双極性障害(躁うつ病)観念奔逸と似ている症状

精神疾患の症状の中には区別がつきにくい、似たような症状があります。

しかし、一見同じような症状であっても、その背景の心理状態は全く異なる事があります。

症状の表面的な部分しか見るのではなく、その症状の本質を理解できるようになると、病気についてより正しく知る事ができます。

最後に観念奔逸とよく間違われる症状である「連合弛緩」という症状を紹介します。
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双極性障害(躁うつ病)なぜ観念奔逸が生じるのか

観念奔逸はどうして生じるのでしょうか。

観念奔逸は双極性障害の躁状態で生じる症状です。躁状態では精神エネルギーが異常に亢進し、気分が異常が高揚します。

すると、頭に次々と考えが浮かんでくるようになります。
気分が良い状態ですから、このように次々と浮かんできた考えは、本人にとっては「素晴らしい発想」に映り、話さずにはいられなくなります。

正常な人が聞いたら明らかに非現実的な話を、気分が高揚した浮足立った状態で話すわけですから、まとまりが乏しい話になってしまいます。

更に話している傍からまた「素晴らしい発想」が浮かんでくるため、今の話をしている途中であっても新しく浮かんだ話を話し始めてしまいます。
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双極性障害(躁うつ病)観念奔逸とはどのような症状なのか

観念奔逸(かんねんほんいつ)は、双極性障害(いわゆる躁うつ病)で認められる症状の1つです。

双極性障害は躁状態(気分が異常に高揚している状態)とうつ状態(気分が異常に低下している状態)を繰り返す疾患ですが、
観念奔逸はこのうち躁状態で現れる症状になります。

この観念奔逸という症状は一体どのような症状なのでしょうか。
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双極性障害Ⅰ型と双極性障害Ⅱ型の違いは?

双極性障害Ⅰ型と双極性障害Ⅱ型は、何が異なるのでしょうか。

「躁状態の程度が異なる」という以外にも次のような違いが指摘されています。

Ⅰ.遺伝的に異なる疾患である可能性がある
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双極性障害Ⅰ型とⅡ型に分類されるのはなぜ?

躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害についての記録は、はるか昔から記されており、その歴史は紀元前にまでさかのぼります。
しかし、本格的に「病気」として認識されるようになったのは1800年代に入ってからで、この頃から双極性障害の研究が盛んになってきました。

次第に双極性障害というのは、皆同じように「躁状態」と「うつ状態」を繰り返す疾患ではなく、
その程度は患者によって大きく異なることが分かってきました。特に躁状態の程度が顕著なものと、そこまで顕著でないものがあり、
近年ではこれらを「双極性障害Ⅰ型」「双極性障害Ⅱ型」を分けるようになりました。

同じ疾患でも、患者によって症状の程度に差があるのは、当たり前のことです。
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双極性障害Ⅰ型とⅡ型

双極性障害(いわゆる躁うつ病)は、

気分が高揚する躁状態
気分が落ち込むうつ状態
何の症状のない寛解期

の3つの病相を繰り返す疾患です。双極性障害はこの「気分の波の幅」が正常と比べて明らかに大きいため、
生活において様々な支障が生じやすく、治療が必要になります。

実は双極性障害は、気分の波の程度に応じて「双極性障害Ⅰ型」と「双極性障害Ⅱ型」に分けられます。
双極性障害の診断を受けている方も、自分が双極性障害Ⅰ型なのか、あるいはⅡ型なのかを理解しておくことは経過を良くするためにも大切なことです。

双極性障害は、なぜこのように分類されているのでしょうか。また分類することにどんな意味があるのでしょうか。
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双極性障害(躁うつ病)各病相における薬の選び方

躁状態・うつ状態・寛解期という双極性障害の病相からみた薬についてみていきましょう。

Ⅰ.躁状態

躁状態に対しては気分安定薬であれば、

リチウム
デパケン

などが適しています。

両者の使い分けははっきりと決まっているわけではありませんが、

「不機嫌・易怒的な躁状態」

「混合状態」

「ラピッドサイクラーの躁状態」

などにはデパケンの方が良いのではないかと考えられています。

躁状態に対して、

テグレトール

が使われることもありますが、副作用の多さから、まず最初に用いることは少なく、他の気分安定薬が無効である時に検討されます。

気分安定薬は不自然な鎮静をかけることなく、自然に躁状態を改善させてくれるのが特徴です。
しかし気分安定薬は催奇形性を持つものが多いため、妊娠可能年齢の女性の方は注意が必要です。
リーマス、デパケン、テグレトールには催奇形性があることが知られています。

躁状態に用いる抗精神病薬としては、

ジプレキサ
セロクエル
エビリファイ
リスパダール
ロドピン

などがあります。お薬の種類によっても異なりますが、抗精神病薬は鎮静をかけることで躁状態を改善させるようなイメージです。
そのため、興奮がひどかったり、幻覚・妄想状態になってしまっている方には適しています。

ジプレキサ・セロクエル・エビリファイは躁状態のみならず、うつ状態に対しての効果もありますので、
今後うつ状態で困ることが予測されるケースに適しているでしょう。
しかしこれらのうちセロクエルとジプレキサは糖尿病の方には使えませんので注意が必要です。

リスパダール、ロドピンは明らかな効果は躁状態しか確認されていません。
しかし躁状態に関しては強力に抑えてくれる作用がありますので、躁状態が強い時には検討される薬になります。

Ⅱ.うつ状態

うつ状態に対しては、気分安定薬であれば、

ラミクタール
リーマス

が検討されます。

ラミクタールは抗うつ作用がしっかりしている印象がありますが、ゆっくりと増薬しなければいけず、効果発現までに時間がかかるのが難点です。
リーマスはある程度の抗うつ作用は認めますが、リーマスだけだと不十分なケースもあります。

デパケン
テグレトール

にも抗うつ作用があるという報告がありますが、その程度はあってもかなり弱く、このお薬のみでうつ状態を持ち上げるのはなかなか難しいのが現状です。
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双極性障害に補助的に用いられる抗うつ剤、甲状腺剤

Ⅰ.抗うつ剤

双極性障害に抗うつ剤が用いられることもあります。その目的は双極性障害におけるうつ状態を改善させるためです。

今まで紹介したお薬をみてみると、双極性障害の治療薬は躁状態を改善させるお薬に比べて、うつ状態を改善させるお薬が少ないことに気付きます。
そして双極性障害の経過は、躁状態の期間よりもうつ状態の期間の方が圧倒的に長いことが知られています。

このような特徴から、双極性障害の治療をしていると、うつ状態に対して治療が難渋してしまう事があります。
その時、抗うつ剤が検討されることがあります。

双極性障害に抗うつ剤が効くのかどうかというのは、今だ議論中で明確な答えは出ていません。
現状としては、双極性障害における抗うつ剤は「効かない」とする報告が優勢であると感じられます。

効かないだけならまだしも、双極性障害における抗うつ剤の使用は害もあります。

具体的には、抗うつ剤は

躁転
ラピッドサイクラー化

などを促してしまうという指摘があります。

躁転は、うつ状態の患者が躁状態に転じてしまう事です。双極性障害では、抗うつ剤が気分を変に持ち上げてしまい躁転してしまう事があるのです。

またラピッドサイクラー(急速交代型)とは、「躁状態⇔うつ状態」の気分の波が通常より短いサイクルで繰り返されるタイプの事です。
抗うつ剤は双極性障害をラピッドサイクラー化するリスクがあります。
ラピッドサイクラー化してしまうと、患者さん本人が気分の波に翻弄されてつらいだけでなく、難治性(治りにくくなる)となる事が知られています。
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双極性障害の治療薬「抗精神病薬」

抗精神病薬は、元々は統合失調症に用いられていた薬でした。その主な機序は「脳のドーパミンのはたらきを弱めること」です。

統合失調症は、脳のドーパミンの異常が原因の1つだと考えられています。
特に幻覚・妄想などの陽性症状はドーパミン過剰の影響によるところが大きく、抗精神病薬は優れた効果を発揮します。

そして近年、

統合失調症と双極性障害は共通する機序を持つ疾患である
双極性障害の発症にもドーパミンが関わっている

という事が分かってきました。
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双極性障害の主役「気分安定薬」

気分安定薬は、気分の波を抑える作用を持つお薬の総称です。
それぞれの双極性障害への作用機序は明確に解明されていませんが、神経系に何らかの作用を及ぼすことで気分の波を改善させると考えられています。

後述する抗精神病薬も気分の波を抑えるという意味では「気分安定薬」なのですが、
抗精神病薬は元々は統合失調症の治療薬だったため、気分安定薬には含めないのが一般的です。

気分安定薬と抗精神病薬は作用機序も異なりますが、気分安定薬は鎮静させることなく気分の波を抑えるのに対し、
抗精神病薬は鎮静させる作用があることが両者の大きな違いになります。
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双極性障害で使用する薬にはどんなものがあるか

では双極性障害ではどのような薬を使うのでしょうか。

まず主剤となるのが、「気分安定薬」あるいは「抗精神病薬」になります。

【気分安定薬】
気分の波を抑える作用を持つ薬の事。明確な定義があるわけではないが、
現時点では炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピンの4つを気分安定薬と呼ぶことが多い。

気分安定薬には次のような薬があります(カッコ内は薬の一般名を記載しています)。

・リーマス(炭酸リチウム)
・デパケン(バルプロ酸ナトリウム)
・ラミクタール(ラモトリギン)
・テグレトール(カルバマゼピン)

【抗精神病薬】
従来は統合失調症の治療薬として使用されていた、脳のドーパミンのはたらきをブロックする作用を持つ薬。
近年双極性障害も一部統合失調症と共通した機序で発症していることが確認され、双極性障害にも使用されるようになってきた。

抗精神病薬にはたくさんの種類があります。
おおまかに分けると古い第1世代と比較的新しい第2世代がありますが、安全性を重視し、第2世代を用いることが一般的です。

双極性障害に用いる代表的な薬には次のようなものがあります。
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双極性障害で使われる薬とそれぞれの特徴

双極性障害で生じる症状は多岐に渡ります。

躁状態では気分が高揚し、自分は何でもできるような気分になります。
そこから他者に対して威圧的・攻撃的になる事もありますし、妄想が出現する事もあります。

うつ状態になると反対に気分は落ち込み、意欲もなくなってしまいます。

その間には「寛解期」と呼ばれる一見症状の全くない期間もあります。

このように症状が両極端に変わる双極性障害において、治療薬というのはどのように考えていけばいいのでしょうか。
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双極性障害(躁うつ病) 顕著な躁状態があれば診断は比較的容易

双極性障害の診断が比較的容易なケースが「躁状態」から発症するタイプの双極性障害で、これは比較的診断は容易です。

診断基準上も躁状態を認めればそれだけで双極Ⅰ型障害と診断できますし、
また臨床上も患者さんの気分が明らかに異常に高揚していれば「これは双極性障害の躁状態だろう」と判断しやすいのです。

しかし双極性障害のうち、躁状態から発症するのは約1/3ほどという報告もあり、このケースがそこまで多いわけではありません。

双極性障害の診断が難渋するケースは次のようなケースがあります。
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双極性障害かをチェックする重要なポイント

まずは大体でもいいから双極性障害の可能性があるのか知りたい、という方もいらっしゃると思います。

そのため、上記の「双極性障害は特に専門家に判断してもらう事が重要である」という前提を念頭に置いてもらった上で、
双極性障害をチェックする方法についてお話します。

双極性障害を疑う一番重要なポイントは「経過」にあります。

現在ある1つの病相だけで判断しようとすると間違えます。
今までの自分の気分の波の経過を思い出し、それが双極性障害に当てはまるかを見返してみることが大切です。
そのため双極性障害は今の症状だけをみて、ワンポイントの判断で診断をすることはできません。
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自分が双極性障害かどうかチェックするには?

双極性障害は、私たち精神科医にとっても診断が難しいと感じる疾患です。

双極性障害は、「躁状態」と「うつ状態」という全く正反対の症状、そして「寛解期」という一見すると全く正常に見える期間が存在します。
この症状の移り変わりが診断を難しくさせます。

例えば双極性障害のうつ状態は、うつ病と全く見分けが付かないことがほとんどです。
この場合、このうつ状態が双極性障害のうつ状態なのかうつ病のうつ状態なのか、最初は完全に見分けることは出来ず、
双極性障害であったとしても「うつ病」と暫定的に診断してしまうことは少なくありません。

双極性障害を正しく診断するためには、何よりも重要なチェックポイントがあります。
それを意識し、目の前の症状だけにとらわれず、幅広い視野で病気全体をとらえることが正しい診断をするために非常に大切なことです。

今日は双極性障害を診断・チェックするためのポイントについて紹介したいと思います。

「自分が双極性障害なのかどうか知りたい」
「自分でかんたんにチェックできるようなツールはないのか」

このように考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし双極性障害は診断はとても難しい疾患であるため、一般の方が独断で判断することはあまりオススメできません。

そのため、「自分が双極性障害かどうか知りたい」という質問に対して一番適切な回答は、

「心配であれば、精神科を一度受診して精神科医の見解を聞きましょう」になり、これが一番精度の高いチェック方法になります。

もし自分以外の家族に対して「双極性障害なのではないか?」と心配なのであれば病院に連絡し、まずは家族だけでも相談に行っても良いでしょう。

なぜならば双極性障害は、専門家の精神科医であっても診断が非常に難しい疾患だからです。
それを一般の方が簡単にチェックして、正確に判断できるかというと無理があります。
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