

性欲低下や性機能障害が比較的少ないと言われている抗うつ剤に変更するという方法もあります。

上にも書いた通り、パキシルはこれらの副作用が特に多めの抗うつ剤になります。同じSSRIの中でも、

ルボックス・デプロメール(一般名:フルボキサミン)
レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)

はまだ性欲低下の副作用がパキシルよりは頻度が低いため、これらに変更する事で副作用が軽減する可能性もあります。

また他の種類の抗うつ剤という事であれば、

リフレックス・レメロン(一般名:ミルタザピン)

は性機能障害が少なめになります。

ただしこれらのお薬に変更すれば、確かに性欲低下は改善するかもしれませんが、どの抗うつ剤にも一長一短あるという事は理解しておく必要があります。

例えばリフレックス・レメロンは性欲低下は起こしにくいのですが、眠気や体重増加の頻度は多い抗うつ剤である事が知られています。

そのため性欲低下の副作用だけで服用するお薬を決めるのではなく、変薬は主治医としっかり相談し、その総合的なメリット・デメリットを理解した上で行うようにしましょう。

Ⅴ.服薬時間を変えてみる

パキシルの血中濃度は、薬理学的には服用後数時間でピークに達して、そこから徐々に低下していきます。そして血中濃度の高い時の方が副作用も強く出やすいと考える事が出来ます。

パキシルは1日1回服用するお薬ですが、ここから考えると朝に服薬すれば、夜には性欲低下は若干改善している可能性があります。劇的な改善が得られるという方法ではありませんが、服用時間を出来る範囲で調整してみることも有効な方法です。

ただし服用時間を日によって変えるのは、良くありません。お薬の血中濃度が不安定になってしまいます。服用時間を決めたら、その日以降は原則その時間に服用するようにしましょう。

Ⅵ.薬剤を追加する

パキシルで性欲低下の副作用が生じていたとしても、パキシルを減らしたりやめたりしたくないという場合は、性欲低下を改善させる可能性のあるお薬を併用するという方法もあります。

お薬の副作用を別のお薬で対処するという方法になるため、あまり推奨される方法ではありませんが場合によってはこの方法が用いられる事もあります。

パキシルの性欲低下は、セロトニン2受容体の刺激が主な原因であるわけですから、セロトニン2受容体をブロックする作用を持つ、

リフレックス・レメロン(一般名:ミルタザピン)
デジレル・レスリン(一般名:トラゾドン)

を併用する事で、パキシルのセロトニン2受容体の刺激が打ち消され、性欲低下の改善が得られる事があります。

また、

バイアグラ(一般名:シルデナフィル)
シアリス(一般名:タダラフィル)

などを投与すると改善が得られるという報告もあります。

実際の臨床ではここまで行うことはほとんどありません。抗うつ剤をどうしても減らせないが、性欲低下による重篤な問題が生じている場合は、患者さんと主治医がよく相談した上でこの方法を取ることもあります。