ジェネリック医薬品の使用をためらう大きな理由の1つとして、「本当に先発品と同じ効果が得られるの?」という不安があるかと思います。
ほとんどのジェネリック医薬品は先発品と比べると薬価が安くなっています。もちろんこれは良い事なのですが、
「安いという事は質が悪いのでは・・・」と考えてしまう方もいらっしゃいます。
では実際、ジェネリック医薬品は先発品と比べて本当に同じ効果・効能が得られるのでしょうか。
臨床の感覚としてはパキシルとパロキセチンはほとんどのケースで同等の効果・効能を発揮してくれます。
ジェネリック医薬品であるパロキセチンは、「このお薬は先発品(パキシル)と同じ効能がありますよ」という事を証明した試験(生物学的同等性試験)をしないと発売が許可されません。その試験を合格しているという事は、少なくとも大きな効能の違いはないという事が証明されています。
またジェネリック医薬品の薬価が安いのは、品質が悪いからではありません。ジェネリック医薬品にはお薬の開発費や研究費がほとんどかからないためで、その分が差し引かれているのです。
新しいお薬を開発するには、有効な成分を探すための費用や、その有効性を調べるための費用など多額のお金がかかります。しかしジェネリック医薬品は元々ある成分を使って作るお薬ですから、これらの開発費がほとんどかかりません。
その分価格が割り引かれているのであり、決して品質が悪いから安くなっているわけではないのです。
このような事から、ジェネリック医薬品は薬価は先発品よりも安いけど、先発品と同等の品質であり同等の効能を有すると考えてよいでしょう。
しかし中には、パキシルからパロキセチンに変更したら調子を崩してしまった、というケースもあります。これはどうしてでしょうか。
この原因としては2つの可能性が考えられます。
まず1つ目が「心理的な原因」です。
ジェネリック医薬品であるパロキセチンに切り替えたことで、「ジェネリックって何だか心配・・・」「ジェネリックを使って本当に大丈夫だろうか・・・」といった気持ちが生じている場合、このようなマイナスの感情から、実際に悪い作用が生じてしまう事があります。
これは「ノセボ効果」と呼ばれます。
【ノセボ効果】
全く効果のないお薬を服用しても、そのお薬に悪いイメージを持って服用すれば、思い込みのよって悪い副作用が生じてしまう現象
うつ病をはじめとした精神疾患は「こころの病気」ですから、心理的要因は大きく影響し、ノセボ効果が他の科のお薬よりも生じやすい傾向にあります。
マイナスの感情を持ちながらお薬を服用していると、実際にマイナスの作用が生じてしまう事は十分にありうるのです。
ここから言えることは、ジェネリックへ切り替える事にどうしても心配があるという方は無理してジェネリックに切り替えない方がいい事もあります。
ジェネリックへの切り替えはあくまでも「薬価が安くなるなら」など、自分がメリットを感じられる場合にのみ行うようにしましょう。
ジェネリック医薬品によって仮に薬価が安くなって医療費が削減できたとしても、それでノセボ効果が出てしまい病気が悪化したら、結局治療期間が長くなってしまい医療費削減になりません。そのような場合は先発品のまま治療をした方が良い事もあるのです。
そしてもう1つの原因が、ジェネリック医薬品そのものに原因があるケースです。
先発品とジェネリック医薬品は同じ主成分からなるお薬ですが、同じなのはあくまでも主成分だけで、その他の添加物の成分は異なる場合があります。
そして人によってはこの添加物の違いによってお薬の効果に差が出てしまう事があるのです。
これは精神科のお薬だと分かりにくいのですが、例えば降圧剤(血圧を下げるお薬)などではよくわかります。例えば先発品からジェネリック医薬品の降圧剤に変更したら、血圧が上がってしまったというケースもたまにあります。
ほとんどのケース(体感では95%以上)において先発品とジェネリックは同じ効果が期待できると言って問題ありません。しかし、中には切り替える事で効果・効能に違いが生じる事もあるという事は知っておきましょう。